服装
カルパナとサビーナが、レカを連れてこちらへ歩いてきた。レカの挙動不審な動きは、二人が来たおかげなのか、すっかり正常に戻っている。
三人ともにサルワールカミーズ姿なのだが、性格がよく現れているように見える。
カルパナは、褐色の強い地味なオレンジ色だ。模様もシンプルで、襟から体の中心線を通って、裾に至る二本線が清々しい。よく日焼けしている顔にも合っている。
ズボンと肩ストールも同じ生地で、ストールの端だけに同じ縞模様が入っている。サンダルは、黒褐色のベースに、桜色の花柄が描かれているものだ。
サビーナは、藍色の生地だ。襟元には、銀色の小さな花模様が数層ほど描かれている。その銀色の花の縞模様は、体の中心線と両肩から三本、真っ直ぐ下にシャツの裾まで続いている。同じ花模様は、シャツの袖にも描かれている他に、シャツ全体にも散っていた。
ストールは模様無しなのだが、端だけには、ちょっと豪華な銀色のフリルが付いている。ズボンは花模様は無い。
彼女のドヤ顔に良く合っているなあと思うゴパルである。口には出さないが。彼女のサンダルは濃紺で、ワンポイントで銀色の星が付き、渋く輝いている。
レカは、若草色の生地だ。これに焼き藁色の幾何学模様が縞となって、襟と体の中心線、裾と袖に描かれている。肩ストールを巻いていないので、年齢よりも幼く見えている気がするゴパルだ。
まあ、眠そうな顔をしているので、なおさら、そう思えるのかもしれない。サンダルはレンガ色で、金色や銀色の飾りボタンが金属光沢を放っている。もちろん、本物の金や銀では無い。
それでも、三人の服装は、総じて全体に地味といえようか。
レイクサイドを歩いている、他のネパール人やインド人の方が派手だ。赤や黄色に黄緑色をベースに、金色に輝く金属製の飾りボタン等を付けている。
ズボンも、足首をキュッと締める形状ではなくて、ラッパ型や、大きな筒状のものを履いている人が見られる。ストールもグラデーションが入った生地や、金糸銀糸の豪華な刺繍が入ったものばかりである。髪飾りやネックレス、腕輪も豪華だ。
水牛と白い雌牛が、レイクサイドの通りを歩いてくる。それらが通り過ぎるのを、待つカルパナ達。そして、車やバイクが走る合間を縫って、小走りで通りを渡ってきた。
カルパナが三人を代表して、ゴパルと協会長に会釈する。
「お待たせしました」
協会長が、にこやかに笑って応える。
「雨が上がったので、車やバイクが増えてますね。駐輪場もそろそろ満車になる頃でしょう。では、軽くピザでも食べましょうか」




