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【コミカライズ配信中】アラフォー冒険者、伝説となる ~SSランクの娘に強化されたらSSSランクになりました~  作者: 延野正行
それぞれの戦い篇

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第298話 それぞれの大事なもの

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コミックス6巻いよいよ発売です。

シリーズ30万部突破。

今巻も色々と盛りだくさんなので、是非お買い上げください。


挿絵(By みてみん)

「ふぅ……」


 ヴォルフは汗を拭う。

 周りを見渡すと、なりそこないの気配はない。

 あるのは、勇猛果敢に戦った仲間たちだけだ。


 民間人の避難も終わったらしく、場にいるのはヴォルフ、ヒナミ、エミリー、クロエ、アンリとその『葵の蜻蛉(ブルーブライ)』、そしてヒナミが率いたワヒトの刀士だけだ。ボルネー王国軍も退いたらしい。


「ひとまず安心――――」


「ヴォルフ!」

「ヴォルフはん」

「ヴォルフ殿」

「ヴォルフ様!」


 ヴォルフは4人の乙女に押し潰される。

 敵に回せば間違いなく、なりそこないより厄介な女性たちは、ヴォルフを押し倒した後で、言葉責めを敢行した。


「遅かったではないか! 待ちくたびれたぞ!! ヴォルフ!!」

「エラい久しぶりやな。なんや1年ぐらい会ってなかったような気ぃするわ。うちを残して、どうしてはったん?」

「ヴォルフ殿、ご無事で何よりでござるよ」

「ヴォルフ様、わ、私と結婚してくれるまで逃しませんからね」


 さしもの【剣狼(ソードヴォルバリア)】もタジタジだ。

 横でミケが「ししし」と笑う。主人の助けてくれ、という目の訴えに顔を洗って誤魔化した。


「心配させてすまなかった。と、ともかくどいてくれ。本当に死ぬ」


「クロエ、どくのだ。ヴォルフが重いと言っておるぞ」


「何を言うてはりますの。うち、こう見えて着痩せする方なんやで。エミリーの方がよっぽど重いわ」


「な! せ、拙者でござるか?」


「ヴォルフはんと会えないからて、やけ食いしてたやないの」


「そ、それはヴォルフ殿が心配で」


「そういう時は普通喉も通らないのではないのか、エミリー」


「アンリ殿に言われたくないでござる! いつも拙者より食べるくせに」


「私はあの量が普通ですからね。余計なカロリーは全て鍛錬で落とします」


「ぬぬぬ……。卑怯でござるよ」


 エミリーはアンリの立派に育った身体の一部を凝視する。


『おい。お前たち、そのへんにしろにゃ。ご主人が息をしてないぞ』


 ミケの言葉を理解できるものは今いなかったが、何を言いたいのか理解できるほどには女性陣は賢かった。


「「「ヴォルフぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううううう!!」」」


 ヴォルフの腹の上で、4人の娘たちが叫ぶのだった。



 ◆◇◆◇◆



「なっ! ハシリーが……」


 ヴォルフはここに至るまでの経緯を話す。

 流石に時間はなく、かいつまんでのものだが、聖樹の森と同様に異常事態であることは、全員に伝わった。


「にわかに信じられんな。余の目から見ても、ハシリー・ムローダは忠臣のように映ったが」


「俺もそう思う。ハシリーには何か考えがあるんだ」


「それはそうだと思うが……」


 ヒナミは珍しく考え込む。

 その姿を見て、クロエは声をかけた。


「王様、何か気になることでもあるのか?」


「気づかんか、クロエ? この森に漂う妙な気配……。ボルネー王国軍でも、ましてそのハシリーの気配でもない。寒々しい悪意を」


「言われてみればそうだな」


 ヒナミの言葉に、ヴォルフは頷く。


「俺もその気配が気になっていた。……それにもう1つ、ここに来て気になったことがある」


「なりそこないだな、ヴォルフよ」


「そうだ」


 仮に聖樹の森になりそこないを放ったのがハシリーなら、なぜハシリーはヴォルフとの戦闘でなりそこないを使わなかったのだろうか。

 確かに使役した獣は凄まじい強さを秘めていた。

 だが、あれはあくまでハシリーが生み出した魔力生物。なりそこないとは違う。


「ハシリー殿もまた何者かに操られている可能性はないでござらんか?」


「あり得る。となれば、ヴォルフよ」


「ああ。ハシリーも、レミニアも危険だってことだな」


 意見の一致を見た直後、ざらりとした殺気が森に満ちる。

 地面から湧き出てきたのは、黒い影だ。

 次々と現れ、ヴォルフたちを囲んだ。


「なりそこない!」


「さっきより多いんちゃうか?」


 ヒナミ以下、乙女たちは武器を構える。


「ヴォルフ殿、先に行くでござる!」


「し、しかし……、エミリ!」


「レミニア殿が待っているのであろう! 拙者らには気にせずに」


「だが、エミリーたちをおいては――――」


 反論したところで、エミリーはヴォルフの襟を掴む。

 強引に引き寄せると、そのまま唇をヴォルフのに重ねた。


「おお!」

「おやおや」

「ああ!!」


 戦場で行われた接吻を見て、他の女性陣が声を上げる。


 一方、エミリはヴォルフから手を離す。

 耳たぶまで真っ赤になったヴォルフを見て、可憐に笑った。


「続きは次に会った時にするでござるよ」


「エミリ……。すまん」


 ヴォルフはエミリを抱きしめる。

 それは刹那であったが、優しく強いものだった。


「ヒナミ!」


「みなまで言うな! 大事な娘を助けに行け!」


「クロエ! アンリ様!」


「心配せんでええよ。雑兵が集まったところで雑兵やし」


「レミニア様とはまだ腕相撲での決着がついてませんからね。親子で戻ってきてください」


「……ありがとう!」


 ヴォルフは踵を返す。

 そのまま1度も振り返ることなく、ミケと一緒に聖樹リヴァラスの方へと向かった。


「ええなあ。うちもヴォルフはんが帰ってきたら、ハグしてもらわれへんやろか」


「接吻ではないのか、クロエ」


「そこまで贅沢は言わへんよ」


「エミリ様、ずるいです!」


「ふふん。アンリ殿、これは役得というものです」


「兜の緒を締めよ、各々。ヴォルフでも誰でもいい。そなたらそれぞれ大事なものを浮かべよ。そして――――」



 生き残るのだ!



「「「おう!!」」」


 その声は戦いの狼煙となる。

 各々が思い描く大事なものをかけて、乙女たちの戦さが始まった。


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[気になる点] エミリの名前、エミリーなのかエミリなのか……伸ばすときと伸ばさないときがあり混乱します。
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