表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜殺しの料理人~最強のおっさんは、拾ったケモ耳娘とスローライフを送る~  作者: おとら@9シリーズ商業化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/64

おっさん、恩返しがしたい

話が終わったので、席を立とうとすると……ハウゼン殿に呼び止められる。


「そういえば、何やら物件を探しているとか?」


「ソーマ殿、私の方からハウゼン殿に伝えたのだ。この方は三十年以上前からいるし、顔も広いからな」


「えっ? クレアさん、ありがとうございます。はい、料理屋をしながらも自分達が住める家を探しています」


「それは新築が良いとかあるのか?」


「いえ、特にはないですね」


別に中古であっても、条件さえ整ってれば問題ない。

前の世界でも居抜き店舗もあったし、それに改築許可さえあれば好きにできる。


「おおっ! そうかそうか……ならば、恩を返すのには丁度いい」


「えっと……?」


「すまんすまん。実は俺の昔のパーティーメンバーに、飲食店を閉めて田舎に帰った男がいる。金に困っていたので、俺が店を買い取ったんだが……それを貰ってくれるか? 金は良い、お主には迷惑をかけてしまった。本来なら、俺がしっかりしてれば……」


「俺個人としては、ありがたいお話ですが……本当によろしいのしょうか?」


見てないことには何とも言えないが、願ったり叶ったりなことだ。

店を探す手間も省けるし、ギルドマスターなら信頼もある。

何よりギルドに貢献していけば、お金もきちんと支払えるはず。


「ああ、もちろんだ。では、こちらの方で手配をしておこう。その間に解体屋に行くと良い」


「ありがとうございます! それでは、解体屋に行ってみます」


話を終えた俺達は、そのまま併設している解体屋に向かう。

そこでは、ドワーフ族のガラン殿が待ち構えていた。


「きたか」


「ガラン殿、ちょうど良かった。貴方にお礼を言わせてください。あの刀のおかげで、ソラを助けることができました」


「ふん、儂はお主なら扱えると思ってくれてやっただけだ。それをどう使おうと、お主の勝手じゃ。だが……役に立ったなら何よりだ」


「はい、とても助かりました。素晴らしい出来栄えの刀かと」


「ならば儂としては言うことはない。さて、本題に入ろう」


すると、後ろにある台に目をやる。

そこにはバラバラにされた肉の塊が置いてあった。

羽の部分、足の部分、胴体の部分などに分かれている。


「あれがワイバーンの肉ですか?」


「うむ、大きさの割取れる部位は少ないが」


「いえ、あれだけあれば十分です」


「しかし、本当に食べるのか? 硬くて食えたもんじゃないが……切るのにも一苦労したわい」


「ええ、必ず美味しくしてみせます。というわけで、ガラン殿にも食べて欲しいのですが……きっと、良いものを提供できるはずです」


この方がくれた刀がなかったら、ソラを助けるのが遅れていたかもしれない。

そもそも、こんな業物を貰って何も返さないなどあり得ない。


「……ふむ、わかった。そこまでいうなら行くとしよう」


「ありがとうございます。では、とりあえずこれは持って帰りますね」


荷車を借りて、クレアさんと一緒に宿を出ると……そこにはアリスさんが待っていた。


「あれ? アリスさん?」


「あっ、ソーマさん! この度はお疲れ様でした〜」


「ご心配をおかけしました。それで、どうしたのですか?」


「今、仕事終わりなんです。そしたら、ギルドマスターから頼まれまして〜」


俺に見せたその手には鍵があった。


「あれ? それって……」


「例のお店の鍵ですねー。クレアさんに、これを渡すように頼まれました」


「私にか?」


「ええ、この地図と鍵を渡せばわかるって」


クレアさんが地図を受け取ると……。


「うむ、この場所ならわかるな」


「なんか、もう自由に使えるようになってるみたいですよ?」


「それはどういう……?」


「ギルドマスターってば、素直じゃないんですよー。実は、前もって用意していたみたいです。昨日から忙しくしてましたから」


「あっ、そうなんですね。では、お礼をしないと」


なるほど、昨日の時点で用意してくれたってことか。

他にもやることがあったろうに……是非、お礼をしないと。


「ふふ、喜ぶと思いますよ?」


「そうだ。料理を作る際には、アリスさんもどうですか?」


「ええ〜私も良いんですか?」


「ええ、アリスさんがよろしければ」


すると、アリスさんがクレアさんを見つめる。


「クレアさん、良いですかね?」


「な、なんで私に聞くのだ!?」


「いや、何となく」


「べ、別に好きにすれば良い」


「えっと?」


「どうやら良いみたいなので、お邪魔させて頂きますね」


「はい、是非。わかったらすぐにご連絡しますね」


よし、決めた。


今回はお世話になった方々のために料理を作ろう。


そう決めた俺は、クレアさんと地図の場所に向けて歩きだすのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ