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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~地底公国編~
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205話 温泉

 ラティナと話をした次の日、私ことサクラ・トレイルは朝からカトレアちゃん、コハルちゃんと三人で温泉に入っていた。心も体もあったまるね。


「ラティナは大丈夫かしら」

「マティナもいるし大丈夫だと思う」

「コォーン」


 昨日の夜にマティナが客室まできて感謝を伝えてきた。最初の頃はマティナもラティナの才能に気付いていたらしく定期的に伝えていたらしいのだけどラティナ本人が単なる励ましだと思って聞き流していたらしい。本人が才能を自覚したのは才能になってからなのかな?


 今は二人でジャックさんに会いに行っている。……ジャックさんはラティナの才能に気付いていたのだろうか。


「ジャックさんは許可くれるのかしら」

「いくら堅物でも孫娘のお願いには甘いんじゃない? 二人とも可愛いし」

「私の前で他の女の子を褒めるなんていい度胸してるわね」


 あ、まずい。カトレアちゃんの嫉妬心をくすぐってしまった。


「ちょっと落ち着こう。カトレアの方が可愛いよ」

「取ってつけたような言葉じゃ響かないわよ。覚悟しなさい!」

「待って、コハル助けて!」

「人を巻き込むでない。自業自得じゃ」

「薄情者ー!」


 コハルちゃんに逃げられ、カトレアちゃんと二人きりになる。お、襲われてしまう……! いや、むしろご褒美では?


「うふふふふ」

「や、やめ……。あああぁぁぁ!」


 ―――


 いたって健全に温泉に入っていた私達は客室でまったりとしている。若干一名つやつやしてる気がするけどきっと温泉の効果だろう。


「サクラさん!」

「戻ったの」


 少ししてラティナとマティナが帰ってくる。どうやら良い事があったようだ。


「おかえり。どうだった?」

「私がサクラさんの刀を打ち直していいって! ただまだ技術が足りてないから少し見てもらえることになったよ」

「おぉ! ありがとう! よろしくね」


 どうやら今までは技術を見て盗むしかできなかったがこれからはマティナ同様に直接教わることができることになったようだ。見ただけで秘伝の技術を身に付けるなんてとてつもないね。

 というか今まで教えて貰えてなかったのか……。私の中でジャックさんの株が急降下中だよ。元から評価低かったけどね。


「サクラさん。しばらく時間を貰える? しっかりと氷華を直せるように……鍛え直せるように修行するから!」

「私も応援するの」


 マティナは応援なのか。ラティナが嬉しそうにしてるならいいか。


「しばらくは温泉を楽しんだり観光したりすればいいかな?」

「そうね。あと正面の入り口もどこに出るのか知りたいわ」

「あはは」


 非常口から入ったからね。裏口ですらないよ。


「知らないの?」

「そういえばサクラさん達開かずの扉から入ってきたね。どこから来たの?」

「開かずの扉?」


 知らない言葉が出てきた。開かずの扉……話の流れからすると非常口の扉のことだよね?


「うん。緊急時にしか開かないと言われてる扉だよ。何か緊急事態に陥ってたの?」

「いや、入り口が分からなくてたまたま非常口に着いただけなんだけど」

「へえ、非常口に繋がってたんだ。どこに出るの?」

「火口の中よ」

「え?」

「火口の中よ」


 ラティナが信じられない者を見たような顔をしている。心なしか引かれてる?


「普通に引かれてるわよ」

「カトレアもコハルも一緒に来たし同類だよ」


 一緒に非常口を通った仲間だもんね。頷いてると冷たい目で見られた。


「常人は火口に入る発想が浮かばないのよ」

「常人は聞いても試さないよ。変なのはサクラさんだけだと思ってたのに」

「酷くないかしら!? 私達は普通よ!」

「あれ? 私ディスられてる?」


 うむむ、火口は入るものだと思っていたんだけど私だけだったか。


「そうだ! サクラさんにお願いがあるんだけど……」

「どうしたの? 私にできることなら聞くけど」

「氷華の修復とは別にコハルちゃんの武器も作ってあげたいの」


 うーん。コハルちゃんには武器不要だと思う。というか使えないと思うんだけど……。コハルちゃんは武器欲しいかな?


「コハルどうする? 武器欲しい?」

「貰おうかのう。妾の場合は重いものを持たぬから軽い得物がいいのじゃ」

「軽い得物ね。まかせて!」


 軽い得物なら短剣とかかな? どんな武器ができるか楽しみだね。


「それでお願いなんだけど……。コハルちゃんに作る武器の素材を持ってきて欲しいんだ。その代わりお代は要らないから。どう?」

「もちろん構わないよ。何が欲しいの?」


 願ったりかなったりだね。私の武器もコハルちゃんの武器も作って貰えるなんてありがたい。


「鉱石喰らいと言われる魔物が稀に持っていると言われている氷炎鉱石とホーンベアの角それから……持っていれば浮遊石があれば欲しいかな」


 ホーンベアの角は持ってるね。浮遊石も……空島から少し持って来てるから残りは氷炎鉱石だけだね。


「鉱石喰らいはどこにいるの?」

「火山のどこか……としか分からないかな。坑道で見かけるみたいだけど目撃範囲はバラバラみたい」

「わかった。適当に探してみるよ」


 魔力感知で探してもいいし適当な鉱石を餌にしておびき寄せてみるのもありだよね。明日以降探してみよう。……その前にもう一度温泉に入っても良いよね?

次話は明日の17時投稿予定です


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