はじまりの街四天王とかいう奴ら
あ、先輩、おはようございます……ふぁ……あくびが出る……えっと、何から観測すればいいんだろ。
時系列見る感じ、タワシとストーカーのとこか……この二人やんないと訳わかんなくなるかな……あぁ、憂鬱だ……
「……何言ってんだてめぇこのガキ」
「弟子にしてください!」
キラキラとした目でタワシを見上げるショタ。……何考えてんだコイツ。
「は? だからなんでだよ。てかどうでもいいから輝夜さんどこに行ったか答えろっつってんだガキ」
「ぼ、僕の名前は金弥です!」
「……なぁ、なんだコイツブッ飛ばしていいのか?」
人差し指と中指の間に、自身のハーレム要員達に作らせ……ん? これ作らせてる……のか。灰と粘土とかを混ぜて乾燥させたパチンコの球みたいな大きさの物体。粘土と混ぜても爆発するとかほんと酷い魔法すぎる。
タワシは周りに居る野次馬達に聞きます。野次馬達は金弥の行動に困惑しているのか、はたまた翁翔が怖いからなのか、何も言いません。
「ぼ、僕には好きな女の子が居るんです! どうしたら仲良くなれますか!」
いやこいつに聞くなよ(いやこいつに聞くなよ)
野次馬とハモった。シカタナイネ。やはりストーカー、人選がおかしい。惚れる相手も相手だし……いや、見た目だけなら可愛いとは思いますけど。いかんせん性癖がねぇ……私の親類縁者に居たら泣くわ……
「……いや、お前みたいなガキの恋愛とか知ったこっちゃねぇし、ついてくんな」
このボロクソである。流石にここは何かアドバイスでもするとこだろ……
「そ、そんなぁ……」
思わず涙目になる金弥。庇護欲がそそられたりするのかもしれないけど、本性知っている私は騙されません。
「うっせ、黙れ」
「イイッタイ、メガァァァ!」
どこの頭のおかしい爆発魔法使いだよこの野郎。いい加減にしろ。
金弥の目の前で眩しさを強化し、威力や衝撃を最低限にして灰丸を翁翔は爆発させました。軽く吹っ飛んだ粘土の破片が金弥の目にジャストインし、更に閃光によって目が眩んだようです。両目を抑えて金弥は悶絶します。
「ったく、無駄な時間食ったぜ」
そう言ってタワシは辺りを見渡します。辺り一帯には突然の閃光に目が眩まされた人々のうめき声が。無差別テロすぎる。というかそもそもこいつの魔法自体テロじみてるけども。
「ウェヘヘヒヘヘヒヘッ……ウヘヒヒャ……仕事が増える……」
「うわなんだアイツきめぇ」
奇妙な笑い声をあげるのは茶色の爽やかそうな短髪をした、作業着のような服を身に纏った男性でした。見た目に反して根暗な感じでなんか怖いですね……っていうかどっかで見たことある顔のような?
「フヒヒュヒュヒュ……測量の仕事かぁ……」
「おい、何やってんだ行くぞエドワード」
「う、うん……わかったフフ……」
あ、こいつか。聞いてた以上に怖い。これはたしかに頭おかしいわ……
「まぁどうでもいいし、さっさと輝夜さんと女の人を探すかぁ。狂い咲けや熱き花」
翁翔は自分の足元に灰丸を落とし、地面に触れる前にジャンプしました。地面から垂直な方向にだけ爆発時に生じる風圧を強くして、屋根より高く飛び上がりました。鯉のぼり?
最高点に到達したところで定期的に足元に灰丸を一つずつ落としつつ、なんか舞空術的なことしている。いやほんとなんなんだよなんでもありかよ。
「いねぇなぁ……どこに行ったんだよ」
始まりの街最強候補なら廃神倒せと何度言えば。
「ま、待ってください!」
ショタは自身の魔法を発動させ、翁翔に飛びかかりました。その瞳は涙に濡れており、涙で粘土のカスを洗い流したと思われます。普段から泣きまくってるためでしょう。泣けば泣くほど寿命って延びるんだっけ? この性格のまま成長したら凄い長生きしそうだな。本気で止めて欲しいけど。
「近寄んな、ガキくせぇ」
足元で灰丸を起爆させつつ跳躍して掴みかかろうとしてきたショタを、翁翔はその腕を掴んで受け流し、力の向きを地面へと向けることで金弥を地面に叩きつけました。割と高い場所でしたが、上手く着地したためかダメ―ジを負ったようには見えません。
「う、うぅぅぅ……」
「うっせぇな泣くんじゃねぇよ口の中に灰突っ込むぞガキ。ストーカー染みた気持ち悪い性格な癖によ」『アンノウン討伐完了アンノウン討伐完了。作戦協力感謝したします。個別報酬は防衛ギルドにて受け取ってください
わかるのか……女たらしだからこそなのか……まぁどんな理由であれキモいことに変わりは無いけど……。っていうかアナウンスと被ったな。すぐそこにスピーカーあるし聞こえなかったんとちゃうか。
「アンノウン死んだのか? ……あの子がこの街から出るとか滅多にねぇだろうし、ってことはあのバカか、輝夜さんか……」
バカはお前だろ馬鹿野郎。ヤバい最近馬鹿馬鹿言いまくってて口の悪さが酷くなってきてる気がする。
「弟子にしてくださいお願いしま「貴様らァァァァァァ! 何をやっておるかぁァァァァァァ!!」
「げ、キタア」
翁翔と金弥が問答を行っている所に鎧を纏った一団が颯爽と現れました。鎧の種類などはそれぞれ違いますが、全員が緋色のタスキをかけています。そう、彼らは無法者たちばかりが集う、始まりの街の風紀を守る正義の味方。緋ノ宮騎士団でありました。辺り一帯にいる野次馬達は一目散に逃げ出しました。うん……
「また貴様かぁ! 灰咲ィィィィィィ!!」
「緋ノ宮ちゃん、そんな若いころからぷりぷり怒ってたらせっかくのルックスが崩れちまうぞ? 手入れしてやるから俺の家に来いって」
「ぬかせ!! 大……なりっ!!」
騎士団の戦闘に居た金髪の女性が、その肩に背負った外見とは似つかわしくない巨大なハンマーを地面に打ち下ろします。目の前に誰も居ないけどなんだ? 魔法まで確認してなかったけど……
どっから湧いて出たし。
いやどっから湧いて出たしこの大岩……良くわからんからKAERE。
女性がハンマーを打ち下ろした場所から退かした途端、どこから出て来たのかうんk……ヘビ花火の如くにょきにょきと幾つも伸びてくる巨大な岩。その岩を駆け上がる女性。勿論、岩は不安定ですぐに崩れていきます。
これはなに、アニメかな?
崩れつつも続々と伸びていく岩を足場にして駆け上がっていきます。崩れて落ちていく岩を蹴り、空中の翁翔に肉薄しました。
「さっすが。けどわざわざ捕まるほど今は余裕ないんだよねぇ」
渾身のスイングを軽く避ける翁翔。舐めプが酷いで御座る。
「黙れ悪人めィ!! 小……なり!!」
……えっと、魔法の説明文読もう。訳わかんなくなってくる。
『大なり:小なり』
武器型魔法世代。ハンマーで殴ることによって殴った物体の大きさを変化させる。ただし、拡大には縮小が生じ、縮小には拡大が生じる制約がある。
第四種? 何気に本物見るの初めてかも。しかしわかりにくい説明だな……大なりは巨大化、小なりは小さくするってことかな? けど制約って……
女性は地面に着地するとハンマーを思い切り振り上げました。ハンマーに触れた岩は急激に小さくなり、続いて行うスイングによって翁翔の方へと岩を飛ばそうとします。
「大……なりッッッッッ!!」
……さっきから突っ込まないようにしてるけど、この人いちいち語尾が強くてめっちゃうるさい。ちょっと黙って下さいお願いします。朝弱いんですよほんとやめて……。
「こんな攻撃でまともにダメージは入らないって。緋ノ宮ちゃん。狂い咲けや熱き花ァ!!」
っるせぇ!! お前まで叫ぶんじゃねぇよこのスケコマシ。まだこの人が善人だから許してるがお前まで許可した覚えはねぇぞこらぁ!! あいたっ!
何がしたいのかしらねぇ……一人でに怒って独りでに叫ぶなんて。馬鹿じゃないのかしら。これだからあの新人娘は……あら、電源入っていたのね。あんな新人娘がどう思おうが興味ないし、慌てて消すようなこと私はしないけれど……しないわよ? しないってば! 私はそんな卑怯なことしないわよ失礼ね!!
≪選択範囲を消去します≫
まさか課長に怒られるとは…………あれ、なんか音声消去されてる……? ……あ、あぁいえなんでもないです仕事に戻ります。
翁翔は散弾のように襲い来る巨大な岩に灰を振りかけて爆破解体しました。そして降り注ぐ大量の砂。辺りにいた野次馬から悲鳴が「イヤァァァァァァァァァァァ!!! 汚い汚い汚い汚い! ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ! いやぁ! 私の鎧が! 服が! 肌に泥が……イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
うるせぇ…………なにこの人、ほんとうるさいんだけどなんなの、潔癖症?
「僕を弟子にしてください!「てめぇは消えろ」
すかさず飛びかかってくる金弥に今度は容赦なく爆発を浴びせる翁翔。おま……流石に爆破はやめてさしあげろよ……無傷だけどって、なんだコイツ。
「うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんだよっ!! 雑魚騎士団長がぁ!!」
……来なくていいよっ!! 少ない文字数の間に何人の有名人出て来てんだよふざけんな! 課長に報告するときいろんなイベント起きるように過干渉してんのかと疑われんのわたしなんだからなっ!?
……もう、良いから……
「お主の叫び声のせいで蕁麻疹で出たやないか、どないしてくれんねん!!」
……高音アレルギーはわかりましたから帰って下さい、四天王のエセ関西弁野郎ことキノス・ピオールさん……なんで街の四天王が一か所に集まってくるんですか……ほんと私には荷が重いので今すぐけえれ。おっとぉとおっかぁ……ウチ、なんか家が恋しいわ……
オペレーターじゃなくてクリエイターの仕事がしたいです、かちょー。
(嶋)君まで私のことをかちょーと呼ぶのか……(胃痛




