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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
シーサイド・ファイヤー《下》
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影なる者 6

 鏡は海洋同盟の間では神聖な物で実際十年ほど前までは鏡は家庭内でも持つことそのものに許可を得なければならなかったほど。

 その話を聞いたジュリとしては太陽の英雄譚に鏡はどうしても必要なんだと気が付いた。

 その話をしようと午後の昼食のタイミングでソラと接触しようとメールを出すと、数行後に「いいよ」という言葉と場所を教えて欲しいとだけ言われた。

 その際どうしても気になったのが何故か一名増えていたことだけだったが、ジュリはソラの「いつもの事」として処理。

 ソラと付き合う上でソラが他の女の人と仲良さげに歩いている姿を見る度に、ジュリは心の中で「いつもの事」として処理してきた。


 誰にでも優しく、無意識に口説く癖があり、その上本人はその全てを無意識に行う事が出来る。

 その為基本的に異性からモテやすい。

 質が悪いのが自分に告白してくるまで気が付かないという事だ。

 基本的に鈍感で、ジュリが照れくさそうに顔を真っ赤にしていても風邪を引いたのではと思い込むぐらいだ。


 だからソラが見知らぬ女性と仲良さげに歩いていても基本的に気にしない。

 というより気にしてはいけない。

 ソラを知る女性は全てにおいてそれを心に刻みつけ、みんなが同時に思う「ああ、いつもの事か」と。


「どうしたの?ソラが女性と仲良く歩いているときと同じ目をしているけど?」


 ジュリの顔をレクターが覗き込むとジュリは驚いて後ろに二歩下がる。


「ううん。昼食を取ろうと思ったんだけど」

「もしかしてお兄ちゃん駄目だったの?」

「良いよって、ただ……一人分人数が増えていたから」

「「ああ………またその辺の女の人を引っ掛けたのかぁ」」


 二人もよく知っている事、問題があるとすれば一体誰で、どんな女性なのかという事だった。

 しかし、その考えは更に斜め上の状況へと持っていった。


「あ、ソラ君から追加のメール………」

「どうしたの?やっぱりだめって?」

「ううん。一人増えたって」

「「この短時間に何があったんだろ」」


 この短時間に女性を増やしたんだと思うとむしろ二人はすごくドキドキした。



 鼻の奥がムズムズしていき大きなクシャミが場を静かにさせた。


「大丈夫ですか?ソラ」

「大丈夫ですか?ソラさん」


 後ろで携帯を弄る俺の方にイリーナと、美術館をでた所を偶然再会したケビンさんの二人が振り返り、俺は「大丈夫」とだけ返す。


「でも、本当に大丈夫ですか?足を怪我していると聞きましたけど?」

「大丈夫です。ですが魔導機というのは便利ですね。私も最近一つだけ持たせてもらいましたが、足の火傷をここに来る途中に直すことが出来ました」

「分かります!ソラ先輩は魔導機使いませんよね?」

「俺は使えないといったほうがいいかもな。魔導機を持っていると竜の欠片との間にズレというか、ノイズみたいな現象が起きてうまく使えないんだ」


 だから使わない。

 それこそ最初の頃はよく使っていたし、ジュリほどじゃないにしろある程度バランスよく仕えていたはずだ。


「最も俺には魔導機なんて通信としての機能さえあればいいだけだから無くても困らないんだけどな」

「そうですか。噂には聞いていましたし、あなたの戦闘は先日見ていましたから今更驚きませんが」

「そうなんですか?私一回しか見れませんでしたから」


 二人はすっかり仲良くなれたらしく、アメリカという共通点があった二人はあっという間に仲良くなった。


「イリーナさんはワシントン出身ですか?」

「ええ、と言っては端の方ですけど………現在はガイノス帝国のプロダクションに所属しています」

「そうだ、大統領が是非ライブしに来て欲しいと言っていました」

「本当ですか!? まさかそう言われるとは思いませんでした」


 二人が故郷の事で意気投合をしている姿を見ているとこういう平和な場面だけで良い気がしてならない。

 

 俺は財布から取り出し二人に何か奢ろうと財布を取り出し、小銭を開いた瞬間の事、俺は小銭が減っていると気が付いた。

 おかしい、モノレールとチケット購入以外にお金を使う場面が無かったし、小銭の量もきちんと確認していた。

 なので記憶違いという事も無い。


「シャドウバイヤ?もしかしてそこにいるのか!?」

「フム………まさか小銭の量で見抜かれるとは………」

「気が付くだろ。エアロードなら簡単だったんだけどな。さすがに影の中に入られると分からなかったよ。でもよく考えたら首脳の部屋で呼吸音が三つあったんだから気が付くべきだったな」

「?影の中に入っていたら呼吸音は聞こえないはずだが?」


 俺は影から飛び出て俺の背中に飛びついたシャドウバイヤの方を振り向く。


「聞こえない?」

「聞こえんよ。呼吸音も存在感も感じないはずだ。お前が三つ聞えたのならそれはお前と首相以外にもう一人いたという事だ」


 俺はゾッとした。

 あの部屋に俺と首相以外の人間がいたのかと思うと。


「今追跡されているという可能性はあるのか?」

「無い。断言する。国会ビルからずっと監視しているがお前の後ろをずっと付きまとう人間はいなかったぞ」


 気にしないでいるべきなんだろうが、正直に言えば不安でしかない。


「ソラさん食事の時間までどうしますか?」

「たぶん十二時前に集合する事にはなるからな………位置は向こうに教えてあるから多分こっちにやってくるとは思うけど」

「ならソラとイリーナさん。大統領とお会いしませんか?大統領はずっと二人に会ってみたいとおっしゃられていて」


 正直に言えば不安しかない。



「君がソラ・ウルベクト君だね!一目会いたいと思っていたんだ!そして君がイリーナ君だね!? ぜひアメリカでライブをしてくれないかな?」

「大統領。落ち着いてください」

「おお、そうだね。じゃあ改めて『ヴィンセント・ヴァンスタイン』と申します。アメリカ合衆国大統領をしている身だ」


 俺とイリーナの両腕をこれでもかと握手で振り回し、ケビンさんの声色で一旦落ちついた大統領。

 二メートルほどの白人、金髪の多少癖のある髪と大きな顔、強面に見えてどこかコミカルに見える顔立ちが特徴、外体も非常によく元軍人と言われるとすんなり信用できそうだ。


「君達と一回話をしてみたかったんだよ」

「あの……ガイノス帝国や日本を恨んではいませんか?アメリカでも甚大な被害をもたらしたと聞きました」


 俺はどうしても気になていた事を尋ねる事にした。

 日本を中心に起きたあの事件は各国の首都レベルの都市を崩壊させたはずだし、その際に大統領も亡くなったと聞いた。


「正直に不謹慎な事を言えば私個人で言えば正直そこまでじゃないんだよ。何せ私はこの状況だからこそ大統領になれたんだからね」


 確信した。

 この人は裏表がない人だ。


「率直に聞きます。この国首相に会ってみてどう思いました?」

「そうだね………嘘が大嘘という服を着て歩いているような女性かな。正直真意がまるで受け取れなかったというのが率直な意見だよ」

「実はですね……」


 俺は大統領に先ほどのシャドウバイヤとの話をした後、太陽の英雄譚を話してみた。


「そうだね………ソラ君正直に言えば私が何を言っても君を混乱させることしかできそうにない。だから私なりのアドバイスをすることにしたよ」


 俺は大統領の言葉に耳を傾けた。


「影なる者の真意に惑わされてはいけない。真意は見る者の角度でいくらでも姿を変える。君と私にとってのガイノス帝国が違う印象を持っているようにね。君が見ている真意はあくまでも『海洋同盟にとっての真意』なんだという事を忘れてはいけないよ」

「海洋同盟にとっての真意?」

「その通り、太陽の英雄譚も首相の話もあくまでもこの海洋同盟の見せている真意だ。君は君の手で真意を見付けることが大事なんじゃないかな?私はこの国が『嘘で出来た国』だと思うよ。いろいろな嘘が混ざってこの国が出来ている。だから君がするべきことは真意を捜す事じゃ無いかな?」


 大統領の言葉はある意味俺の心に一つの道を指示した。


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