試合の結果
王様の合図と同時に地面を蹴り、一気に間合いを詰める。
―先手必勝だ。
下から刀を斜めに振り上げ、周りには土煙が舞う。
(視界が悪い。いったん距離を・・・)
私が後ろに引こうとしたとき、土煙の中から団長さんが飛び出てきたと同時に横に剣を振りぬかれる。
「!!」
私は後ろに飛び何とか回避する。
回避するが、連続で攻撃が繰り出され受け止めることで一杯一杯になる。
(どうにか立て直さないと・・・)
私はお爺様との稽古で学んだことを思い出した。
―いいかい、リリー。お前は長期戦には向ていない。ならば先手必勝で勝ちにいかねばならん。
だが、世の中にはお前より速い動きをするものはたくさんいるし、必ず相手より先に動けるとは限らない。
そんなときは機会を伺うんだ。相手だって人間だ。なら必ずどこかに隙ができる。そこを見逃してはいけないよ。
あと、お前の悪いところは相手に追いつめられると、腰が引けて攻撃を受け止めるだけになる癖がある。そうなってしまうとチャンスが来た時に動きが遅れて逃がしてしまうことになるから、姿勢を正して、真っすぐに受け止めるんだ。それがお前に勝利をもたらしてくれるだろう。
そうだ。隙が生まれるのを見逃さないようにしなくちゃいけない。
姿勢を正してチャンスが来た瞬間動けるようにならなくちゃいけない。
私はすさまじい速さで繰り出される攻撃を受け止めながら姿勢を、引けてしまっていた腰を戻す。そして、団長さんの剣の軌道を落ち着いてきた心で見る。
すると、振りかぶる時にフッとわずかだが剣を握る力が抜けているときがあることに気が付いた。
私は団長さんが振りかぶった瞬間に剣を握っている手を横に払った。
剣は団長さんの手から離れ、円を描きながら地面に刺さった。
私が間合いを詰め、首に剣を突きつけようとした次の瞬間、団長さんの足元から炎が噴き出した。
素早く距離を取るが
炎は瞬く間に広がり、私を取り囲んだ。
「なっ!炎!?」
熱で揺らめく向こう側で団長さんが話しかける。
「魔法を見るのは初めてか?オルフェイ領は昔から剣ばかりで魔法を使っていないからな、
無理もない。だが、こうなってしまった以上、お前に勝ち目はない。諦めるんだな。」
ここで負けるわけにはいかない。負けたらお爺様が戦いに出なければいけなくなる。
ならば、と空を見上げる。空には炎はない。
「諦めません。私は勝たないといけないんですから。」
「そうか、ならば仕方がないな。」
そういって炎の壁をさっきよりも高くされる。まだ、越えられる。
炎の向こうから声が聞こえてくる。
「諦めるまで待たせてもらう。・・・これは試合だからな、殺しはしない。」
高くなった炎の壁を見上げながら膝を曲げ、グッと足に力を込める。
そして空高くジャンプをし、炎の壁を飛び越える。
「!?」
一瞬団長さんは驚いた顔をしたが、すぐに何かを呟いた。
私は空中で剣を振りかぶり団長さんに向かって振り下ろそうとした。
-瞬間
腹部に衝撃が走り、私は気を失った。
試合は、負けてしまった。




