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16歳になりまして

騎士団に復帰した私は団長であるイーニアスの下、厳しい訓練に励んでいた。

今回の騒動で王様から私とユリエルには厳しく指導するように言われたらしい。


早朝から走り込みを行い、素振りを千回行った後は団長との手合わせだ。

騎士団の仲間たちからは鬼のイーニアスと呼ばれている騎士団長との手合わせはお爺様との手合わせとは違い、魔法をバンバン使ってくる。

そのため、魔法になれていない最初のころはよく気絶をしてカリーナさんに兵舎まで運んでもらっていたが、半年程経つ頃にはボロボロになりながらも自分の足で兵舎まで帰れるようになっていた。


ユリエルは魔法は使えるが、まずは剣を扱えるようになるためひたすら団員の人たちと打ち合いをしている。そして、いつも終了の合図が鳴るのと同時に地面に倒れ込んで他の団員の人に兵舎まで運んでもらっていた。


後、姫様とお友達になってから姫様はたまに訓練を見に来るようになった。




そんな生活をしているうちに五年の月日が経ち、私は16歳になった。


15歳の成人の儀式は王城で行った。

思ったよりサクッと終わった。

この世界では儀式は簡単なものが多いらしい。

あまりに長く重々しいと飽きてしまう私にとってはありがたいことだ。


隣国との戦争は私が森でやらかしたすぐ後に一時休戦となった。

どうやら森に居たあの兵士たちは精鋭だったようでそのほぼ全員が小さい女の子一人にやられたとあっては戦争をこのまま続けるわけにはいかなくなったのだろう。

だが、いつこの休戦状態が終わるのかは分からないため訓練は戦争が行われていたころと同じように行われている。


そして、現在。16歳の誕生日を迎えた私だが、今日は誕生日だからと一日休暇がもらえた。

今日はレイラに夕食に呼ばれている。

誕生日のお祝いをしてくれるらしい。

「期待していて!腕によりをかけて美味しいものを作るから!」

とレイラが意気込んでいたのを思い出して少し笑みがこぼれる。


それまでは暇でやることが無いので、城の中庭で読書をしているとユリエルがやってきた。

ユリエルは5年前とは比べ物にならないくらいに身長は伸び、体格もがっしりとした大人の男性のものとなっていた。

それに5年前は幼さの残る顔で年下だと思っていたが、実は私と同い年だった。

それに可愛い顔だなと思っていたが、成長した今となっては可愛いではなく、爽やかなイケメンになっていた。


私が気づいて声を掛けるとユリエルは返事を返した後、そのままそこにずっと立っている。

私はどうしたのかと思い、ユリエルを見つめるとユリエルは一つ深呼吸をした後、


「リリー。今日、一緒に街へ出かけないか?」


私は突然の誘いに少し驚いたが、たまには城の外に出て買い物をするのもいいかもしれないと思い、ユリエルと出かけることにした。


街へと出かけた私とユリエルはいろいろな屋台を見て歩いた。

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもので、日もすっかりと暮れてしまい、もう帰らなければいけない時間となっていた。


レイラとの約束もあるので、そろそろ帰ろうとユリエルに言うと頷いてくれた。

兵舎の前で別れてレイラの元に向かおうとすると後ろからユリエルに呼び止められた。

振り返るとユリエルは顔を真っ赤にしながら私に小さな小包を差し出してきた。


「そ、その今日はリリーの誕生日だっただろう?プレゼントなんだが、気に入ってもらえるか・・・・。どうにも女性が喜ぶものが分からなくて。」


そう言ってユリエルはとても不安そうな顔をしている。

私は小包を受け取り、開けてもいいかと聞き、どうぞ。と返事がかえってきたので、開けてみると小さな箱の中には中心に緑の石があしらわれた十字架の形のネックレスが入っていた。


「綺麗・・・・」


私はユリエルが必死にプレゼントを選んでいる姿を思い浮かべて心が温かくなって、

中心にはめ込まれている石の色がユリエルと瞳と同じ色だということに気づいて、顔に熱が集まった。


ユリエルはそんな私を見て少しホッとした顔をするとネックレスを首にかけてくれた。

そして、そのままお互いに気恥しくなり、また明日。と言ってその場を離れた。


待ち合わせをしていた部屋に辿り着いた私の顔を見たレイラは驚いて

「どうしたの?耳まで真っ赤よ」


と言うので先ほどの事を説明するとレイラは勢いよく立ち上がり


「なんて馬鹿なことをやってるの!?そんなことがあったなら私の所に来るんじゃなくてそのまま一緒にご飯に行って、あわよくばそのまま一晩を共にすればいいのに!」


そんな過激な事を言うので私はますます顔に熱を集めながら慌ててレイラの口をふさいだ。

レイラは清楚な見た目に反してこちらが聞いていて恥ずかしくなるような事を言う。


その後もレイラはブツブツと言っていたが最終的に

「まぁ、私が作った料理が無駄にならなくて良かったわ。でも今度はそういうことがあったらちゃんと言ってね?約束よ。」


と言って笑ってくれた。




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