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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~幻想都市編~
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273話 サクラ対アービシア

 アービシアがオリディア様の作った世界から出てくる。体中ボロボロになってるけど覇気は失っていないどころか怒りで目が血走っている。


「ここはどこだ?」

「アースフィアだよ。せっかく壊したのに残念だったね」


 今までの過程が無駄になったって気力が削がれてくれれば嬉しいんだけど……。


「そうか。ならまた壊せるな」


 ですよねー。気力が削がれるどころか嬉しそうに舌なめずりをしてるよ。


「それにしてももう一人の神は逃げたのか? くっくっく。腰抜けだったな」

「いや、逃げたわけじゃないよ」


 龍馬の気配が消える。地球に戻ったみたいだね。


「どうだか。滅びゆく愛想尽きて逃げたんだろうよ。助力がなくなって残念だったな」

「好きに解釈すればいいよ。それより早く始めない? 時間稼ぎしても意味ないでしょ」

「ちっ。ばれてたか。なんで付き合った?」

「オリディア様を信じていたからかな」


 オリディア様が弱らせるって宣言したからね。再生能力があろうとなかろうと快復できないようにしてくれると思っていたよ。


「他人頼りとは脆弱な奴だな。俺と違って才能を開花させたくせに」

「人に頼るのを弱さだとは思わない」

「雑魚が……地球の神も無駄なことしたな。どうせお前が死んで滅びる世界を救うなんて」

「そんなことにはならないよ」


 みんなの想いを無駄にするつもりはない。何が何でもアービシアを倒してやる!


 戦いが始まる。


 桜華に魔力を流してアービシアに迫る。首を狙って桜華を振りぬいた。


「ふんっ。今の俺に斬撃は……っ!」


 アービシアは余裕の表情で待ち構えていたが桜華が首に振れた瞬間慌てて避けた。


「今の攻撃はなんだ!」

「教えると思う?」

「ちっ、まあいい。結局のところ関係ないからな」


 アービシアは七つの大罪全ての能力の元となっている。つまり大罪の欠片が使ってきた能力は全て使えると考えていた方が良いだろう。


 アービシアは嫉妬の能力で攻撃を一種類無効化できるはず。でも桜華と天魔に魔法まで使える時点で私にとっては問題ない。


 もう一度桜華で胴を薙ぎつつ今度は天魔を抜刀する。


「面倒だな。だが甘い」


 アービシアが私を指さすとぞわっとした感覚が走る。


 アービシアの動きが少し速くなった? いや、私のステータスを奪われたのか。


「思っていたより強いな。ここまで強くなるとは思ってなかったぞ」

「人の力を奪って強くなったつもり?」


 身体の使い方を練習してきたからこそ分かる。ステータスだけ奪い取っても無意味だ。


 最小限の動きで私より高いステータスになったアービシアの攻撃を躱していく。


 黒の魔力で作った剣が私の脳天を狙い、天魔で斜めに逸らす。鳩尾を狙って拳を振りぬくとそのまま捕まって投げ飛ばされた。


 空中で留まりそのまま蹴りでアービシアのこめかみを狙う。少し距離を取ったところを狙って崩壊(コラプス)を使う。アービシアの片足が吹き飛んだ。


「ちょこまかと鬱陶しい!」

「あはは、流石に再生するよね」


 オリディア様の残したダメージは再生できないみたいだけど私の攻撃は回復できるみたい。どの能力なんだろう。大罪の欠片に回復系の能力はなかったはずなのに……。


 そういえば色欲の欠片は夢の中に入り込んでなんでもありの戦闘だった。もしかして現実でできるとか?


 それならオリディア様と戦う前に突然私の左腕が無かったことになったのも再生できるのも説明がつく。……うん。一番厄介な能力だね。


 じゃあどうやってオリディア様は回復できない怪我をさせた? 私とオリディア様の違いは何? 神であること? いや、今は私もオリディア様と同じ神様だ。なら攻撃手段? オリディア様の力は物を作ることに寄っているはず……。神器を作ったとか? いや、それなら私に用意してくれると思う。私ががめついからじゃなくてこの世界のために私に想いを託してくれた。であれば何か対抗策を私にくれたはず……。


 私が受け取ったもの? そういえばこの世界の管理権限を貰ったね。……私の魔力で権限に干渉することができるかな?


 ……。

 …………。


 ―――


 サクラ・トレイルの意識と世界樹を接続します。

 ……。サクラ・トレイルを新たなる管理者として認めることはできません。


 ―――


「うぐっ」


 突然全身に電流が走る。体が吹き飛んでる?


「俺様との戦闘中に他のことを考えるとはずいぶんと余裕だな」


 口から血が出る。たった一撃であばらが折れ、肺にダメージが入っている。

 怒りで攻撃力がさらに高まっていたみたいだね。


「ごほっ、ごほっ」


 龍馬から貰った再生の魔力のおかげで少ししたら怪我が治る。ただ、私の魔力じゃなくて無制限に使えるわけじゃないから気を付けないと。


「よそ見してごめんね。でもちゃんとあなたを倒すから安心してよ」

「謝る必要はない。そのままの方が殺しやすいからな」


 アービシアに返事をしながら今の失敗について考える。なにがダメだった? 貰い物の権限だから? それとも……。もう一度試してみよう。ゴーレムでも作って時間稼ぎを……いや、強欲の能力で制御を奪われそうだ。そうなったら私が不利になる。


 ……よし、一度塵になるまで分解しよう。イメージできなくなれば色欲の能力も発動できまい! 少なくとも時間稼ぎにはなるよね!


崩壊(コラプス)


 私の中の最大の魔法を大量に打ち込む。これなら嫉妬の欠片との闘いで防がれても貫通できることはすでに実証済みだ。


「しつこい」


 嫉妬の対象にしても少しずつダメージを負うことに苛立ったアービシアが怒り狂って黒の魔力であたりを薙ぎ払った。


 周りに舞った土埃と魔力に紛れてアービシアの後ろを取る。気付かれる前に天魔でアービシアを切り裂いた。

次話は明日の17時投稿予定です


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