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南の近郊都市 8

 プラネタリウムとは行っても3階建ての建物にドーム状のプラネタリウムの会場がくっ付いている場所、その会場のドアを開けて驚いたのは中心に浮かんでいる四角い物体。

 完全な四角い真っ白な物体を前に俺達が思ったこと、それは「これは不死者達の魂の残痕なのだろうか?」であったが、それが急に回転をし始めたかと思えば眩い光を放ちながら俺達目掛けて光線を浴びせてきた。

 三人で急いで会場内へと散開するが、四角い物体は俺達を追撃するように光線を三つに分けて襲い掛ってくる。

 走って逃げ回るがそもそも今までとは全く違い「人」のひの文字すら存在しないほどに無機物感が凄いのだが…これは本当に元人なのだろうか?


「これ本当に不死者達の魂の残痕なの!? こんなに四角い無機物みたいな人居る!? 聞いた事が無いけど? どの世界にこんな四角い無機物みたいな人間が集まって暮らしているわけ!?」

「知らねぇよ! 俺だって知りたいわ! こんな…人?」

「じゃあ全く関係の無い何かが配置されているんですか? でも鎖は此所に…それにあの四角い無機物みたいなの鎖が付いていますよ。やっぱりあれは元不死者ですよ」

「嘘…あれは元人の元不死者なの? 嘘だ…人の形で大きくなったとか…その能力がそのまま再現された形とかじゃ無いよね?」

「多分だけど…あれが彼が生前不死者となった際の姿なんだろう。行ってしまえばメメントモリに非常に近い姿なんだと思う…」

「人を止めて半分機械になったんですね。でもだからって…こんな姿」


 逃げていても全く解決しないので俺は飛永舞脚で四角い物体へと向って跳躍していき、襲い掛ってくる光線を緑星剣を振り下ろし空中で受止めると、レクターはジグザグ動きで光線を回避しながら次第に距離を詰め、海は敢えて距離を開けながら敵の動きを見極めようとする。

 俺は剣を異能殺しの剣に切り替えてそのまま四角い物体事光線を真っ二つにしてしまった。

 これで決着を付けられたら楽だとは思ったが、四角い物体は眩い光を放ちながら次のアクションへと移行した。

 今度はポリゴン体の様に動いていき次第に形が変貌していくのだが、その内増殖を繰り返して大きさが変わり果て銃口のようなモノに変わり、その銃口は俺達を捕らえる。

 今度も光がやってくるか、そう思って構えていると今度は空気の斬撃が銃口から放たれた。

 鋭い一撃を俺は異能殺しの剣で切り裂き、少しだけ距離を開けると斬撃を全くモノともしないままレクターが突っ込んで行く。

 あっという間に距離を詰めていき最後には変貌した銃口へと右拳を叩き込んだまま体を空中で捻って敵の上に着地、そのまま右拳を物体の中心に向って力一杯叩き込んだ。


「また力技で…」

「敵を真っ二つにしたソラにだけは言われたく在りません!!」

「まだです! また変貌する!」


 レクターが急いで後ろに跳躍し空中で何回転かしてから着地、そうしている間に敵は更なる変貌へと遂げていき、上半身だけのロボット兵器に見える何かに変わり果てた。

 右手を折れに向って振り上げて力一杯叩き付けるが、俺はそれを異能殺しの剣で受止めて上へと向って強めに弾く。

 海はそれを見てダッシュで接近していくと、敵はそれに反応するように横から海目掛けて平手打ちへと移行した。

 そんな平手打ちに対しレクターが反応して右拳で左手を力一杯吹っ飛ばす。

 すると海が喉元まで接近してくるのを感じ取った敵は今度は右手で叩き付けようと試みるが、俺はそれを上へと向って打ち上げて海の進路を作り出す。

 海は自らの武器に紫色の雷を纏わせまるで消えたように見えるほどの速度で敵の体を細切れに切り裂いて行く。

 多分速度だけで言えば俺の飛永舞脚のギア2以上だろうが、海の場合は俺が教えた飛永舞脚に霞竜であるオールバーの力も混じっている。

 早さと切断力だけで言えば多分俺達の中で一番段違いだろう。

 再び最増殖を繰り返そうとしているとき、俺達三人は海が細切れにしていった中に見つけた小さい輝く物体、それが敵の中心ではと予想した俺は増殖していく敵へと向って異能殺しの剣で斬りかかっていく、すると、増殖する部分を吹っ飛ばそうとレクターが連続で殴りつけ、海も空中で急停止して急所を見つけるために再び細切れにし始める。

 俺達の攻撃速度の方が早かったのか増殖するより早くその中心部分であるコアと言うべき場所を発見した俺達、ほぼ同時にその場所に向って三人で攻撃を繰り出した。

 そんなコアが粉々になって消えていく中で下に伸びていた鎖が砕けて消えた。


「ハァ…人じゃ無い…これは人では無いと思う。人はこんな風にトランスフォームをしたりしない」

「俺も同じ意見。箱形だったり銃の様な形になったり、かと思えば最後はロボット…」

「でも後一つです。この調子で見つけましょう。大凡の場所は分かっているわけですから」


 俺達はこのまま階段を降りていき先ほど大凡の検討を付けた三つ目の場所、古い廃校になった場所へと向って歩き出す。


「でも廃校と言うんならせめて夜にでも行けば良いのに…廃墟になった学校を夜に徘徊するという所謂夏の風物詩」

「それを夏の風物詩にするのは日本独自の習慣でガイノス帝国には無いと思うんだけど? お前はどこから普段知識を得ているんだ?」

「でも俺達の周りで廃校ってあの中学ぐらいしか無いですよね?」

「ああ。俺達が転移した後でトラブルで廃校になった学校な。あれって再建する計画は無かったのか?」

「勿体ないよね…せめて潰して何か作れば良いのに」

「それがあの体育館の惨状を見た人達が「此所は弄りたくない」と不満を口にしたらしく、あれを見て気味悪がる人が多くて…」

「まあ仕方ないよね。あれ俺も見たけどあまり気持ちの良い物じゃ無いよね。だってまるで裁判でもしていたかのように各席に名前が書いてあって、その名前事色んなモノが血で染まって黒ずんでいるんだもん」

「あそこを夜に訪れたら良い感じの肝試しが出来そうだよな…しないけどさ」

「そう? ソラって小さい頃そんな事を言ってまだ改築する前の古い病院に侵入して怒られた事無かった?」

「? 俺そんな事した?」

「うん。確かそんな話を奈美が学校でしていたような気がするけど…あれ違ったっけ?」


 俺は歩きながら記憶の中を探り始めたがそんな記憶が全く出てこない。

 都合の悪いことだから忘れたのか、そう思って首を傾げて居るとレクターが「そら見たことか!」と言い出したのでむかついてつい殴ってしまったがとくに後悔は無い。

 しかし、何度詳細に思い出しても全く思い出せないが、海の「奈美が言っていた」という言葉で俺は答えを得た。


「それって…俺が小学校四年生ぐらいの時の話か?」

「えっと…うん。確かそう」

「じゃあそれ奈美だな。確かあの時奈美が夏休み中に「肝試しがしたい」と言い出して、俺は「嫌」と断ったら夜中に勝手に出て行ったんだよな。後で母さんからコテンパンに怒られたって記憶している。確かあの時古い改築前の病院に行くと言っていたような気がする。俺がついて行かなかった事でも怒っていたけど、俺が庇ってくれなかったとも怒っていたから、多分俺の評判を落そうとして嘘を語ったんだろう」

「え? でもその話ソラは知らないんですよね?」

「そもそも俺が奈美から来る評価を一回一回真に受けるわけ無いし、そもそも周囲から来る評価を気にする方じゃ無いからな。基本無視だよ。と言うか俺ホラー系で悲鳴上げたこと無いし、前に学校で企画された肝試し企画でも常時普通に過ごしていたら「嘘だろう」と同級生から思われていたんじゃ無いか?」

「ああ…ソラって一年前に日本で行なわれている肝試しをしようと言い出した時も全く動揺していなかったもんね」


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