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【書籍化企画進行中】異世界最強兄は弟に甘すぎる~無愛想兄と天使な弟の英雄譚~  作者: 北崎七瀬


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弟、ランクSSゲートに入る

 翌日、ユウトとレオとエルドワは、ネイの拠点に来ていた。

 以前に一度来たことがあるが、その頃よりだいぶ綺麗になっている。どうやらルアンが時々来て掃除をしてくれていたようだ。


 ユウトたちは杖ひとつでスーツと魔女っ子に変身をすると、依頼書を確認した。


「Pエリアって、どのあたり?」

「ユウトは気にしなくていい。俺が抱えて飛ぶからな。あの辺は以前素材集めでぶらぶらしていたから大丈夫だ」

「俺は少し離れたところに着くから、ちょっと待ってて下さいね。俺が行かないと封印解けないので」


 ネイも体育教師のもえす装備をしている。エルドワだけはそのままだが、それは仕方がないだろう。


「……前にランクSクエスト受ける時は、大々的に告知されたよね? 今回はあんまり知られてないみたい」

「屋外でなく、ゲートに入ってしまうからな。冒険者ギルドに付近を歩かないようにという通知は掲示されているが、それほど積極的な告知はしてないんだろう」


 なるほど。ゲートの中なら他の冒険者に影響が少ないからか。脱出の難しいこの高ランクゲートでは、おこぼれに預かろうという輩も来ないだろうし、今回はこの恥ずかしい格好をあまり見られなくてすみそうだ。

 ユウトは少し安堵した。


「さて、持ち物の確認はしたし、準備OKですね。少し遠くに出る俺が先に飛びますよ」


 用意が終わり、ネイは転移魔石を取り出すと、何の気負いもなく転移して行く。慣れているのだ。

 もちろん隣にいるレオもそうで、これから出勤にでも行くような様子で、ユウトにもらったネクタイを丁寧にピンで留めている。まだ少しそわそわしている弟を待っているようだった。


「ごめん、兄さん。お待たせ」


 スカートの裾を整えてからエルドワを抱き上げる。

 2人と1匹で飛べるのはもう確認済みだ。ユウトの合図でレオは弟の身体を抱き上げた。


「行くぞ」

「うん」

「アン!」


 腕の中のユウトと子犬の返事を受けて、兄は転移魔石を使った。






 ユウトたちは、ランクSSゲートからさほど遠くない場所に出た。

 レオが森の中で弟を下ろし、その手を引いて目的地に向かう。


「うわあ、すごい……」


 木々の隙間から見えてきたゲートに、ユウトは思わず感嘆の声を上げた。

 ゲートの大きさもさることながら、その周囲に施された封印術式が魔力でキラキラと光っているのが美しい。

 しかし近くまで行ってよく見ると、所々の術式が欠け始めていた。

 これが老朽化ということか。


「はいはい、お待たせ~」


 すぐにネイが追いついて、そのまま追い越して封印術式に向かう。

 片手には解除コードの載っている依頼書があった。

 ネイは魔法鉱石で出来た棒のようなもので、術式の一部をささっと書き換える。それだけで封印は魔力を失い、光を無くした。

 え、これで終わり?

 ユウトはその速さに呆気に取られてしまった。


「……すごい簡単」

「本来はもっと慎重に時間を掛けてやるものだ。解除コードを1カ所でも間違うと大きなダメージを食うしな」

「俺は封印解除はずいぶんしましたからね。魔力の巡る法則とか、書き込むタイミングとか、覚えちゃってるんですよ」


 平然と言い放ったネイは、さあ、と手のひらでゲートへ案内する。


「レオさんが先頭、ユウトくんが真ん中、その隣にエルドワで、俺は殿しんがりを務めます。どうぞ」

「まあ、それが妥当だろうな。行くぞ、ユウト」

「あ、うん」


 レオに連れられてゲートを潜る。

 ここからは長い階層だ。魔力は節約しつつ、効果は最大に。

 ユウトはそれを肝に銘じて、階段を降りた。

大変申し訳ありません。

体調不良のため筆が全く進まないので、

数日間更新停止いたします。


できるだけ早めに再開します。

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