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伏兵の野菜
ゴパルが、内臓の串焼きと、ジャガイモのグラタンもパクパクと食べ終えて、最後にパテが塗られたパンをかじりながら、生野菜で口直しをした。そのゴパルの目が、驚きに変わる。
「あれ? これって生野菜では無いですね」
協会長も、改めて野菜を食べて気づいた様子だ。サビーナがドヤ顔になった。同時にちょっと感心している。
「ほんの少しだけ、ダシに漬けて、火を通してあるわよ。雨期の野菜って、風味が薄いのよね。カルちゃんの野菜でも、水っぽいのよ。で、こうする事で、風味を引き立てているって訳」
なるほど、と感心しているゴパルに、サビーナが聞いた。ちょっと真面目な表情だ。
「……で、野菜や、この子鳩だけど、臭みを感じたかしら?」
きょとんとするゴパルである。協会長も、首をかしげている。それを見て、サビーナが少し寂しげに微笑んだ。
「まあ、フランス料理の調理技法で、臭みは取り除いているけれどね。何というか、影のような感じ、かな」
しかし、神妙な顔も、この数秒間だけだった。すぐにいつものドヤ顔に戻る。
「これが、KLで何とかできれば、面白くなるわよ。頑張りなさい」




