あれ?朝飯は?
思いがけず今日が休みになったので飛び飛びで書いていたものを書き上げてみました。だたあまり実の無い内容に…飛び飛びで書いちゃだめですかね?
ルナが俺たちの仲間になった翌朝、俺は再び途方に暮れていた。
「どうなってんだよ…これは…。」
あの後ルナは泣き疲れたのかひとしきり泣いた後そのまま眠ってしまった。テーブルをどかして小さめだがルナ用のベッドを創りそこに寝せた後俺も自分のベッドで寝たはずだ。なのに…
「なんで俺のところにいるんだよ…。」
「………。」
俺が目を覚ましたら俺の隣にルナがいた。しかも俺の右手に抱きつくような姿勢で。てかなんで着ているものがそんな肩が出まくってるスケスケのネグリジェなんだよ。
しかも左手には…
「すーすー。…んにゃんにゃ~」
となぜか少女姿のリイが抱きついていた。しかも全裸で。またですか、またなんですかリイさん!
「はは、これでまた掃除の奴が来てたりしてな。まあ、今更俺のところにくるやつなんていないと…思う…け…ど…。」
そう、あんなウワサを流された上に二日続けてショッキングな光景を見せた客の部屋に今更従業員が、しかも女性が来るはずがない。そう、来るはずがないんだ。それなのに…
「………えっと…その…。」
なぜだ、なぜここにいる!え?なんで?不本意ながらも俺のウワサ聞いてないわけじゃないでしょ?なのになんでここに女性の従業員がいるの?ギルドにまでウワサになってんだよ?ねえ?どして?
「その…ロビーにお客様の親戚だと名乗る人たちが来てまして…それと占いでお客様に不吉なものを見たから会いに来たという人が数人…。営業妨害に繋がるので早く話を済ませていただかないと…。くじで負け…ゲフンゲフン!手が空いているものが私しかいなくて……。」
おいいいいいいいい!そいつら絶対詐欺だろ!俺この世界に親戚どころか血縁者なんて何代たどってもいねえもん!それと占い師ども!怪しげな壺を売りつけるつもりだろ、わかってんだよそんぐらい!どの世界でも考えることは同じかよ金の亡者どもめ!それとゴメンネ!くじなんかに当てさせちゃって!
「ですがその…し、失礼しました!こ、こちらの方で対処しますので…その…ご、ごゆっくり!」
いや、ごゆっくりじゃなくて!何もないからホントだから!確かにスケスケ肩出しネグリジェを着た美少女と全裸の美幼女を両脇に抱えてたらそりゃ勘違いするだろうけどさ!よく考えてみてよ絶対何かほかに理由になりそうなものが………あれ?ない!?
従業員の子はそのまま俺の静止も聞かずに扉から飛び出していった。速かった、ありゃ速かったね。マンティコアのスピードについて行けた俺が目で追うのがやっとだもん。いやーもしかしたらいい冒険者になれるかもしれんね、逃げ足だけなら。
「ん~ご主人様ぁ、おはよ~。何かあったの~?」
「…絶望した顔してる…。」
君らもうちょっと早く起きようよ、いや俺も人のこと言えないけどさ。ああ…これで腹決まったわ。後一日分の宿代払ってた気がしたけどもういいや。どっか他のとこ行こう。一晩くらいならそこら辺の宿に泊まるだけでどうにかなるさ。…どっか負けた気がするけど。
「ところでルナ、そのネグリジェは…。」
「…商館から渡された。これと昨日着ていたものと二着ある。」
「もうちょっと服増やしてやれよ。ケチだなあの商館。それと隠れた意図が見え見えだっつーの。」
昨日着ていたようななんの飾り気もない貫頭衣のような奴とスケスケのネグリジェって…あざとすぎる。そしてこの二つをセットで渡されると貫頭衣ですらどこかエロく感じてしまう。あの下に何も着ていなかったらと思うと…やめとこ。これ以上は何かを失ってしまいそうな気がする。
「…意図って?」
「や、気にしなくていい。これはむしろ気にしたら負けだ。」
「…それでも知りたい。」
「な、なぜに?」
「…あなたが何を考えているのか知りたい。」
ちくしょう、言えねえ!こんな純粋に真っ直ぐに俺の目を見ているルナに対してあんなエロい男の妄想を語るわけにはいけねえ!ここは断固拒否だ。黙秘権を行使する。
「…答えられないなら…いい………。」
やーめーてー!そんな悲しそうに目を伏せないでー!昨日のやりとりがあるからなんかまだ信用してないみたいで罪悪感がすーごーいーのー!
「や、その…なんだ。その格好っていいよなあって…思っただけ…だ…。」
う、ウソは言っていない。確かにスケスケネグリジェがいいと思ったのは確かだしさっきの妄想につながらないわけじゃない。だからこれで勘弁して…。
「…気に入った?」
「お、おお!すごいぞ、チョー気に入った!いやールナは何着ててもかわいいなー(棒読)。」
ちょっとざーとらしい気がするが仕方ない。ルナも満足そうだし。しかしなんで嬉しそうに顔赤らめてんのかね?やっぱ薄すぎて寒かった?
「ねーご主人様!お腹空いた!もんじゃ食べたい!」
「おお、もうそんな時間か。てかこの時間だともう昼だよな。よし、コイルんとこ行くか。」
「…もんじゃ?」
「あのね、すっごくおいしいんだけどすっごく気持ち悪いの!なんであんな気味が悪いものを食べようとしたのかわからないけどすっごくおいしいの!けど気持ち悪いの!」
リイよ、そこまで気持ち悪い言わなくてもいいだろ。なんかその説明聞いてるとものすごいゲテモノ料理に聞こえるだろ。
「…気持ち悪いだけなら平気。食事が泥というのも珍しくなかった。」
「そんな悲しいカミングアウトするなよ…。とにかく行くぞ。後、今日でこの部屋は引き払うからな。それと明日には馬車を取りに行ってこの街を出る。今日はその準備だからそのつもりで。」
「わかった!」
「…了解した。」
部屋を出て下に降りると人だかりができていた。ああ、そういえばすっかり忘れてたな。
「お!来たぞ!」
「やあ、シキ久しぶり。覚えてないかな?叔父さんだよ。」
「シキちゃん久しぶりねえ。覚えてるでしょ?あなたのお母さんよ。」
「俺だよ、俺俺!久しぶりだなあ、覚えてるだろ?俺だよ俺。」
「あんた悪いものに取りつかれてるね…どうだい?この壺を買えば大丈夫だよ?」
「こちらのブレスレットを身につけるだけで幸運が訪れますよ!どうです?一個金貨10枚では?」
「ばかやろう!そんな高えもん売りつけようとすんなよ!…この指輪なんてどうだい?貢物にも結婚指輪にもぴったりだぜ?まけにまけて金貨9枚だ!」
「借金の保証人に…」
「ギルドですが素材に不備があったので全額返金を要求します!」
などなど。お前らどうしてこんな薄っぺらすぎて向こうが透けて見えるようなウソ並べられんだよ、逆にそこまで金持ってないのかって同情するわ!そして最後のやつ!例えお前が本物だとしても絶対に金は返さねえぞこら!
「えーい!うるせえうるせえ!お前らなんか知らん!親戚なんかいねえし不吉なこともねえ!いいからさっさと帰りやがれー!」
「そんなこと言わずに!」
「混乱してるのはわかる。だがな、俺はお前の…」
「だーかーらー!俺だって!俺俺!」
「あんたの前にも同じようなやつがいたよ…あんたにはそうなってほしくないんだよ…。だから…買いな。」
「お願いします!家には病気の子どももいるんだ!このままじゃ死んじまう!」
「返さなければギルドカードを剥奪しますよ。それでもいいんですか?」
まだ言うかこいつら!若干それっぽいやつも交じってるからたちがわるいわ!そして最後の奴!それでも俺は返さねえ!
「…邪魔しないで。ウォーターランス。」
おおーっと!ルナさんが耐えきれないでついに手を出しちゃった!おいおい、店の床が水浸しどころか床上浸水だよ洪水だよ!穴まで空いちゃってるしよ、こりゃ本格的にこの街から逃げねえとヤバくね?確かに連中吹っ飛ばされてのびちゃったけどさ!
「…これで邪魔者はいない。街に行く。」
「おいおいルナ。いきなりあれは…。」
「…私たちは朝食を摂っておらず空腹。すぐにでも食べ物を口にすべき。なのに彼らはどいてくれなかった。当然の処置。」
「いや、まあ…そうだけどな…。」
なんでそんなに早く街に行きたがってるんだ?それも俺の手まで取って。そんなにもんじゃが気になるのか?そんなに腹減ったのか?
「…大丈夫。あなたのことは私が守る。」
「そりゃ俺のセリフだろ。お前とリイは俺が守る…って!そうじゃねえ!そうだけどそうじゃねえ!とにかく逃げるぞ!おっちゃん悪い!ここに金置いてくからこれで勘弁してくれ俺たちは出ていくから!じゃ!」
「はあ…悪いがもう来ないことを祈ってるぜ…。それと金貨50枚は多すぎだ。ここを立て直すつもりか。」
おっちゃんの本音が聞けちゃった…ごめんなホント。せめてしばらく優雅な生活送ってよ…。
しばらく走って宿から逃げて商店通りに着いた。後ろから「金貨だ!」「おやじ!それを寄越せ!」「だれが渡すか!おい男ども!この金貨を守り切ったら特別ボーナスだ!守り抜け!」「「「おおおー!」」」なんてやり取りがあった気がするが気にしない。
「コーン!」
「だよな。いつもならもっと人がいるのに…どうしたんだ?」
商店通りはいつもなら朝からもっと人がいて活気があるのに今日はどこの店も閉まっていて、露店すらない。文字通り人っ子一人いない状態だ。
「商店通りって定休日があったのか?」
「…基本的にそのような日はないはず。どこの街の市場でも毎日やっているのが普通。」
さっそくルナが解説役を果たしてくれる。いやー便利だねえ。頼りになる。
「じゃあなんで…お、前から人が。」
てっきり誰もいないもんだと思ってたんだが前方から数人の人がこっちにむかって歩いてくる。一番前を歩いている奴が後ろの三人をひきつれている感じだ。そいつらは俺たちを見つけると
「おい、そこの平民、僕の進む道を遮るとは無礼であろう。今すぐひざまずいて僕の靴を舐めろ。」
なんか気が狂ったやつしか言わないようなことを言ってきた。年は俺とそう変わらないくらいだが高そうで成金趣味な格好をしている。それにしても開口一番で他人に靴を舐めろとか言うって正気か?頭が残念なやつなのか?
「貴様!この僕にむかってなんてことを!僕が誰だかわからないのか!」
あーまた頭の本音がでちゃったよ反省反省。てかこいつがウワサの貴族ってやつか?むかつくな。
「いや、すまんがお前みたいな小物臭がプンプンしてて近くにいてほしくないやつのことなんかしらんよ。知ってたら臭くて近寄りたくないし。」
「な、なな、なんだと貴様!許さん!このコスイン・シュラード・ウルカリオン、ここまでの侮辱は初めてだ!お前たち、こいつを殺してしまえ!」
おーっと。でたよ挑発にのったバカなやつの合言葉。ていうか会ってすぐに靴を舐めろとか言うやつが人のことをどうこう言う資格がないのもわからないんだな。本当に残念なやつだ。家畜に家畜として扱われればいいのに。
「まだ言うか貴様!もう許さん!絶対に貴様は僕がじっくりと殺してやる!お前ら、そいつを殺すのはやめて取り押さえろ!」
「バカすぎて話になんねえわ。小物が従えられる程度の小物な連中がそんな器用な芸当できるわけないじゃん。ま、それすらもわからないから小物なんだけどな。」
俺に向かってきた三人に向かってザ・バランサーを振るう。切ったのはもちろん皆さんおなじみ脊髄だ。いきなり体が動かなくなり地に倒れる三人組。
「器用な芸当ってのはこうやるんだよ。」
「な!貴様ら何をしてる!さっさと立ってこいつを取り押さえろ!」
「ムリムリ。だってもう二度と体を動かせないようにしちゃったもん。」
「な、なんだこれは!」
「もう二度と動けない!?どういうことだよそれ!」
「頼む!もとに戻してくれえええええ!」
「うるさい!さっさと動いてこいつを捕えろ!」
ゲシゲシと三人組を蹴るキチガイ君。そんなことしてもムダなのに。やっぱり頭は良くないんだな。当然だけど。
「よーしさっさとこいつの処分を済ませるか。」
「な、なにをす…ぐあああああああ!」
なにをするって?ただ肩パンしただけですが?まあ俺ほどの腕力を持つ人間がそれをやったらどうなるかは想像にまかせるけど。
「ぎゃああああああああああああああ!痛い!痛い痛い痛いいいいいいいいい!お母様お助けをおおおおおおおおお!」
衝撃の事実!キチガイ君はマザコンだった!とっさのときに母親の名前が出るとか…気色悪!
「さーてと。ルナ、リイ。こいつこのままほっといても邪魔だからどっかに拘束してくる。…迷惑かけるけどシュタインのところにまたやっかいになるか。」
「…ついて行く。」
「コン!」
「よし、じゃあ一緒に行くか。買い物は…午後にまたのぞいてやってなかったら店が出るまで日程をずらすとするか。」
いつの間にか痛みで泡を吹いて気絶しているキチガイ君の足を掴み、何度目か分からなくなるほど行ったシュタインの店に再び足を運ぶ。
次回の更新はいつになるかわかりませんができるだけ早くしたいと思います。もちろん勉強も頑張りますよ?




