新しい旅立ちの朝◇
僕は夢の中でまどろんでいた。
いつもは一人で寂しい夜が多かったけど、今日はとても安らかな気持ちだ。
それになんだかとてもあたたかい。
僕の記憶にはもう全然残っていないけど、母親に抱かれる子供というのは、もしかしたらこんな気持ちなのかもしれないね。
このままずっと眠り続けていたい、なんて思ってしまう。
とはいえ、僕は一人で暮らしていたはずだ。
だからこそ寂しい夜を過ごしていたんだけど……。
だとしたら、誰かに抱かれているみたいなこの感覚は何だろう。
うっすらと目を開く。
床で眠る僕の腕の中にいたのは、ライムだった。
そういえば前にもこんなことがあったような。
ライムはまだ人間の生活に慣れていないのか、ベッドで寝ていても気がつくといつも僕のそばに来ているんだよね。
いつも主人のそばにいたがる猫のようなものかな。
なんて冷静に分析してる場合じゃない。
目が覚めてくるにつれて、だんだんと今の状況がわかってきた。
やがてライムも目を覚ました。
自分が置かれている状況に気がつくと、はにかむように微笑む。
「もう、カインさんったら、繁殖期になったら教えてくださいっていったのに……いつも強引なんですから……」
「うわわわっ! ご、ごめんライム! 寝てたから気づかなくて……!」
僕はあわてて飛び起きた。
でも、なんか僕が悪いみたいな感じになっているけど、あくまでもライムが寝ぼけて僕のところに来ただけなんだよね。




