約束
目を覚ますと白い天井が目に入った。
辺りを見回すとリスの女神さまが籠の中で寝ているのが見えた。
ベッドの横にはユリエルが椅子に座り、頭だけベッドに乗せた状態で寝ている。
どうやら生きていたようだ。
私は起き上がろうと力を入れると、右の肩に激痛が走る。
「つっ、」
!
「まだ、動いちゃダメです!結構深く切られたんですから。」
私が動いたからか、目を覚ましたユリエルに怒られてしまったので、ベッドに再び横になる。
ユリエルを見て
「あれからどうなったの?」
そう聞くとユリエルは今にも泣きそうな顔で
「ご、ごめんなさい。僕が余計な事をしたから・・・。僕がもっと強ければ、僕が、僕が・・・」
と言って目に涙をためながら謝ってくるので、
「いいのよ。もとはと言えば私があの場所に行ったのがいけないんだから。それに、あの時ユリエルが助けてくれなかったら死んでたわ。助けてくれてありがとう。」
そういって笑いかけるとユリエルはボロボロと声を出さずに泣き出してしまった。
私はオロオロと焦って
「えっ、どこか痛い?大丈夫?ハンカチは、見当たらないし、このタオルは使ってもいいのかな?」
左手で何か顔を拭けるものを探していると、それを見たユリエルは涙を流しながら笑い出した。
私がどうしたのかと驚いて固まっているのを見てユリエルは
「いや、何でもない。何でもないんだ。」
ユリエルは涙を拭くと私の手を握り
「決めたよ。僕は君より強くなる。だから、僕が君より強くなったら、今度は僕に君を守らせて欲しい。」
ユリエルにそういって微笑みかけられ、泣き止んだことに安心した私は
「えぇ、あなたが私より強くなったらお願いするわ。約束よ?」
「あぁ、約束する。きっと強くなるよ。」
そういってまだ成人前の幼い二人は、爽やかな風にカーテンがなびく城の病室で約束を交わしたのだった。




