ナヤプルへ
カルナから教えてもらった道を進むと、すぐに車道に出た。しばらく待つと、四駆便がガンドルンのバスパークから降りてきた。手を振って乗車の意思を示すゴパルだ。
ちょうど運転手が、行きと同じディワシュだった。
「よお。ゴパルの旦那じゃねえか。どうだったい?」
ゴパルがディワシュと握手を交わして、満足そうな笑みを浮かべる。
「おかげ様で、順調に仕事が進みましたよ。低温蔵の正式な建設認可が下りた際は、よろしくお願いしますね」
ディワシュが、ニンマリと笑った。
「おう。任せとけ。さあ、乗った乗った。ナヤプルまでチャイ、送ってやるよ。しかし、血だらけだな」
ナヤプルまではモディ川沿いの平坦な土道なので、四駆便も泥を跳ね飛ばして疾駆していく。それでも、デコボコな道である事には変わりがないので、かなり車が弾むが。
車内は、今回も満員だったので、ゴパルは屋上にしがみつく事になってしまった。
時々、車が悪路で跳ねて、大きくバウンドする。その度に、屋上の荷台から弾き飛ばされそうになるが、何とか、しがみついている。
「うわ。おわ」
口を開けていると、舌を噛みそうになるので、への字に口を閉じて荷台にしがみつくゴパルだ。
リュックサックには、まだガラス製の試験管が残っているので、それらが当たってカチャカチャと音がしている。
何度か、危うく車から引き剥がされそうになるのを、何とか堪えていると、ナヤプルに到着した。まだ夕方には早く、空も明るい。
荷台から降りたゴパルから、乗車料金を受け取ったディワシュが、白い歯を見せて微笑んだ。左右の太い眉が、互い違いに上下している。
「俺と、強力隊のサンディプなんだが、近々ポカラへ行くぞ。この車のメンテをしないといけないんでな。その時に、ポカラで会おう。レイクサイドの二十四時間営業の食堂で良いか?」
ゴパルが了解した。まだ多少、目が回っているようだが。
「分かりました。私は首都に居る場合があるので、ポカラでは会えないかもしれませんが。とにかくも、電話してください」




