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終戦

――1943年1月、高等研究計画局、スーツ、高田あき


お正月なのでネットみてます。一部で研究が軍用よりになっている。そう、耐熱金属、ロケット燃料、火薬とかだね。核燃料再処理も進んでいる。軍人たちもなんか言ってるけど、戦争指導室の参謀たちよりいろいろ理解が深い気がする。


――1943年1月、大本営 情報局、従軍服、高田あき


フィンランドが対ソ開戦してくれた。工作しとくものだね。対戦車ロケット装備のスキー山岳兵が活躍したらしい。

失地回復どころじゃなくてレニングラードに近づく勢い。


――1943年2月、大本営 情報局、従軍服、高田あき


トルコ経由の工作でウクライナが離反。共産党は大幅な威信低下。ソ連はついに停戦に同意。

はあ、1個片付いた。米は大人しくしてるけど、なにか溜め込んでるんだろうね。スマホ見て恐怖したのか、電波出さなくなったので、ケーブル傍受頼り。正確なところはわからないけどあたりはつく。


――1943年3月、大本営 情報局、従軍服、高田あき


B29中心、1万機規模によるワシントン州拠点空襲。ボーイング工場は疎開してるのによくこんなに作ったね。対空誘導ロケットによる防空が成功。それでも偵察機、レーダーなどを中心に被害が大きい。米に2個師団ぐらいはこんでいるけれど、高山地帯の配置が多いから冬場は大変、前線におけるのは1割ぐらいだね。

ソ連は、ウクライナ、満洲国の承認、モンゴルの利権放棄。計算機、大量破壊兵器、原子力技術、ロケット、ジェットの開発禁止、天然資源採掘量制限、カムチャッカ、北樺太の領土で手をうった。モンゴルは満洲国よりの新政権が成立。こっちはかたがついたね。

対米はどうにもなってない。なにか案はないかとか言ってくる人も多いけれど、こっちから動くのはむりむり。これは選挙待つのが早いんだけど、いろいろ危険な動きがある。


――1943年7月、大本営 情報局、従軍服、高田あき


ソ連改めロシアからの復員がすすんで、陸軍の新規動員を停止。北米の兵力の交代にも余裕がでてきた。建前で大本営従軍服だけど、参謀たちは終わった感出してる。


――1943年11月、高等研究計画局、スーツ、高田あき


前線から帰ってきた人とかもいて、ネットは賑わっている。一部インフラ以外、端末に依存しないから、接続ユーザもどんどん増えてるからね。化学、生命分野でも研究がすすむようになってきた。

でも、お正月までに戦争が終わる気配はない。


――1944年2月、大本営 情報局、従軍服、高田あき


さすがに党内の反発が強くて大統領選はやることになったらしい。

ついに核弾道弾が完成したので北大西洋でデモ。テレビ中継つき。フィンランドの協力を得て、ソ連軍艦をならべてみた。

核先制攻撃の議論は被害が少ない形中心に長々と続いたけれど、最終的にこんな。

これであきらめてくれるといいんだけど、そうもいかない。そろそろ来る頃だね。


――1944年5月、大本営 情報局、従軍服、高田あき


核弾道弾3発飛んできたよ。核だね。

アラスカの早期警戒網で発見して核対空ロケットのEMPで迎撃。すべて撃破。米の核兵器の重量と弾道弾の性能から、EMP防御する余裕なんかないはずなので大丈夫だとは思ってたけど、本当に安全を確認するまで心配だった。無事でよかったよ。

あれ、結局怪力光線?


――1944年6月、大本営 情報局、従軍服、高田あき


偵察衛星の打ち上げに成功。弾道弾の発射準備を確認した場合は、ただちに弾道弾攻撃を行うとテレビ放送で通知する。衛星偵察の写真つき。端末飛ばしたからきれいだ。このぐらいで手をうってよ。


――1944年7月、大本営 情報局、従軍服、高田あき


トルーマンが民主党大統領候補になった。米に攻勢の予兆はみられない。


――1945年4月、情報局、スーツ、高田あき


さすがに大統領選で民主党が惨敗して停戦。選挙無効とか言ってたけど軍は動かなかった。ふいー。


――1945年12月、情報局、スーツ、高田あき


米への要求は満洲国承認、領土はグアムとアリューシャンだけ。ハワイは独立。米もソ同様に計算機、大量破壊兵器、原子力技術、ロケット、ジェットの開発禁止、天然資源採掘量制限。

満洲国は立憲君主制の下、民主化が進む。アジアの加盟国が増えた。

関東州は原子力設備の関係で維持。

ベトナム、インド、インドネシアは独立して国際連盟加入の方向。

英国はインドを失っても国力を維持している。工業力と資産の積み上げは大きい。

お正月がきたよ。


――1949年4月、高等研究計画局、スーツ、高田あき


転移して15年たった。戦争が終わって4年。私もそろそろリタイアして平和な生活が送りたい。


世界は平和だし発展している。スマホはまだないけど、インターネットができてLSIコンピュータが参加している。国際連盟主導でインターネット使用は免許制になっていて、科学的、批判的思考あたりが試験科目。国際免許。結構みんなもってる。インターネットによる知の保持が目標だね。

国際的な税制の統一も進められて多国籍企業や大富豪の税金回避は難しくなった。国家間の資本再分配もフェアトレード義務付けなどで制度化されている。

決済サービスは日本製が世界標準。キャッシュレス化がすすんでるからなんでもわかるよ。金利や通貨交換レートもある程度管理下にある。

高温ガス原子炉を燃料込みでリースして再処理はすべてこちらでやってる。安くしてあるから化石燃料の消費は減っている。これのおかげで炭素税が全世界に通った。運輸コストは結構高い。

フェアトレード条項とこれのおかげでローカル経済が保持されている。

決済手数料の釣り上げで信用経済の規模は制御下にある。

デジタル搾取を防ぐために、オープンソフトウェア原則を打ち出したいところだけど、決済サービスの内幕も解放することになるから、簡単には実行できない。

日本はばかみたいに豊か。端末や私の活動も含め高等研究計画局の活動も表にでた。


でもね、日本はなんだか怪しい政体になっている気がする。議会も官僚もメディアも軍も全部、一般には知られてない謎の存在である情報局が握ってるんですけど。何なら国際連盟、米英仏ソ中、程度の違いはあるけれどすべて操作可能。

情報局っていうけど、人は増やしてないから何人もいないし。ねえ。大丈夫これ。どこの第2ファウンデーション? どうやってリタイアすんのこれ。


えっとじゃあ操作不能にすべく、全世界について

・オープンソフトウェア原則によるサービスの独占阻止

・広告ブロッカーの投入で実質ネット広告禁止

・資金移動全公開

・通信実名全公開

・デジタル直接民主主義


てんこもりだな。どうなるのこれ。全世界これでどうだ。どん。


757/5600/1800/1843

邪神引退エンドでした。


お読みいただいたみなさま、電波強度の高いお話にお付き合いいただき、大変ありがとうございました。多数の方によんでいただきうれしく思っております。

このあと、IFストーリーをちょっと追加して、完結とします。

最後になりますが、山口多聞さま、架空戦記創作大会2025夏開催ありがとうございました。研究教育機関のお題がなければ、まったく違ったお話になっていたとおもいます。

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― 新着の感想 ―
これ、1週目のアメリカの視点が気になる 難癖を着けて自分から攻めたのはいいが 返り討ちにあったり、アメリカ国民が信じてた正義(日本がドイツと同じ) が冤罪でただのでたらめであったことが判明した瞬間とか…
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