表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/105

第1話 ~暗紅の悪魔だぁアァッッ~


「戦場を駆ける戦士達よっ、よく聞けっ」


 突如としてマクミルが立ち上がった。


「国王ラードヘルンは、我らリステラ王国のヴァルテ小隊とともにあるッ」


そう大声を上げながら隊長が周囲を見渡していく――


「もはや戦闘は不要であるっ、皆、矛を収められよッ……」


 マクミルが口を閉ざすと、周囲は静寂に包まれた。


 驚愕、怒り、悲観といった感情が周囲に漂い、空気が張り詰める。


 ノイシュは唾を呑み込みながら眉間に力を込め、周囲を見渡し続けた。


 これ以上の争いを、僕らはしたくないんだ……っ――


「――おい、空が何かおかしいぞ……っ」


不意に 誰かが声を上げるのを聞き、思わずノイシュは空を仰いだ――


――な、何だ……っ


 視界の先ではいつの間にか上空に黒い雲が立ち込め始めていた。


 周囲が少しずつ暗くなっていき、同時に雲の切れ目から覗く蒼穹が血のような朱色に染まっていく――


――まっ、まさか……ッ


 ノイシュは背筋が激しく粟立つのを感じた。


 そして雲間の一部が開き、暗紅の空からゆっくりと垂れ落ちていく人物を視認する。


 それは左手には斧槍を握り、長い髪と真紅の戦士服を風になびかせた少女だった――


――ミッ、ミネアッ……ッ


「暗紅の悪魔だぁアァッッ」


 突如として誰かが絶叫を上げ、瞬く間に混乱と叫喚が周囲を支配していく。


 彼らの恐怖した表情に、ノイシュは奥歯を噛み締めた。


 既に敵軍の間にもミネアの存在が広く知れ渡っているのだと気づく。


 そう、あまねく人の(アニマ)を吸い取る魔物として――


「あれはっ……」


「ミネアだと……ッ」


 次々と小隊の仲間達からも驚きの声が漏れ聞こえてくる。


 ノイシュは素早く彼らに向き直った。


「隊長ッ、すぐにラードヘルン陛下を連れてここから離れて下さい……ッ」


 そう告げた直後、ノイシュは遠くから閃光が解き放たれていくのを視界にとらえた―― 


~登場人物~


 ノイシュ・ルンハイト……主人公。男性。ヴァルテ小隊の術戦士で、剣技と術を組み合わせた術剣の使い手


 マクミル・イゲル……ヴァルテ小隊の隊長。男性。ヴァルテ小隊の術戦士で、増強術という支援術の使い手


 ウォレン・ガストフ……ヴァルテ小隊の隊員で、戦士。男性。あらゆる術を無効化する術耐性の持ち主


 ノヴァ・パーレム……ヴァルテ小隊の隊員で、術士。女性。様々な攻撃術の使い手


 ビューレ・ユンク……ヴァルテ小隊の隊員であり、術士。また修道士でもある。女性。回復術の使い手


 エルン・ルンハイト……ノイシュおよびミネアの義妹。術増幅という超高位秘術の使い手


 ミネア・ルンハイト……ノイシュの義妹かつエルンの義姉。魂吸収術という超高位秘術の使い手。通称『暗紅の悪魔』


 ラードヘルン……レポグント王国の国王


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ