森へ
翌朝、起きると、アリーが付いていくと言って私のポケットの中に入って来た。
いつもはいかないのにどうしたんだろうと尋ねると、
「今日は森へ行くんでしょう?なら、沢山木の実がありそうじゃない。」
そういっていた。
・・・私の心配ではなく、木の実が目当てなんですね。知ってましたとも。
武器はこの前の試合で使っていたからか、日本刀を支給された。
今回は刃を潰していないきちんとした刀だ。
私はそれを腰に差し、
入り口に行くとカリーナさんが待っていてくれた。
カリーナさんと挨拶をかわし、カリーナさんの後をついていく。
ついって言った先は城門でそこにはすでに全員揃っており、私は今日から入る新人だと紹介された。
私の紹介が終わると騎士団長が前に出てしゃべり始める。
「本日は森の中に行き、最近増えてきている魔物の退治を行う。魔物が比較的弱いところとはいえ、気を抜かないように。なお、新人二人は隊の後ろからついてくるように。」
と言って隊は森に向かって出発した。
新人二人?
一人は私として、もう一人は?
と思い辺りを見回すと、一人、私より少し低い身長の男の子がガチガチになって立っていた。
きっとあの子だろう。
近づいてみると、その子の髪はミルクティーの様な色をしており、瞳は薄いグリーンで優しい雰囲気を持っている。
「貴方がもう一人の新人さんですか?」
私が話しかけるとその子は肩を跳ねこちらを見て
「そ、そそそそそうです。ユリエルと言います。」
「私はリリアンと言います。今日は一緒に頑張りましょう。」
そう言って手を差し出すと
手をぎこちなくも握り返してくれた。
隊に後ろからついていき、森の中に入っていくと珍しい『マツタケタケ』が生えていた。
一つだけ取って帰ろうと思い取るとさらに奥にこれまた珍しい『マツクリン』があった。
それを取ったら帰ろうと思い拾うとまた少し先に珍しい山菜が・・・
気が付くとどんどん隊と離れて森の深くに入っていた。
「初日から迷子になってしまった・・・。お城に帰るのは簡単だけど隊に戻った方がいいよね。」
そう一人で呟きながら辺りを見回すと後ろにさっきの男の子がいた。
「え?もしかして一緒に付いてきてたんですか?」
その子はコクコクと頷くと
「あ、あの一人で行ってしまうと危ないと思って・・・でも、先輩に報告する余裕もなかったので・・・」
と言っていた。私がどんどん森の中に入って行ってしまうので慌てて追ってきてくれたのだろう。申し訳なく思いながら
「そう、ごめんなさい。あなたまで叱られてしまうわね。そろそろ戻りましょうか。」
「は、はい。けど、道が分からないんですが、戻れるんでしょうか?」
「そこは大丈夫よ。私、これでも実家が森の近くだったから慣れているんです。」
私は張りきって先ほどの道に戻ろうとすると風に乗って煙の臭いが運ばれてきた。
この森の中で騎士団が昼食のために火を焚いているのかとも思ったが、お昼にしてはまだ早い時間帯だ。それにここは方向が騎士団の目的地とは違う方向だ。
私はユリエルに向かって静かに、音を立てないように注意をして煙の香りがする方向に慎重に進んでいく。
気配を殺して近づいていくと森の少し開けたところに人の姿が見えた。
茂みの中からそっと様子を伺うと敵国の紋章が描かれているテントが張ってあった。
!?
まだ敵国は攻めてきていないはずなのにどうしてこんなところにいるのだろうか。
急いで隊に知らせなければいけないそう思い後ろに少し下がると
―パキッ
しまった。音を立ててしまった。
音がしたことでこちらを一斉にみられる。
「お、おい。今音がしたぞ。まさか気づかれたんじゃ・・・」
そういって槍を持ちながらこちらに近づいてくる敵国の兵を見て
「ひっ」
ユリエルが声を発してしまった。
その瞬間一気に殺気立つ敵国の兵士たち。
気づかれてしまった。
ユリエルに逃げようと手を差し出すが、
腰が抜けて動けないようだ。
フルフルと首を横に振っている。
ユリエルをここに残して逃げるわけにはいかない。
だが抱えて逃げ切れる自信はない。
私はもう逃げられないと思い茂みから飛び出した。




