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貴方を取り戻す 6

 真面目に言っているわけじゃ無いのでその辺は師匠もきっと理解してくれると考え、俺達はバスで南区の中央駅まで辿り着き、トラムで帝城前広場行きの時刻を確認すると、丁度あと少しで辿り着くトラムにさえ乗ってしまえば真っ直ぐに辿り着くことが分かった俺達、話し合い少しでも速く辿り着いた方が良いだろうということになり、トラムに乗って旧市街地へ足を運ぶことに。

 街並は高い高層ビルが建ち並ぶ風景から白い外壁と青い屋根が立ち並ぶ3階建てから5階建てまでのレンガ造りのような建物が並ぶ風景へと様変わり。

 異世界交流が始って以降観光客が多いと聞くが、流石に冬休みが終わり日常生活が戻ってきている今現在、無間城の戦いの終わりから日の浅い今は流石に観光客はいないと思う。

 て言うかあまり居て欲しいとは思わないが、何というか俺達が戦っている最中観光客がいたとは思いたくは無いのだが、人それぞれだから強制は出来ない。

 まあ流石に戦闘の中心にいたこの帝都一帯では居ても今はホテルに缶詰状態だとは思うけど。


「綺麗な街並ですよね。こう…歴史を感じる佇まいと言いますか。こういう場所で少しの間で良いから住んでみたいものですね」

「でも裏路地とかに行けば結構危ない場所が多いですけどね。結構裏の方とかは空き家が多いと聞きますし、都市再開発の影響で少なくなったとは聞きますけど」

「やはり土地代金とか高いのでしょうか?」

「そうですね…この帝城前から旧門までの大通りから繋がる道は高いはずですし、帝城周りは最高値だったはず。北区なんかは治安が良く基本街並も広く作られているから高いですよ。あそこは金持ちの家ですから」

「ソラの言えば直ぐ近くに帝城があり夜景とかは雰囲気がありそうですね。あの白い外壁と青い屋根の豪華な城がライトアップして見られたら良いでしょうね」

「そうかな? あまり意識したこと無いんだけど…でも基本帝城はライトアップしないぞ。ほら…念の為に狙撃とか合ったら危険だから基本ライトアップで注目させないようにしているって聞くし」

「あの大きさ上意味は無いでしょうに。ですが残念ですね。年中ずっとですか?」

「でも来年のクリスマスの時期は西暦世界に合わせてライトアップしたいって企画だけはあるはずだよ。やるかどうかは分からないけど、皇帝陛下は乗り気らしいんだよね…」

「楽しそう! ソラ…?」

「え? レクターと一緒にワザワザ綺麗な夜景を見に行くと? 絶対に嫌だ。ジュリと行くからお前はその姿を後ろから物欲しそうな目で見ていれば良いさ。今ならアクアと一緒に俺達が家族仲良くしている姿を見てもいい」

「ただの地獄! リア充不幸になれ! 爆発はしなくて良いから不幸になれ! 覚えとけ! 絶対に不幸の手紙を送ってやるからな」

「どういう文句の付け方ですか。それならテンプレの『リア充爆発しろ』でも言いなさいよ。何よ不幸になれって」

「爆発みたいにリアリティが無い言葉じゃ無く誰のみにも起きそうな言葉に置き換えたんだと思いますよ。でもそういう夜景って私見たこと無いので是非みたいですね。今年のクリスマスは皆さんで集まりたいですね」

「俺も誘ってくれると!? アンヌは優しい!」

「気を使ってくれたに決っているでしょうに。調子に乗っていると一人だけ誘われませんよ」

「そんな扱いジャック・アールグレイだけで十分だ! 俺とあの男を一緒の枠組みにするな!」


 五月蠅いなと思う一方で周りのお客さんに迷惑が掛かっていないか本気で心配になってしまうが、大丈夫なのだろうか?

 流石に追い出されそうな気がしてしまうが、運転手は全く気にしていないのかこちらに視線すら送ってこない。

 これはこれで怖いが、まあ流石に五月蠅いと思うのでレクターに「音量を下げろ」とハッキリと告げた。


「音量を下げろ。運転手から追い出されたら困るだろう? お前次から乗る度に「降りてください」と言われたら走って学校に行く羽目になるぞ」

「その方が速そうだよね。屋根を飛び! 車より速く走る」

「しても良いけど…したら学校から締め出しを食らいそうだな。普通に警察の厄介になりそうだし。お前の場合顔が割れているからアッサリ学校まで突き止められそうだ」

「ですね。やめておいた方が良いでしょう。それで無くても貴方達は目立つわけですし、下手なことをすればサクトさんという方が貴方にどんな罰を科すか…」


 レクターがガクガクと震え始めるが、そこまで怖いなら思いつかなければ良いのにと思うが、まあ怖がっているなら良いかと黙る。

 しかし、前から思って居たが、こいつ本当にサクトさんに怯えているな。

 どんな修行や説教を重ねればここまで恐怖心を刻みつけることが出来るのだろうか、是非コツを教えて欲しい。


「レクター。お前はサクトさんからどんな修行をして貰ったらそこまで恐怖心を刻みつけられる?」

「追いかけられて説教されて、組み手して説教されて、お風呂入る前に説教されて、食事を取る前に説教されて、寝る前に説教かな?」

「修行時間の大半が説教? それは修行なのか? まさか今でもそんな感じで?」


 レクターが「うん」と普通に答えてくれ辺りに、サクトさんの苦労が忍ばれる。

 きっと大人しく言うことを聞かせるための手法として説教を取り入れたのだろう。

 レクターの場合力尽くで言い分を聞く性格じゃ無いので恐怖心を使った修行方法を思いついたのかも知れない。


「サクトさんという人も苦労しているのですね。ですが修行ですか…そんな前時代的なことをよくしますね」

「何を言う? 軍人だって日々の訓練は大事だろう? 結局で何時の時代も強くなるためには日々特訓だ。時代に合った言い方があるだけだと思うし」

「だね。私は端から見ていて楽しそうだったな」


 ジュリはそんな事を言うし、ブライトとアカシは「そうなんだ」と楽しそうだが、修行を受けている身としては結構命懸けな部分が多い気がする。

 実際あの大きな大剣を身に構え、まるで戦神と言わんばかりの迫力を前にして怯えない人間はいないと思うのだ。

 あの人達はあれを修行中に使ってくるのだから怖い怖い。


「サクトさんなんてレイピアを持っていなくても指だけでレクターぐらい吹っ飛ばしそうだな」

「分かる!? 俺吹っ飛ばされたんだよね…気がついたらおでこに指トンされて吹っ飛んでた」


 全員で「指トンって何?」と突っ込んだ。


「人差し指でおでこに『トン』と叩くことだよ。師匠レベルになるとそれだけで一般人を殺せると思う」

「あ。サクトさんから電話だ」

「ソラ。許して…」


 なんの話をしているのかまるで分からないが相手をすると面倒な気がしたので無視、俺はサクトさんの電話に出て「どうしたの?」と聞いた。


『それがね。儀式に間に合いそうだからアベル君に帝城で待って居てくれて良いと伝えて頂戴。今向っているんでしょう?』

「うん。分かった」

『それとレクター君に戻ったら説教だからと伝えて頂戴』


 俺は電話越しにも分かるぐらいの笑顔を想像し電話を切って期待百パーセントの顔をしているレクターに振り向く。


「サクトさんが帰ったら説教だってさ」

「あら…一瞬で顔面蒼白ですね。しかし、その人本当に凄いですね。今の悪口聞いていたのでしょうか? だとしたら怖いですね」

「流石にそれは無いんだと思うけど。でも。何をしたの? レクター君。何かやらかさないと説教しないんじゃ?」

「そんな事無いもん! 俺がその辺を歩いているだけで説教だもん」

「それは無い。そこまで酷くはないと思うぞ。どうせお前が歩きながら妙なことをしていたからじゃ無いのか?」


 レクターは元気よく「うん!」と答えているとき、目の前に帝城がみえてきた。


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