第49話 戦いの結末
前回のあらすじ
・魔鬼のダンジョンです
・武術に比べで楽ですねぇ
・覇鬼の乱入ってな訳で死ね!(脳筋)
突如として現れた言葉を理解し話す鬼、本鬼曰くこの魔鬼のダンジョンの主である覇魔鬼トリミテウスに先制攻撃としてウロボロスを放った俺。直撃はしたみたいだがどうだろうか?
「フォフォ、性質が真逆の【獄炎】と【聖炎】を合わせた魔法か。なるほどのぅ、来訪者ゆえの力じゃな。じゃが、いきなり攻撃を仕掛けてくるとは少々行儀がよくないの。」
爆発によって生じた土煙を吹き飛ばし、中から当然のように全くの無傷で現れたトリミテウス。やっぱりそう単純な攻撃が通用する相手じゃないか。
しかしどうやって防いだ?仮にも【獄炎】と【聖炎】だぞ?炎によるダメージはなくても腐食が起きてないのはおかしいな。
「フォフォ、どうやって防いだか気になっておるな?まぁ、わしに一撃入れられたら教えんことものないのぅ」
「その言葉忘れるんじゃねぇぞ」
「フォフォフォ、では今度は先ほどの礼をせんといかんのう。」
そう言った瞬間にトリミテウスの姿が消えた。後ろか!?と思い振り返るもそこには誰もいない。
「消滅の光」
上空から聞こえた声に反応してバッと振り返るとそこには杖の先にまばゆい光を貯めた状態で浮いているトリミテウスの姿があった。
あの光はやばい。【危機察知】が反応しなくても見ただけでそう直感できるほどの魔力はその光からは感じることができた。
俺はとっさに短距離転移でなんとかその場を脱した。発動があと瞬き1つでも遅れていたらあの光の餌食になっていただろう。その光が直撃した地面はダンジョンの床なはずなのにぽっかりと大きな穴を開けていた。
「フォ?なるほど、転移ぐらいは使えるのか。ならこんなのどうじゃ?流星群。来訪者にしては高レベルで魔法を使いこなすお主を讃える盛大な打ち下ろし花火じゃ」
トリミテウスが杖を振ると上空に無数の隕石が出現。所構わず地面に降り注いだ。
「クソが!」
ランダムに降り注ぐ隕石、これほど厄介だとは思わなかった。ランダムであるがゆえに予測が難しく、さらに着弾と同時に盛大に爆ぜるので爆発の余波がかなり大きい。下手すればその余波だけで削られるほどだ。
しかも爆発の影響で地面に大きな穴が開くために足場がどんどん悪くなる。あんまりMPを使いたくなかったけど仕方ない。【飛翔魔術】で飛ぶことにしよう。
「フォフォフォ、空の領域にまで侵入してくるか、来訪者よ。」
「飛べるのはお前一人じゃないってことだよ!今度はこっちから行くぞ!」
さっきは高火力の単発攻撃を防がれた。なら次は弾幕だ!【無詠唱】【並列起動】【多重起動】【行動詠唱】をフルに活用して空中という上下左右の制限のない場所を飛び回ってトリミテウスに魔法を連打する。
「次は打ち合いかのう?いいじゃろう受けて立ってやろう。わしも打ち合いにはちと自信があるでな」
俺とトリミテウスは天と地をくるくると入れ替わりながら魔法の応酬を繰り広げる。しかし、自信があると言ったようにトリミテウスの魔法の発動時間は驚くほど短い。俺が1発放つ間に2〜3発放ってくる。
それを俺は【範囲魔法】の効果で効果範囲の広がった魔法でなんとか撃墜する。今はなんとかなっているが間違いなくトリミテウスの方がMPは多いだろうしジリ貧になることは目に見えている。どこかで大技で勝負を仕掛けなければ。
トリミテウスとの打ち合いを続けながらこっそりと大技の準備を始める。やはりこいつを倒すにはあのスキルしかないだろうな。
打ち合いと打ち合いの最中、俺がトリミテウスの上を取ったその時、俺は大技の発動を始めた。
少しの被弾は覚悟の上で少し大きめな土壁を生成。これで僅かではあるがトリミテウスの視界から俺が消える。その間にさらに土魔法で俺と縦横がだいたい同じぐらいの大きさの壁を生成してさらに光魔法の発光を超強化した状態で発動待機する。
俺が生み出した土壁がいとも簡単に破壊される。けど時間は十分に稼げた!土壁が破壊された瞬間に転移魔法を発動してトリミテウスの背後をとる
「その程度がわしに通じるとでも?」
「さてな?」
転移したはずなのに俺の居場所を把握しているトリミテウス。始めからそこにいることを知っていたかのように後ろを振り向くが、ここで生み出しておいた土壁(等身大)が役に立つのさ!
俺は指をパチンと鳴らす。すると僅かだが、トリミテウスが俺の方ではなく生み出した土壁の方に視線を向けた。そのタイミングを見逃さずに待機させていた発光を奴の目の前で発動する。
「ぎゃああああ!目がああああ!」
流石の覇魔鬼と言えどもいきなり目の前に強烈な光を浴びれば某ム◯カ大佐よろしく目を押さえて悶えるしかない。ここが最初で最後のチャンス!一気に畳み掛ける!
「ライトニング!アイスメテオ!ライトニングノヴァ!マジカルローズ!ダークノヴァ!ファイヤーノヴァ!」
全魔力をつぎ込む勢いで各属性の最強魔法を叩きこむ。光によって一時的に視力を失ったトリミテウス。流石にこれは迎撃できずに直撃した!
「合技「氷華豪雷」・「黒白の循環」・「縛樹業炎檻」!」
続けてイベントでも使った合技で追撃を放つ。これも直撃しているはずだがトリミテウスからは特に悲鳴や咆哮の類は聞こえてこない。まさか効いてないのか?それとも気を失っているだけか?
「いや、考えていても仕方ない!くらえ!【六天幻衝】!」
これは六英雄が神との戦いにおいて実際に使ったとされる最強の技。イベントの時はバフを積んでいたとはいえ、レイドボスのHPを大幅に減らした俺の中の切り札の1つ。流石の覇魔鬼でもこれを喰らえば無事じゃすまないはずだ。
六英雄の属性と同じ属性を持った純粋な魔力が一筋の光となってトリミテウスを貫かんとする。
しかし、覇魔鬼はそうは甘くはなかった。
「フォフォフォ、それを待っていたのじゃよ」
これまで一切反応がなかったトリミテウスがカッと目を見開いた。ちくしょう!思ってたよりも目くらましの効果が短い!
「1つ、わしの技を見せてやろう。この敗北を糧にすると良いぞ。【全反撃】」
「なに!?」
【全反撃】確かにトリミテウスはそう言った。トリミテウスは持っていた杖を俺の【六天幻衝】の効果で増幅された魔力の光を切るように振るった。
キーンと甲高い音が響き渡り、トリミテウスを貫くはずだった魔力の光が何倍にも膨れ上がって俺の身を貫いて爆ぜた。
HPを一撃で全て削られ、消えゆく意識の中で最後に見たのは獰猛に牙をむき出して笑う鬼の姿だった。
気がつくとそこは鬼ヶ島だった。
「まさか最後に【全反撃】が出てくるのかよ・・・流石に想像も出来なかった。」
【全反撃】のスキルは俺も持っている強力なスキルだ。俺のは物理攻撃に特化したスキルだけどトリミテウスが使ったのは魔力を跳ね返すバージョン。うっすらと物理があるなら魔力もあるのでは?と思っていたがまさかここで出てくるとは。
「実際に使われてみるとこれ以上にないほど厄介なスキルだな。初見殺しにもなるし大技も反撃されることを恐れて使いにくくなる。しかもトリミテウスはそれだけじゃなくて俺を上回る連射能力にMP量、それにまだ隠し玉をたくさん持っているんだろうな」
特に俺の最初のウロボロスを防いだのと、転移した場所を即座に見切った能力も気になる。後者は単純に察知系の能力が高いだけかもしれないけど。
そして何よりの収穫はイベントでとった【手品】のスキルが有効に作用したことだな。【手品】のレベル1で使えるのは視線誘導という手品の基礎にして極意。効果は触れたものに周囲の視線を誘導するというもの。
王道の使い方としてはヘイトの移行とか敵の攻撃の分散とかだろうけど俺としては目くらましで使う方がいいと思う。【手品】スキル、思ってた以上に有効だな。
魔鬼のダンジョンの報酬は魔術の書という読むと確率で所有している魔術系スキルのスキルレベルをランダムで1あげることがあるアイテムを4つとMPポーションだった。初めてにしてはまぁまぁじゃないか?
その後、もう一度槍鬼のダンジョンへ挑んでからその日はログアウト。ちなみに魔術の書はその場で使ったけど全てハズレでしたとさ。
【手品】スキル君初登場。
次回はどうしようかな・・・




