表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
氷河には氷があるよね編
187/1133

トマトソースのパスタ

 給仕長が穏やかな声で、次のパスタ料理を運んできた。さすがにランチだけあって、結構多めだ。

「トマトソースのパスタです」


挿絵(By みてみん)


 早速、ゴパルがフォークとスプーンを使って、赤いトマトソースがたっぷりと絡まっているパスタを巻いた。

 豚の頬肉の塩漬けと、燻製香りが若干するベーコン、それに細かく刻まれたマッシュルームが、ソースに程よく混じっている。ニンニクは控え目だが、香草の香りが強い。

 しかし、緑色の葉や、根らしき物は見当たらない。乾燥パセリの粉が、少しだけかかっているだけだ。


 首を少しかしげたゴパルが、協会長にパスタを給仕している給仕長に聞いた。

「あの、ギリラズ給仕長さん。ハーブの香りが強いのですが、これはどうしているのですか? パセリ以外のハーブが見当たらないのですが」

 給仕長が、にこやかに微笑んだ。

「ええ。水溶性の香り成分を、厨房で蒸留して抽出しています。その蒸留した水を、香水代わりに使っているのですよ。葉や根があると、どうしてもトマト果肉の滑らかさを邪魔してしまいますから。」

 そうなんだ、と感心しているゴパルに、給仕長が補足説明をしてくれた。

「乾燥パセリは、飾りという意味合いが強いですね。パスタだけでは、少々、見た目が悪いもので。他には、コショウもかけておりますよ」

 そういえば、彼もバラの香りに包まれている。これも同じ蒸留香水か何かを使っているのだろう。

 アバヤ医師が、ゴパルにニヤリと笑いかけた。

「それだけでは無いぞ。油やアルコールを使っての香り抽出もしておる。ポカラは亜熱帯から温帯まで年中揃っておるからな、こういった芸当も、地元産のハーブで可能なのだよ」

 首都は、標高がポカラよりも高い千四百メートルなので、亜熱帯ではない。バナナが育つ場所へ行くには、カトマンズ盆地を出て、トリスリ川といった、深い谷底を流れる川のほとりまで下らないといけない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ