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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~幻想都市編~
259/292

248話 集結<カトレア視点>

 突如地震が起きたのを近くの岩に手をついてやり過ごす。


「もう見つかったの!?」

「外に人……竜影は見えないの。地震?」

「地震とはなんだ? 天変地異のことか?」


 地震ってなんだったかしら? ……そういえば昔サクラが言ってたわね。プレートが徐々にズレてから一気に戻ってその時に地面が揺れるんだったかしら? プレートって何よって聞いた記憶があるわ。


「宙に浮いてるのに揺れるのは不自然」

「他の空島(・・)が衝突したのか?」

「そうかも」


 それは……敵が増えたりしてないわよね? 空を飛べない竜が島に乗ってきてたら耐えきれないわ。というか泣くわよ! サクラ! 早く助けに来なさいよ!


「残念ながらサクラさんは来れませんよ」

「殿下?」


 声が聞こえた方向を向くとシルビア様がいた。……シルビア様は味方でいいのかしら。ジークのパートナーだし警戒は解かないでおきましょう。


「あー、私は味方です。サクラさんに導かれてここに来ました」

「導かれて? サクラは無事?」


 引っかかる言い方ね。シルビア様はサクラと会ったってことかしら。


「おそらくは……としか言えませんね。少なくとも私達であの竜達を倒さないことにはなんとも……」


 歯切れが悪い。でも嘘はついてないわね。警戒レベルは下げておきましょう。


「ははは。まあいいでしょう。もうすぐ他のメンバーも集まりそうですし」

「なんで分かるのよ……」


 思わず呟くと少し悲しそうな顔をする。その顔はなによ。


「カトレア殿。増援が来るというのだ。素直に喜ぼう」

「ええ。そうね」


 私だって味方なら大歓迎よ。でもシルビア様は私達より頭が良いし騙されていても分からないのよね……あら、考えるだけ無駄かしら?


「おいシルビア! さっさと手を貸せ! こいつら数が多すぎる!」

「まだまだ人が来るので大丈夫ですよ。踏ん張ってください」

「この鬼畜王子がっ!」


 外からライアスとレオンの声が聞こえてくる。良かった、二人は合流できたのね。


「マティナ殿、少ないですがこれらの材料を使ってポーションを作れますか?」

「……! 聖薬草に魔蓄草、奮力花や堅鉱草まで! 時水晶まである……! 使っていいの?」

「もちろんです。お願いしますね」


 シルビア様がどこからともなく取り出した素材達にマティナが目を輝かせる。私の知らない素材ばかりね。サクラは知ってるのかしら。


 マティナが一心不乱にポーション類を作り始める中、外に出てライアスの手伝いをしようと提案してみるも断られた。


「儂が出る。カトレア殿はマティナ殿の傍にいてやってくれ。女性一人取り残されるより安心できよう。それに暴れたい気分だ……!」

「分かったわ」


 あまりの迫力に素直に頷く。何がそんなに駆り立てているの? でも虎徹さんはどうやって攻撃するつもりなのかしら。


「虎徹殿。出るならこちらをどうぞ」

「……かなりの業物だな。国宝級の刀であろう? 良いのか?」

「もちろんですよ。……贖罪でもありますから」


 随分と気前が良いわね。と思っていたら贖罪との言葉が聞こえてきた。

 ジークが裏切ったことに対する贖罪なのか、国を落とされたことに対する贖罪なのか……きっとどちらも含まれるんでしょうね。


「うおっ!? なんだこれは」


 外に出た虎徹か驚きの声を上げる。竜の屍でも積み上げられていたのかしら?


「ここはどこかしら?」

「あの中にヴィヴィが紛れてたりしないかしら?」

「あんなトカゲと一緒にしないで欲しいわ……」


 考え事をしていると新たに三人の声が聞こえてくる。この声は……マジュリーも来てるの!?


「来てすぐて悪いがレオナ手伝え!」

「あんたに指図される筋合いわないわよ! 私に言うこと聞いて欲しければサクラ様に生まれ変わってから命令しなさい!」

「レオナちゃんがおかしくなった!?」


 レオナの声に気付いたライアスの大声が響き渡る。

 マジュリーもびっくりしてるしレオナはもっと自重した方がいいと思うの。そしてレオナがおかしいのは元からよ。


「はっ! 何か不名誉な事を言われた予感!」

「何言ってんだお前……」


 妙に鋭いレオナに呆れつつも人数が増えて楽になったのかライアスを筆頭に全員余裕を持って竜に対処し始めた。


「これで全員(・・)揃いましたね」

「貰った素材を加工し終えたの。会心のできなの……」

「では私達も出ましょうか」


 嫌な良かったでもあるのか、会心のできと言いつつも浮かない顔をするマティナを連れて私達も前線に出る。


「なにこれ!?」


 地上に出ると先程まで何も無かったはずの地表に湖や闘技場、はたまた牢屋の残骸まで散らばっている。カオスすぎるわ……。


 それにしてもサクラが合流しないと私攻撃できないわね。なんで合流しに来ないのよ。

 心の中で文句を言いつつお守りを確認すると魔力が補充されてる!? いつの間に……。


「皆さん! ここからが正念場です! サクラさんが干渉してくれたおかげで十分な戦力が集まりましたが相手側も干渉してきています! マティナとマジュリー、リヴィの三人はサポートをお願いします! 他メンバーはライアスとレオン、レオナとカトレア、虎徹と私の三グループに別れて攻撃を!」


 サクラが干渉? なんでシルビア様がそんな情報知ってるのよ! あんた囚われの身だったでしょう?


「ただで捕まるなんてヘマしませんよ」


 面白くないと思いつつもレオナの近くに寄る。


「背中を任せたわ」

「ええ、よろしく頼むわ」


 相手側の干渉と言った言葉や、シルビア様の全員揃った発言が引っかかりつつも竜狩りに勤しんだ。

次話は明日の17時投稿予定です


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