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馬車購入

 何が起きたんでしょう。一日でPV12000オーバー ユニークも1300を突破しました。今までにない数字で驚きです。


 総合ではPV66000超え、ユニークも10000オーバーを記録しました。


 これもひとえに読者の皆様のおかげです。これからもどうぞよろしくお願いします!!

「よお、シュタイン。早速で悪いんだが納品は明日でもいいか?これからしばらくの間はちょっと忙しいんだわ。」


 シュタインの店に入るなりシュタインにそう告げる。シュタインも別に嫌な風ではなく、


「そうですか。それにしてもさっき出て行ってからの間に一体何があったんですか?」


「それについても話すわ。それと頼みがあるんだがいいか?」


「ええ、シキさんにはこの短い間にずいぶんとお世話になってますからねぇ。なんでもおっしゃってください。」


「助かる。頼みってのはこれのことなんだ。」


 亜空間に仕舞っておいたバカどもを店の中に引っ張り出す。亜空間から出した瞬間、止まっていた出血がまた始まった。


「おやおや、どうしたんですか、これは?また提供してくださるので?」


「いや、悪いがこいつらは俺が使う。しばらくの間こいつらを拘束しておいて欲しいんだ。シュタインのことだからプライベートで牢とかあるだろ?そこに入れておいてほしい。もちろんこいつらの怪我の治療はして、飯代とかもこっちから出すから。」


「確かに檻はいつくかありますから問題ありませんよ。食事代も結構です。それだけあなたは私にいろいろ送って下さったのですから。」


「いや、これからもちょっと頼みごととかもするつもりだから払わせてくれ。友達にあまり迷惑はかけたくない。」


 するとシュタインは目を開いて驚いた顔になった。こいつにしては珍しい。


「おい、一体どうしたんだよ。」


「いえ…。ここ数十年、今の私のこの状態を知ってからというもの友人と言ってくれる人はいませんでしたので。少しばかり感動していたのですよ。」


 そりゃマッドサイエンティストと好き好んで友達になろうなんて奴は俺位なもんだろうな。なにせこの世界の人間じゃないから偏見とかがまるでない。それに物珍しさも手伝って、街の評判ほどこいつを悪くは思えない。実際面白いやつだし。


「そうか、なら俺たちは友達だよ。だから友達に少しでも迷惑をかけるんだ、謝礼くらいさせてくれよ。」


「いいえ、そんなことをさせるわけにはいきません。友人だからこそ助け合うのでしょう。」


 なんかちょっと熱いな、シュタインのやつ。意外な一面を見た感じだ。


「…そうか、なら好意に甘えさせてもらおうかな。そしてこれからのことを少し話しておきたい。」


「なんでしょう。」


「俺はもう少ししたら…この街を離れることにした。」


「なんですと!…いや、確かにここまで大人数を倒してしまうとそうしなければならないのかもしれませんね。本当に残念ですが。」


 そう、俺はもう少ししたらこの街を離れることにした。理由は目立ちすぎたのと金に群がってくる奴らからの逃走のためだ。なんだかんだ言って冒険者を何人か行方不明にしてしまった自覚もあるしこの20人を使ってやることを考えるとやった後すぐに逃げなければいけない。そのためには出発の準備を整えてからでないとさすがに捕まってしまう。


「そして聞いておきたいんだが、この大陸にはいくつかの国があるんだよな?」


「ええ。私たちがいるこの街はウルカリオン帝国という国の領土です。帝国はこの大陸の中で一番大きい国です。その次に大きいのはメルウッド王国ですかね。あそこもこの国に負けず劣らずの大国ですよ。」


「そうか、じゃあこの国で指名手配とかされても余所の国に逃げ込めば大丈夫だよな?」


「それはまあ大丈夫ですが…一体何をする予定なので?」


 俺は考えていることをシュタインに話す。シュタインも俺が言ったことを聞くとさすがに表情をゆがめた。


「なるほど、それは確かに指名手配になってもおかしくはないですね。」


「だろ?いや、やること自体は俺らにとっちゃなんでもないことなんだけどさ、世間的にねえ?」


「ですねぇ。下手をすると逆に挑んでくる人も増えるでしょうがほとんどは避けるでしょう。特にこの街にこの時期にいた人間は。それをしてしまうとさすがにあっちから絡んできたといっても聞き入れてもらえないでしょうし話を聞いてもらえたとしてもやりすぎといわれてしまうのがオチでしょうねえ。」


「でだ、俺としてはこのままシュタインと離れたままにしておくのは面白くないと思ってんだよ。だからなにか長距離を移動できる魔道具ってないか?」


「長距離移動の魔道具ですか…明らかに通信機よりも何度が上がってしまいますが確かここらへんに…。」


 ごそごそと店の奥を漁るシュタイン。一つ物をどかすごとに10の物が上から落ちてくる。そんな捜索劇を眺めていること数分。


「ありました、これですね。『アトムの流れ星』。」


「アトムの流れ星?これが長距離移動の魔道具か?」


「正確には人ではなく物を運ぶための道具なのですよ。ですが生物も理論的には可能です。距離は関係なく、対応するもう一個がある場所につながるようになっているんですよ。」


「へえ、結構広まっているやつなのか?」


「ええ、大きな魔道具屋なら大抵売っているはずです。」


「じゃあなんで人を運ぶことは理論上可能ってことになってるんだ?」


「これは要は対象を魔菌以上に細かく分解して風の魔法で素早く運ぶという道具なのですが人間などの生きているものを対象にすると微妙に体の重心がおかしくなってたり腕の長さが左右で違ったりといった不具合が生じるんですよ。これは物質を運んだ時にも同じことが生じるので本当に大切なものや精密なものはこれで運ばずにちゃんと足を使って運びます。」


 要は組み立ての時に正確にできないってことか。それは困るな。怪我ですらないからヒールでも治せないとなると遠慮したい。こうなったら長距離移動魔法を創るか。


「さすがにそれは勘弁してくれ。大丈夫、ちゃんとここまで誰にも見つからずに来る方法も思いついたしいざとなったら隠れて入ってくるさ。」


「そうですか…ですが私の方でもこれの改良をしておきます。そしてちゃんとズレの起きない物をお渡ししますよ。」


「頼むぜ。俺はこれから旅に必要なものを買いに行く。さしあたっては食料と馬車そして奴隷ってとこかな。」


「確かに旅の途中で雑用をやらせる人間は必要ですねぇ。御者もやらせられるのならなおよろしいかと。」


「そうだよな、じゃあ悪いがこいつらの管理を頼むぜ。行ってくる。」


「いってらっしゃいませ。」


 俺は最初に馬車を買いに向かった。なぜかというとどの程度の荷物や人数を運ぶことができるのかをあらかじめ決めておくためだ。先に奴隷を多く買っておいて馬車を買おうと思ったら一台じゃ収まらなかったからもう一台買って奴隷たちを乗せたなんてことになったらどこぞの奴隷商人のようになりかねない。

 道を聞きつつ馬車と馬を売っている店までたどり着いた。


「おい、ちょっといいか?馬車と引くための馬が欲しいんだが。」


「おう、らっしゃい。馬車と馬でなにか希望はあるか?」


「そうだな、一番大きい馬車とタフな馬がいいな。」


「一番大きいのか?だったらこれなんかどうだ?」


 薦められたのは商人が商品を運ぶためにも使う大型の幌馬車だった。よくキャラバンとかでみかけるやつだ。


「いいな、これは。馬車って改造とかもできたりするか?」


「もの次第だな。どんな風にしたいんだ?」


「縦幅だけじゃなくてもうちょっと横幅も欲しいな。天井の高さもせめて俺が立っても少し余裕があるようにして、人が四、五人は横になれるようにほしい。」


「そのぐらいだったら三、四日あればできるだろう。馬車っていうより巨大な台車みたいな感じになるがいいか?」


「構わねえよ。それと思いっきり頑丈にしてほしい。」


「頑丈にするのはいいがそれだと鉄を使わなきゃいけねえぞ?そうなると引く馬も多くしなきゃいけなくなるな。どうだ?そこまでするんだったら魔物を買ってみたら。」


「魔物?魔物に馬車を引かせるのか?」


「ああ、比較的人間に慣れた魔物ってやつもいるんだよ。そいつらを使って畑を耕している田舎も少なくはねえ。で、どうだい?」


「そうか、ならそいつらを見せてもらうかな。」


「はいよ、こっちだ。」


 連れて行かれたのは馬のいる小屋とは別でそこよりも大きな小屋だった。中に入るとさまざまな魔物が繋がれていてあちこちから奇声が聞こえてくる。


「いろいろいるな。おススメみたいなのはないか?」


「そうだな…お前さんが買う馬車は大手の商人の仕入れ用の馬車と同じかそれ以上の大きさがあるからな。しかも鉄を使って強度と重量をあげるときてる。並みの魔物じゃ引っ張るのにも数がいるな…。一頭がいいなら一番馬力のある値段が高い魔物になるぞ。複数でいいならそれなりの値段のやつを見繕うが?」


「そうだな、多いと管理が大変だが一頭だけだとそいつに何かあった時に困るしな…。じゃあ二番目に自力のあるやつを二頭くれ。」


 一番馬力のあるやつだと一頭で大丈夫だが何かあった時のために二頭は欲しい。だが一頭で十分馬車を引っ張れるやつを二頭揃えてももったいないからな、このくらいが妥当だろ。


「わかった。だとするとそうだな…このランドドラゴンなんてどうだ?」


 薦められたランドドラゴンを見てみると体つきがガッチリしている翼の無い茶色のドラゴンだった。首は長くなくて尻尾も馬車を引くのに邪魔にならない程度にだが長い。どっちかっていうと犬みたいな感じのやつだ。


「ドラゴンの下位種族とはいえドラゴンはドラゴンだから値は張るぞ。しかも二頭買うってことだから白金貨一枚になるがどうだ?やめるか?」


 店員がどうせ払えないだろうといった体で聞いてくる。わざわざ個人でここまでするやつもいないだろうからな。


「いや、買わせてもらう。ほら、先に支払っておくぜ。」


「…こりゃ驚いたな、まさかホントに買うとは。馬車の代金の方は改造もするから金貨50枚するが…大丈夫か?」


「大丈夫だ。ほら、もう一枚。」


 といってもう一枚白金貨を渡す。店員は今度こそ本当に驚いたようで口をあんぐりと開けている。


「お前さん、やっぱりどこぞの貴族だったのか?個人でここまで金払いのいい奴なんか普通はいないんだが…。」


「なに、ちょっと魔物を倒した報酬が入っただけさ。釣りは頼むぜ。」


「…あ、ああ。わかった。それじゃあこの中から好きなやつを二頭選んでくれ。」


 促されて五頭くらいいるランドドラゴンの中からよさそうなやつを探してみる。するとやけに積極的に俺によってくるやつらが二頭いた。


「そいつらが買い主の方によって行くなんて珍しいな。いつもなら奥の方で寝そべって買われないように拒絶するのに。」


 と後ろで店員が驚いたようにつぶやく。


「へえ、お前らもしかして二頭揃って買われたかったりするわけ?」


 こくこくと首を縦に振る二頭。こいつらってつがいかなんかなんだろうか?息がぴったりだ。


「なあ、こいつらってどこから仕入れてきたんだ?もしかして同じところから?」


「ああ、他のやつらは別々のところから仕入れてきたけどそいつらだけは二頭一緒に仕入れてきたな。それがどうした?」


「こいつらつがいか、じゃなけりゃ親兄弟だと思うんだよ。なんか二頭一緒に買われたがっているみたいだし。」


 話を聞く限りじゃランドドラゴンは一頭金貨50枚はする。貴族ならともかく個人で白金貨一枚分の買い物をする奴なんて基本的にはいないだろう。だから今まではどっちか一方が買われないように二頭揃って拒絶してたわけだ。

 でも俺と店員の会話でそこまで理解できたんだとしたらこいつら結構頭いいんじゃないか?


「せっかくだからこいつらをもらう。それでいいか?」


「わかった。こっちもいい加減売りたかったところだ、持ってってくれ。礼と言っちゃなんだが馬具も一通り揃えてやるよ。」


「助かる。じゃあ馬車とこいつらの準備を頼むぜ。三日ぐらいしたら馬車もできるだろ?その時にこいつらも引取りに来るぜ。」


 奥に行った店員を見送り、二頭のランドドラゴンに向き直る。


「よし、じゃあこれからよろしくな、お前ら。最初に聞いておくけど、お前らってどういう関係だ?つがいか?」


 首を横に振るランドドラゴン達。違ったか。


「じゃあ兄弟か?」


 今度は首を縦に振る。どうやらあっていたらしい。それにしてもこいつら本当に頭いいな。これなら旅の途中でも意思疎通が簡単そうで助かる。


「どっちが兄貴だ?お前か?」


 右耳がちょっと折れているやつを指さして聞く。首を縦に振ったからそうらしい。


「じゃあ左耳が折れてるお前は弟か?」


 こっちは首を横に振った。弟ではないなら妹なんだろう。違いなんかまったく分からないが。


「そうか、お前は妹なんだな。わかった、じゃあ名前を付けよう。…そうだな、兄貴の方がシンで妹の方がフウだ。いいか?」


 ちなみに由来は神風(かみかぜ)からで、それぞれの漢字を『しん』『ふう』と呼んだところからきている。

 二頭とも嬉しげに首を縦に振っている。どうやら満足してくれたらしい。そっからしばらく交流した後に釣りの金貨50枚を受け取り、店を出て宿に戻った。

次はいよいよ奴隷商館に突撃するかも?前々から奴隷を出したかったんですよね。

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