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無間城の戦い 6

 上層へと上がってきたアベル、レクター、海は何もない外周を一周してしまったのだが、こればかりは予想外でてっきりどこかに大きなドアでもあると思って居たのだが、待ち構えていたのはなんの変哲も無いただの外周の廊下である。

 二度ほど回ってみるが、やはり何もない事を三人で確認してから再び集まる。

 研究職の人達を三度この地に呼ぶかとも思ったのだが、海は「まだちゃんとした調査もしていないのに早すぎるのでは?」と言い出したのだ。

 アベルは「それもそうだな」と呟きとりあえず壁を何度か叩いて回ってみることにした。

 もし奥に空洞がある場合は叩く際に微かにだが音が違ったりするモノで、こういう事はソラやガーランドが一番得意としており、海もその辺りは得意だったはずだと思ったアベルは海達にも促す。

 海が右回りに何度か叩いて回ってみると微かに音の違う場所を見つけ、その先をエコーロケーションで調べてみると奥に道が続いているのが分かった。

 アベル達を呼ぶ海は「この奥に空洞がある」と指摘すると、レクターは我先にとその壁に向って右拳を叩き込んだ。

 二人は「こういう時だけは頼もしいな」と思ってみていたのだが、割れていく矢先にその割れた場所がそれを超える速度で修復していく。

 自己修復機能を持っている素材なんて聞いた事が無いと思ったアベル、試しにと思って近くの別の場所を何度か切ったり叩いたりしてみると、どこもかしこも自己修復機能を持っていることが分かった。

 そうしていると下の階から研究職の人達が昇ってきて修復された場所を興味津々に観察し始める。

 アベルはその研究職の人達に対して「この先に空洞があるみたいなのだが?」と聞いてみるが、彼はそっちの方は見ないまま「恐らく開ける為のスイッチでもあるのでは?」とだけしか答え無い。


「探してみます?」

「て言うか粉々になるぐらい俺達三人でやれば解決できそうな気がする」

「レクターが後三人ぐらいいれば解決できそうなアイデアだな。残念ながら私の破壊力ならともかく海では無理だ。海は破壊力という点ではかなり低い」

「ですね。僕はあくまでも斬撃が得意なのであって一発の粉砕力はまるで無いですし。別の階層にスイッチがあるとか?」

「いやどうだろうな…此所までは曲がりくねってこそいたが、基本は真っ直ぐの一本道だったしな。一番下の階にまだ何かあるのか、もしくはこの階層にスイッチがあるのかだ。海はこの階層をもっと調べてみてくれ。レクターは来た道を一旦戻って調べ直す。私は一番下の階をもう少し調べてみる」

「アベルさんが楽をしようとしているように見える」

「黙って行けって。たまには私とて真面目に仕事をするさ。体力や力ならお前が多分一番上だ。海は探すという能力なら上だしな」

「師匠よりレクターの方が上ですか?」

「上だ。幾ら年上と行っても私はもう四十だ。いい加減体力の衰えも始ってくるし、なによりこレクターにはその辺の才能が凄い。これはソラもガーランドやサクトも認めるほどだ。レクターは異能を持ってこそ居ないがその辺の才能だけで渡り合えるほどだ。最も…こういう化け物達を相手にするには流石に不利だから任せられないだけだ」

「ええ…そうかな? まあ俺が天才というのは誰もが認める部分…グハァ!? 待って! 今なんで殴ったの!?」

「ウザかったから? とにかくこれで行動するぞ。解散!」


 アベルが強引に終えるのをあまりレクターとしては納得は出来なかったのだが、アベルが下の階へと降りていくのを見て従うしか無かった。

 アベルは一番下へともう一度降りていき出入り口がある場所とは反対側を調べてみると出っ張りを発見した。

 明らかなスイッチに押すことを一瞬躊躇うアベル。

 罠という可能性も否定しきれないが、だからと言ってこのまま押さないというのも流石にと思う。

 結果少し遠くから大剣を投げてスイッチを押すというヘタレを発揮するアベル、スイッチを押すとガコンという音と共に壁が動きはじめ、その奥に道が出来た。

 真っ直ぐに伸びている一本道の橋、その先にある上へと伸びるパイプのようなもの。

 そのパイプへと触れて見ると高熱を持っていることにわかり咄嗟に手を離す。

 結構熱かったのか掌が微かに火傷しており、アベルはポーチに入れてある医療キットを使って応急手当。


「上へと伸びているのがわかるが…これがエネルギータンクを繋いでいるモノなのだろうか? この装置もなんだろうか…こればかりは研究者を呼ばないと分かりそうも無いな」


 そう思って研究職の人達を呼んで調べて貰う。


「これはパイプを使ったエネルギー供給ラインの変更です。一部の壁などに送っているエネルギーの供給を停止することが出来るようです」

「それは壁を破壊できると言うことか?」

「かもしれませんね。全部は流石に不可能なようですが…」

「じゃあ切ってくれ。困らない」


 研究職の人達が操作し始めると無間城全体に淡い光が下から上へと通り過ぎるのが分かった。

 研究職の人達は「これで止められましたよ」と言い、アベルは「助かった」と言って一番への階層へと戻ってくる。

 レクターが戻ってこないがアベルは先ほどの場所を調べてみると既に崩壊していた。

 奥には狭い廊下のような場所が現われその先には出っ張りが再び顔を覗かせている。

 アベルはその出っ張りを押し込むと下の方から何かが開くような音が聞えてきた。


「師匠。今下の階から…」

「ああ。今ので開いた。下の階を確かめるぞ海」


 海がアベルの居る場所へと顔を覗かせ、二人はそのまま下の階へと降りていくと、エレベーターへと続くドアが開いているのに気がついた。

 ドアの先へと向って進んで行きエレベーターの出入り口を発見したのだが、アベル達の予想通りまだ動きそうに無い。


「四カ所に分かれているエネルギータンクの方を先にどうにかしないといけないみたいですね…と言うかレクター遅いですね」

「そう言えばそうだな。この辺りの調査は研究職の人達に任せ、その護衛も軍の奴らに任せて私達は上へと戻る過程でレクターを探すか…」


 再び来た道を戻っていく過程で大きめの穴を発見したアベルと海、そっと顔を覗かせると結構広めの空間が顔を覗かせている。

 中へと入って行くと壁一面に描かれた壁画のようなモノ。

 死人が沸いていくのを対処しながら壁画をそっと確認する。

 穴から見て時計回りに絵が続いて居ると分かった。


「これは…人? それの目の前に光が降りてきましたね。その後にその光が竜の形になった…?」

「ああ。その竜は大樹? を作って居るようだな。色々な生き物が作られているようだが」

「はい。その後二つの城を挟んで人が二人…一人は偉そうな服をきていて、もう一人は化け物にも見える」

「その城も化け物に見える方は逆さの城、偉そうな服を着ている方は普通の城を背に対峙しているのか?」

「ですかね? でもその後、偉そうな服を着た方が今度は多くの人々に崇められていて、そして旅人に見える人が色々な世界に旅立っているように見えますね」

「うむ。その内二人の子供が現れたな。その子供を見守る偉そうな男が一人、その内の子供が一人になり成長して青年へ…」

「その青年が緑色の鎧を纏って剣を握り偉そうな男へと挑んでいる。最後には黒い何かへと戦いを挑んで終わる…これって…まさか」

「正しく今の出来事だな。後半は正しく。前半は二千年以上前に起きた不死者との戦いだろう。かの木竜も参加したと言われている時代の事だ。これは…予知なのか?」


 アベルは頭を捻っても出てこない答えに悩んでいた。


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