第21回『特異なキャラクター・その3』
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特異なキャラクターは、通常なら省略できない説明をいくつも省略することが出来ます。
それは、特異なキャラクターが『関数』だからです。
最初に、特異なキャラクターの行動原理を、読者に説明します。
それ以降は、キャラクターを登場させるだけで、特殊な状況の説明を省略することができます。
この通常なら省略できない説明を省略することが出来るというのを応用します。
ショートショートは、二つの要素をつなぎ合わせて一つの話にするというのが、基本のひとつです。
この二つの要素を、つなぎ合わせる接着剤として、特異なキャラクターを使うと、説明を省いて、通常なら出来ないようなつなぎ方をすることが出来ます。
これは、落ちをショートショートにアレンジする方法のひとつです。
ここまでは、良いですか?
前回は、軽く流してしまいましたけれど、特異なキャラクターを作る時に大切なことは、大きく二つあります。
①どんな行動原理で動いているのか。
②どんな説明を省略できるのか。
ここが最大のポイントです。
前回、例に使った女神様は、人を超越した力を持った存在でしたけれど、なんの力もない普通の人でも、行動原理を設定することによって、特異なキャラクターとして確立させることができます。
分かりやすいように、マンガチックで極端な例をあげれば、腐女子、コレクター、臆病なパニック体質、過保護など、そのキャラクターが何を目的としているのか、そのために、どんな行動をとるのか、その行動原理を明確に設定して、読者に伝えておくことが何よりも大切です。
荒唐無稽な行動をとったとしても不自然ではないと読者が思ってくれるようにです。
キャラクターの性格も、重要です。
・傍若無人・・・他者を気にしないということは、非常識な行動が遠慮なく取れるという事です。
・おとなしくて無口・・・考えが周りの人に理解されておらず、本人にしかわからない行動は、突飛に見えます。
・言動が幼くて天然・・・いわゆるズレている、という奴です。
・意地悪・・・わかっていて、わざと意地悪をします。
・エンターティナー・・・意地悪の逆、わかっていて、わざと受けを狙いにいきます。
また浮世離れしている、というのが、一番使いやすいので、その設定を考えます。
・環境によるもの・・・『クロコダイルダンディ』や『フルメタルパニック』、『王子と乞食』など。
・年齢によるもの・・・まだ幼くて理解できていない、とか、お年寄りが不慣れな機械の操作をしているなど。
その他、記憶喪失など、特殊な状況もあります。
そうした行動原理の設定をすることによって、何の力もない普通の人でも、特異なキャラクターとすることが出来ます。
何かのトリガーに反応して、唐突に突飛な行動をとり、いきなり落ちにつなげる、ということは、普通はできません。
ところが、特異なキャラクターを使うとそれが可能になります。
本来は、ちゃんと状況を説明して、一つずつ段階を踏まなければなりません。
その段階を、何段飛ばせるかがショートショートの面白さにつながります。
特異なキャラクターは、説明を省略できるというのは、その階段を何段か飛ばすことが出来るということですね。
特異なキャラクターの設定によって、どんな説明を省略できるのかを考えて、それをどう利用するのか、さらに考えてゆきます。
それがキャラクターを軸にプロットを作るという作業になります。
『特異なキャラクター・その4』に続きます。
本文中は、一部の例を挙げただけで、全てではないです。
行動原理の大切さ、伝わりましたか?




