表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と魔法とステンガン ――ゴスロリなショップ機能(英国面強め)で目指せ優雅なスローライフ!――  作者: 石和¥
教会の犬

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

126/339

鋼の有袋類

PV100万超に加えて、総合評価も1万ptを超えました。

ありがとうございます。

 ……さて。状況はわかったけれども、どうしたもんか。

 解放されたといっても獣人とドワーフの元猟兵が十三名、プラス俺とヘイゼルの十五名は戦場となりつつあるゲミュートリッヒの町から南に一キロほどの街道上で剥き身で立っているわけだ。

 北側で町への侵攻があったというが、そちらはたぶん問題ない。まだ夜明け前の静けさのなか、遠くでパラパラと小さく響いているのはブレンガンの射撃音だろう。規則的で間隔も安定しているから、順調に敵を削っているであろうことは想像がつく。


「王国軍の、本隊が来る」


 元猟兵のネコ獣人女性が俺とヘイゼルに告げる。

 彼らが把握しているところによれば、別働隊が北側への陽動を掛けるなかで猟兵が爆弾による破壊工作を行い、その隙に本隊が町の南側正門から攻め入る算段だったようだ。

 本隊は概算で軽騎兵四十、軽装歩兵六十、魔導師十。兵士を積んだ荷馬車が四、五台と……大型の機械弓と城門突破用の魔導破城槌を積んだ装甲馬車が一、二輌。


「魔導破城槌? なにそれ」

「耳で聞いただけで、詳しくは知らん。俺たち猟兵には作戦など知らされんのだ。その頃には……魔導爆裂球(あのタマ)ごと吹っ飛んでる筈だったからな」


 ドワーフ男性が溜息混じりに言うのを聞いて、今更ながらに怒りが込み上げる。


「俺たちはアンタらの町に……しかも俺は、女子供が避難した先に突っ込まされるところだった。死ぬのはともかく、巻き添えを出さずに済んだことには感謝してる」


「ふふっ♪ もう殺しましょう、ミーチャさん」


 ヘイゼルが穏やかな笑みを浮かべながら振り返る。


「そんな外道なことを考える奴らは、地獄の苦しみを与えながら(くび)り殺すのが神の摂理です」

「ああ、うん。そこは同感だけど、お前は無神論者だろ絶対」


 出物のセンチュリオンがあるのでまとめて轢き潰しましょう、とか嬉しそうに言ってるけどさ。


「そんなもん買っても後で使い道ないだろ。戦闘直前に主力戦車(M B T)なんて、しかも真っ暗いなかで調達されても俺は操縦も砲撃もできんぞ」


 元猟兵のみんなは俺たちの会話がちんぷんかんぷんのようだけど、どうやら“王国軍など恐るるに足らず”というところは汲んでくれてるらしい。

 そらそうだ。あの小ぢんまりした2ポンド砲だけでも、この世界にはオーパーツだもんな。


「なんでしたら、擱座状態(ディセーブル)のサラセンを砲台にするのもアリですよ。どうせ王国軍に、こっちの装甲を抜ける兵器はないです」


 それはそうかもしれん。自慢のなんとか爆裂球も、結局は足回りを壊すのが精いっぱいだったしな。


「悪くないです。ヴィッカースでゆっくり細かな微塵切り(ファイネリチョップ)にしてやりましょう」

「だから、その笑顔が怖いって」


 とはいえ、もう迷っている時間はない。いま陽動部隊が北門に押し寄せているということは、本来は猟兵部隊が町中で撹乱と破壊工作を行っている頃合いなのだ。爆発が起きないとわかれば本隊が警戒するかもしれない。


「ヘイゼル、とりあえず砲台になるのはナシだ。ここの全員が乗れる装甲車輌を頼む。予算内なら金額も車種も任せる。武装は……馬を殺したくないなら狙い撃ち可能なものを考えてくれ」

良い物があります(ゲッタ・ブリテン)♪」


 うん、そこで即答かい。あんま期待できる感じはないけど、お任せした以上は受け入れよう。なんか森の小道があった南西の方角から馬と車輪の音が近付いてきているしな。さすがに逃げ隠れする余裕はない。


「さあ、どうです⁉︎」


 ……どうです、って……言われてもな。

 ヘイゼルの後ろに現れた巨大な代物を見て、元猟兵の十三人が一斉に息を呑んだ。


「「な」」


 なにこれ、と言いたかったのかもしれんが、誰もが驚愕で言葉にならない。

 俺も同感だ。あまりの巨体と威容、そして鋼鉄の塊が発する恐ろしいほどの威圧感。それ以前の問題として、ものっそいリアクションに困る。

 なんとなく、思ってたんと違った。


これぞ英国ディス・イズ・ブリテン♪ ちょっと狭いかもしれませんが、諸元によれば十名前後の兵士とクルーふたりを収容していたようですから、きっと大丈夫です」

「なあ、ヘイゼル。それは良いけど……なんなん、これ?」


 ヘイゼルは満面の笑みを浮かべて、俺たちを車内へと(いざな)う。誘われたところで、大き過ぎて誰も乗れんのだが。梯子をくれ。


装甲兵員輸送車(A P C)タイプの改修戦車、“ラム・カンガルー”です!」

【作者からのお願い】

「面白かった」「続きが読みたい」と思われた方は

下記にある広告下の【☆☆☆☆☆】で評価していただけますと、今後の励みになります。


お手数ですが、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] これオープンエアやないかい節子タンクデサントでもする気かい投擲武器でも調達する気かい節子………… そこにお返し出来るブツがあるゥゥゥ!
[一言] これ、砲塔外しちゃイカンだろ。せめて、小銃持った兵員と盾持ちがいないと乗員が危なすぎるわ。
[一言] いや……砲塔外しただけの元戦車やん(汗)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ