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アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
氷河には氷があるよね編
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段々畑のトマト

 そんなゴパルを、興味深い様子で眺めていたカルパナであったが、ふとスマホを取り出して、時刻を確認した。

「まだ時間に余裕がありますね。では、ゴパル先生。せっかくですので、他の畑も見て行きますか?」

 ゴパルが垂れ目をキラリと輝かせた。

「良いですね。ぜひ、お願いします」


 他の段々畑は、トウモロコシとアスパラガス、それにトマトが育っていた。

 それを見て病害虫の話や、肥料不足の話をするカルパナとゴパルであった。二人とも農業についての知識があるので、話が弾むようである。どちらかというと、ゴパルがカルパナから教わる点が多いようだが。

 ゴパルがトマトの茎と葉を摘んで、黄色く小さな花の房を数えながら、感心している。そのまま、尊敬の視線をカルパナに向けた。彼女は、脇芽を摘み取っている。

「雨期の露地栽培なのに、病気がほとんど出ていませんね。生長にも無理が生じていないので、茎の太さに急激な変化が出ていませんね。さすがです」


 トマトは雨に弱い。病気に弱くなるし、果皮が割れる恐れも増える。

 また、急激に生長すると、茎が不自然に太くなってしまう傾向がある。そういうトマトは徒長気味とちょうぎみなので、病気に弱くなり、収穫量も少なくなってしまうものだ。

 脇芽を放置すると枝になって、花が咲いてしまう。そうなると、養分が全体に行き渡りにくくなり、花が落ちたり、果実が大きく育たなくなる。商業生産をする場合、それでは都合が悪い。

 基本的に、側枝を一切生やさずに、主枝だけを真っ直ぐに伸ばす、一本仕立てにする。


 カルパナが、脇芽を摘み取りながら、照れている。

「恐れ入ります。肥料が不足しているせい、でもありますけれどね。自家採種をしているおかげで、この雨期でも病害虫はあまり出ませんが、トマトは小さくて、酸っぱいですね。収穫量も少ないです」

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