表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆完結◆記憶と魔力を婚約者に奪われた「ないない尽くしの聖女」は、ワケあり王子様のお気に入り~王族とは知らずにそばにいた彼から、なぜか溺愛されています!  作者: 瑞貴
本章 ワケあり王子の恋わずらい

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/109

52 崩壊の予感②

 そもそも王太子の私が、大司教に白い目で見られる筋合いはない。

 ジュディットがいなくなり次々と起きる問題。やり場のない怒りを感情任せにぶつける。


「煩いッ! 何がだ!」


 だが私の叱責もどこ吹く風。全く動じる気配のない大司教が、遠くを見ながらぼんやりと口を開く。


「魔力の結晶であるガラス玉は、ジュディット様が作っておいででした。わたくしには到底作ることのできない代物です」


「ジュディットが……」


「ガラス玉を禊の儀の前に受け取る予定でしたのに、あの日、祈祷室からお出になったジュディット様は急いで森へ向かわれ、お会いできませんでしたから」

「もう、ないのか」

 大司教が無言で頷いた。


 またしてもジュディットなのか……。

 とんでもない事実が浮上し、口を開けたまま言葉を失う。

 

 このままでは、魔力なしに配布していたガラス玉を巡り、国中で大問題になるではないか!


 これまでと、なんら変わらず大司教がいるにもかかわらず、「ガラス玉を作れない」という現状をどうやって説明するのだ。


 ガラス玉を配布できない適切な説明が見つかる気がしない。

 正直に公表したところで、国民を欺いていたと批判されるではないか……。

 それどころか、血相を変えてジュディットの捜索を始めるだろう。

 駄目だ。魔力のないジュディットを他人に発見されるのは避けたい。


 結界にしろ、魔力の結晶にしろ、全てにおいてジュディットが絡んでいるのか……。

 まずい。彼女が居なくなった今。国の未来がドミノ倒しでおかしくなる映像が見えてきた。


 とりあえず私の部屋にガラス玉がある。それで泉だけでも浄化すべきだろう。

「いいからリナを解放しろ! あれは私の婚約者だ」


「婚約者であろうが関係ございません。今は結界がほころびかけているんです。罪人であってもリナ殿を祈祷室に閉じ込め、せいぜい結界を張るために役立っていただかねば、この国が崩壊しますぞ。この国は長年魔物討伐とは無縁の生活をしておりましたので、魔物と戦える軍事力はありませんから」


「ふざけるな! 王宮の騎士団がいるだろう。やつらは飛竜だって捕まえる実力だ」


「殿下……。あなたは本当にジュディット様の功績をご存じないのですね」

「はッ、何がだ!」


「上級魔物をポンポンと捉えていたのは、ジュディット様あっての話です。いなければ、飛竜など捕まえられるはずがありませんぞ」


「う、嘘だろう……」


「殿下の隣に立っている騎士にでも聞いてごらんなさい。すぐに答えは分かるでしょう」


 それを聞いた両サイドに立つ彼らは、悲嘆に暮れる顔をしたため、自ずと大司教の言葉が真実だと伝わり、目眩がする。


「あ……ああ。理解した。リナに……。リナに声をかけてもいいだろうか」


「それは構わないでしょう。ですが扉越しになさった方が殿下のためかと存じます。直接お顔を見れば、幻滅するでしょうから」


 昨日、リナの顔を見た大司教が言うのだから、大人しく従った方が身のためだと瞬時に判断した。


 ふらつく足取りで祈祷室の扉の前に立つ。

 その緑の扉は、取っ手を動かせないよう鎖が幾重にも巻かれ、騎士二人体制で見張っていた。


「リナ聞こえるか?」

 声をかけると、中から可愛い声が聞こえる。


「フィリ⁉ 来てくれたのね。ねぇ、ここから出して。大司教様がここから出てはいけないと言って、リナを閉じ込めるのよ。酷いと思わない」


「ああ、そうだね。私から大司教に頼んでおくからすぐに出られるよ」


「さすがフィリだわ。今日こそ結婚式の話をしたいと思っていたんだもの早くお願いね。それと、大司教のガラス玉も欲しいって伝えてくれるかしら」


「ああ、分かったよ」

 悪ぶる様子のないリナの言動に当てられ、ますます眩暈を起こしそうな私は、そのままドゥメリー公爵家へ向かった。


お読みいただきありがとうございます!

フィリベールのエピソードはもう1話ありますが、先にジュディを投稿します!

なので次話は、ジュディ!

引き続きよろしくお願いします(。>ㅿ<。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ