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竜殺しの料理人~最強のおっさんは、拾ったケモ耳娘とスローライフを送る~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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おっさん、ドワーフに出会う

 その後、ギルドに到着すると……奥から、すぐに声がかかる。


「ソーマさーん! ちょうど今、終わったみたいですよー!」


「了解です!」


「私はここで待ってるから行くと良い」


 俺が慌ててアリスさんに近づくと、下から声がする。


「おい」


「……はい?」


 遠くからは気がつかなかったが、どうやら人がいたらしい。

 身長は俺の腰の高さほど……小学生高学年くらい。

 しかし、その顔は五十代くらいに見える。

 全体的にずんぐりむっくりしてる体、逞しい鬚……アンバランスだ。

 ……もしかして、これってアレか?


「何をジロジロ見ている?」


「失礼いたしました。田舎者で不勉強で申し訳ないですが、ドワーフ族の方でよろしいでしょうか?」


 俺は姿勢を正し、しっかりとお辞儀をする。

 人の大半は、最初の印象で決まると言われてるからな。


「ふむ……いかにも」


「ありがとうございます。すみません、初めてお会いしたので、少し不躾な視線を向けてしまいました」


「い、いや、構わん……変な奴じゃ。アリスよ、お主の言った通りじゃな」


「ふふ、だから言ったじゃないですか」


 ……話が見えないが、どうやら悪印象は避けられたみたいだ。


「すみません、話が見えないのですが……」


「あっ、すみません。こちらの方は、ドワーフ族のガランさんといいます。鍛治師の傍、解体のお仕事をしているんですけど……あとは、自分でお願いしますねー」


 鍛治師で解体屋さんなのか……それは、是非とも仲良くなりたい。

 するとアリスさんが身を引き、ガラン殿が前に出てくる。


「お初目にかかる、ドワーフ族のガランという」


「初めまして、ソーマと申します」


「ディアーロを倒した者が気になったので、一目見ようとやってきたのだ」


「何か気になる点がありましたか?」


「いや、生きたまま持ってくる者など珍しいのでな。それに、あのツノを折ることができるとは、新人冒険者のできることではないわい。しかし、見て納得した……お主は、只者ではない」


「そんなことはありませんよ、ただのおっさんですから」


「ワシに比べれば、まだまだ若造ではないか。だが、近頃の奴よりは見込みがありそうじゃ」


「あ、ありがとうございます?」


「ふん……今度解体して欲しい物があれば、直接ワシのところに持って来い。そして、装備が欲しければ店を訪ねるが良い」


 それだけ言い、併設してある解体部屋に入っていく。


「……えっと?」


「ふふ、気に入られましたね?」


「そうなんですか?」


「ええ、もちろんです。ガランさんは、気に入らないと話すこともしませんから。腕利きの解体屋にして鍛治師さんですから、仲良くなっておいた方が良いですよー」


「わかりました、今度行ってみますね」


「是非是非〜」


 なるほど、ドワーフ族のいうのは職人気質な方が多いのかもしれない。

 しかし、縁が出来たことは嬉しいことだ。





 諸々の代金を受け取り、俺がクレアさんの元に戻ろうとすると……以前俺に絡んできた男が、クレアさんに話しかけている。


「どうする?」


 なにやら言い争ってる感じだが、違っていたら悪い。

 しかし、そうじゃない場合、クレアさんにはお世話になってるからどうにかしたい。


「……まあ、いいか。勘違いだったら、俺が恥をかくだけだ。それに、謝ればいい」


 そうと決めた俺は、素早く相手に近寄り——その肩を掴む。


「おい、何をしている?」


「ああん? なんだ、おっさん——うおっ?」


 肩に圧力をかけて、動けないようにする。


「その方に何か用かな? 俺の連れなんだが?」


「……えぇ!? ソ、ソーマ殿!?」


「こいつの連れ……あれ? 良く良く見たら、あの時のおっさんじゃん」


「ああ、そうだ」


「ま、待て!ソーマ殿! こいつは、一応知り合いだ!」


「あれ? ……そうでしたか。どうもすみませんでした。君も勘違いして悪かった」


 どうやら、俺の勘違いだったらしい。

 だが、何かあってからでは遅いからな。


「い、いや、私は……その」


「ははーん、そういうアレな訳ね? いやいや、お前も」


「うるさいっ!」


「ぐはっ!?」


 その男は腹パンをくらい……地に伏せた。


「お、おい? 平気か?」


「お、おうよ……これくらい日常茶飯事だ。あと、俺にしたことは気にしないでくれ。俺も、あんたに絡んでしまったからな」


「わかった。それではおあいこだな。改めて名乗るが、ソーマという」


 すると、男が何とか立ち上がり……。


「オレの名前はダインっていうぜ。ランクD級の若手有望の冒険者だ」


「自分で言う奴がいるか……」


「う、うるせいやい!」


「なるほど、仲がいいのですね」


 さっき言い争って見えたのは、じゃれていたというところか。

 ……あれ? むしろ、邪魔者は俺だったのでは?


「うむ、ダイン君。悪かった、おっさんが邪魔したみたいだ」


「はっ?」


「ち、違うから! っ〜!! ソーマ殿! 解体した魔獣は!?」


「えっ? もう終わったんで、あとは隣に行って受け取るだけです」


「なら行くぞ!」


 そう言って、俺の手を引く。


 そういえば、女性と手を繋ぐのは何年振りだろうか?


 柔らかいなぁ……そんなことが頭をよぎるのだった。

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