サルミソース
砕いた子鳩ガラと野菜を一緒に炒め、蒸留酒のアルマニャックを加え、次に白ワインを注いで煮詰めていく。
半量になるまで煮詰まったら、鶏ガラと野菜で取ったダシを加える。弱火でアクを取りながら、さらに煮詰めていく。子鳩ガラや野菜を濾し除いて、トロリとなるまで煮詰め、最後に味を整えるとソースの完成だ。
なお、子鳩ではなく、成鳥である鳩のローストの場合には、成鳥の鳩ガラと内臓を使う。ワインも白では無く、赤を使う事もある。その場合は、色合いが濃くなり、風味も強くなる。特に、肺等の血の気の多い内臓を使うと顕著だ。
子鳩は、子鴨と比べると脂が弱く、山鳩や森鳩と比べると控え目な風味だ。そのため、今回の料理では、鶏ガラのダシを使った穏やかなソースを使っている。このダシによって、子鳩に不足しているゼラチンを補い、トロリとしたソースに仕上げている。
「ま、これでも大雑把な説明だけど、こんな感じよ」
かなり手間をかけて作っていると知って、恐縮しているゴパルに、優しい視線を投げかけるサビーナである。
「モレ・サン・ドニもローストとは相性が良いんだけど、別の素材を使ったサルミソースの場合では、相性が変化するものなのよ。例えば……」
サビーナが少しの間、考えてから話を続けた。
「鶏ガラのダシの代わりに、鴨ガラを使った、フォン・ド・カナールっていうダシを使ったソースであれば、また別の赤ワインが候補に挙がるわね。さらに、フォワグラやトリュフを使った子鳩料理となると、それらとの相性の良いワインが、お勧めになるのよ」
そうサビーナに説明されても、よく分からない様子のゴパルである。サビーナが微笑んだ。
「ま、それほど恐縮する必要は無いって事よ、ゴパル君」




