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アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
氷河には氷があるよね編
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栽培暦

 栽培暦というのは、いつ種をまくか、いつ苗を畑に移植するか、そして、いつ収穫するか等をカレンダーにしたものだ。これは、作物の品種ごとに異なり、さらに、栽培する場所によっても異なる。なので、米国の栽培暦が、そのままポカラで適用できるとは限らない。

 さらに、有機農法にも色々な種類があり、それぞれ栽培暦が異なる。ましてや、ポカラは高低差が大きい。

 カルパナがニンニク畑を眺めながら、困ったような表情をした。

「ここパメは、標高九百メートルの南斜面なのですが、川向うのチャパコットは北斜面です。ナウダンダは東斜面なのですが、標高千九百もありますし、さらにアンナプルナ連峰からの冷たい風が当たります。場所に応じて、栽培暦も変わってしまいますね」

 ゴパルも素直に同意する。

「ナウダンダは、バスの中から見ただけですが、イチゴ栽培をしていましたよね。一方、ここパメでは、バナナが露地で育っています。同じサランコットの丘ですが、頂上と麓で、この違いが生じていますね。農家への有機農業の普及は、大変だろうなと思います」


 カルパナが、少しいたずらっぽい笑顔を浮かべた。

「パメの奥に、隠者様の庵があります。ゴパル先生とも、お会いしたと仰っておられました。パメでのKL試験が上手くいけば、周辺の農村へ普及する際にも協力してくださるそうですよ。ですので、心情としては、それほど大変ではありません。技術的な問題だけです」

 ゴパルも、カルパナに言われて思い出したようだ。

「ああ……アバヤ医師に勧められて参拝した、バドラカーリー寺院で隠者様と、少しの間、話をしましたっけ。そうですか、彼が、この近くに住んでいるのですね。確かに、農業に造詣が深い方だと思えました」

 カルパナが、申し訳なさそうに微笑んだ。

「お説教を、たびたび受けています。バフン階級のくせに不浄まみれですからね、私は。庵では、お食事を毎日お世話していますよ」


 庵というのは、隠者が静かに暮らしている家だ。一般人向けに、瞑想の場を提供したりしている。隠者も様々で、中にはヨガ教室等を運営して商売する者も居るのだが、この隠者は隠棲しているだけのようだ。

(パメから、バドラカーリー寺院までは、歩くと、一時間半はかかりそうな距離だったな。カルパナさんや番頭さん達が、バイクか何かで送り迎えしているのかなあ……大変だな)

 スマホで畑を撮影しながら考えるゴパルであった。

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