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第66話 クズ令嬢、空クジ詐欺にブチ切れる。

「ちっ、なかなか出ないわね」

「なかなか出ませんねぇ」


 引けど引けど外ればかりで、私はいい加減、込み上げるイライラを隠せないでいた。

 ついでに言うと、いつかは必ず当たるクジをひたすら開け続けるという、非生産的な行為にも飽きてきた。

 いつかは絶対勝つことが分かっているゲームとか、楽しいわけがない。


「アイリーン。私は見てるから後はあなたがクジを開けなさい」

「よろしいのですか?」


「もういいわ。飽きたからとっとと終わらせて」

「かしこまりました。可及的速やかに終わらせます」


 私の意を汲んで超絶スピードアップしたアイリーンが、シュバババっと手際よくクジを開封していく。

(基本的にアイリーンはなにをやらせても優秀なのだ)


 すぐにクジは最後の一つとなった。


「くっ、まさか最後の1つまで当たらないなんてね。どんな確率しているのよ」

 いつの間にかギャラリーまでできてるし、おかげで余計な恥をかいたじゃない。


「そういうこともありますよ。それでは最後の1つ。当たり確定クジを開けますね」


 アイリーンがそう言って最後のクジを開いたのだが。

 なぜかそこには何も書いてはいなかった。

 つまり『外れ』だった。


「は? なんで最後も外れなのよ」

「えーと、なんででしょう……?」


「っていうか、よく考えたら1等以外にも、2等も3等も4等もあるはずなのに、何一つ出ていないわよね?」


「あ、そういえばそうですね」


 ということは、まさか――!

 私の中でパズルのピースが全てピタリとハマった。


「謎は全て解けたわ。これは空クジ詐欺よ!」

「ですよねぇ」


 私の言葉にアイリーンが頷いた時だった。


「げっへっへ、バレちまっちゃぁしょうがねぇ。そうさ、これは当たりが1枚も入っていない空クジ詐欺だったのさ!」


 店主がニタァと下卑た笑みを浮かべた。


「俺たちを騙したのかよ!」

「なけなしの小遣いだったのに!」

「金返せ!」


 騙されたと知って、私たちのすぐ横で開封作業を見守っていたクソガキどもが大きな声で騒ぎ出す。


「はははは! 騙される方が悪いのさ。いやー、外れクジしか入ってないのに必死にクジを引くお前らの姿は、実に見ものだったぜ!」


 しかし詐欺店主はあろうことか、反省の色すら見せようとはしなかった。


「悪事がバレたっていうのに、たいそうな余裕ね? 今からそこの神殿の衛兵に突き出されるっていうのに」


「マリア様の言う通りですよ! 神聖なる神殿の境内(けいだい)で詐欺行為を働いたとなれば、重い刑罰が科されることは必死です! 神様への冒涜ですよ、この行いは!」


 私とアイリーンは詐欺店主を鋭く糾弾した。


「果たしてそれはどうかな? おい、お前たち!」


 しかし詐欺店主はそれがどうしたと言わんばかりにニヤリと笑うと、大きな声を上げる。

 するとチンピラのような風体の男どもが、どこからともなくわらわらと集まってきた。


「へへっ。アニキ、どうしたんすか?」

 その中のモヒカン頭の目立つリーダー格の男が、店主に問いかける。


「ちょいと面倒なお客さんでね。少しお話をして、お引き取り願いたいんだ」


「へぇ、この子かい? えらく上玉じゃねーか。よっ、綺麗なねーちゃん。俺とこれからいいことしないか? 最高に気持ちよくしてやるぜ?」


「ちっ、これだから庶民のオスは……!」


 このマリア=セレシアにむかって何たる不遜な物言いか。

 私は一連の出来事に、怒髪天(どはつてん)を衝く怒りを覚えていた。


「綺麗な姉ちゃんよ、ここは黙って引き下がってくれよ? 俺も女を殴るのは趣味じゃないんだ。な? 今日のことは忘れて、今まで通り平和に生きなよ? それともその綺麗なお顔に、一生消えない傷痕でも残したいのかい?」


 モヒカン男が周りのチンピラどもに視線を送ると、チンピラどもはニタニタと人を小馬鹿にしたような薄汚い笑い顔を向けてきた。


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