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ディアナの暴走

 ◆


 さっそく俺達は砂浜に出た。

 砂浜――それは即ち青い空の下、限りない開放感を人類に齎す究極のパラダァァァィスッ!

 またの名をビィィィィィィチッ――である。


 ビーチは人間を心身共に開放的にする。

 それは心理学者でなくとも分かる、自明の理ッ!

 であれば心に秘めたる親愛の情を、ここぞとばかりに女性は女性に現すべきなのだッ!

 それこそがNAGISAの奇跡ッ!

 なぁらぁばッ! 百合っぷるを探すことなど、雑作も無いはずッ!


 失礼――あまりの開放感に拙者、いささか取り乱してござる。

 では賢明なる諸君、さぁ行こうか――偉大なる百合の花園へ。フォロー・ミー!


 ここで俺は十五世紀フランスにおいてイギリス軍に立ち向かったジャンヌ・ダルクのごとく、右手を掲げて足を前に出す。目指すは抑圧されたる性癖の解放だ。今こそ神託は下った。


 そういえば――ジャンヌと言えばフランス。フランスといえば、王家の紋章はまさに百合ッ! 

 つまり我らこそが、フランス王家由来の正当なる性癖解放戦線ッ! 大義は得たぞ! 全軍前へッ!


 が――行けども行けども百合は見つからない。

 おかしいナ……。


 素肌にサンオイルを塗り合うビキニ姿の女性達はいずこッ!?

 仲睦まじくパラソルの下で、身を寄せ合って一枚のバスタオルにくるまる少女達はドコッ!?


 俺は炎天下の中、あてども無く百合の花を探し続ける。しかし――ここには何も無い……。

 なんということだ……。

 絶望した俺は……いつの間にか意識が遠のいていた……。


 ――――


「……おい、アレクッ! こんな所で何やってんだよ! ちっこいカニを分けて、ナニしてんだ!?」


「フハ、フハ、フハハハ……メスのカニとメスのカニをくっつけて……デュフフ〜〜はい、百合〜〜。雄はあっちいけ」


「おい……アレク……まさか、そのカニは……?」


「見て分かるだろう? 美少女達だよぉ〜〜。ぜ〜んぶメスなんだぁ〜〜デュフフフゥ」


「お、おう。そうか……」


「どうしたの、ガブリエラ。アレク、見つかった?」


「ああ、ディアナ。それがな……なんかさっきからカニを分けててさ。メスを集めて、乗せたりくっつけたり、訳が分からないんだよ……」


「は? ああ……あれ、たぶん百合ごっこだよ」


「なんだ、それ?」


「ほら、アレクって百合が大好きでしょ。だけど、ここには百合の人って居ないからさ。ときどき禁断症状が出て、動物や何かを擬人化して、アッチの世界へ行っちゃうの」


「お、おい……それってヤバいんじゃ……」


「まあ、大丈夫。暫く放っとこ」


「お、おう……」


 ……ん?

 今、去っていく足音が聞こえたような……?

 

 はっ……俺は一体、カニを積み上げて何をやっていたんだ!?

 さっさと百合を探さねば!

 美少女老いやすく、百合成り難しと言うからな。

 いや――まあ、俺はアラフォー上司と新入社員OLだって全然イケるが、それはそれだ。


 とにかく俺は、再び走り回った。

 しかし行けども行けども、見えるのは横歩きをするカニばかり……あとたまに貝類。

 ああ……何だかカニや貝が、小人に見えてきた……。


 いかんいかん。――と、俺は頭を振る。

 キチンと女性を探さねば……。

 だけどここ、そもそも人が居ないぞ……と思っていたら、居た。

 

 遠目からでも分かる小麦色の肌に、豊満な肉を備えた人間の姿が見える。

 だが問題は……肉が筋肉でムキムキのマッチョなことだろうか。

 俺が絶望にうちひしがれて砂に両膝を着くと、キラリと白い歯を見せて、爽やかな壮年が笑顔を見せる。


「ここで武闘会を行うと聞き及びましたが?」


 心身ともにイケメンなお父さん、レオン・ランガーだ。

 半裸の彼は完成された肉体美をもって、俺の前に立つ。傾げた小首は、とても太かった。


 そっか。レオンって着痩せするんだ。

 鎧を脱ぐと凄いんだね……まあ、武人だものね……頼りがい有りそうだなぁ……はは……。

 でも今は、全く、全然、少しだってお呼びじゃない。探しているのは百合なんだ。


「武闘会なんて、これっぽっちもやる予定はない」


 俺は親指と人差し指の隙間を僅かばかり開けて、そこから片目を覗かせレオンを睨む。

 そして重要なことを問い質した。


「そんなことより、百合を見なかったか?」


「は? 百合……百合と申しますと、山の方が見つかるのでは?」


「それは花の百合だ。違うんだ」


「は……違うと申されましても……不勉強な自分には分かりかねますが……」


「ああ、そうか。レオン、いいかい。百合には二種類あるんだ。花と夢……その二つさ。私は今、夢の方を探している。これは私の生涯を賭けたものだと言っても、過言ではない」


「そ、それは……閣下の悲願であらせられますか。それでは、自分も夢の実現に協力致したく存じます……」


「……うむ。道は長く険しいが、宜しく頼む」


 次に現れたのは、ドムトだった。

 すっかり小麦色に焼けた大男が、盛り上がった肩に大斧を担いでいる。


「お、大将。レオンを連れて、何してんでさぁ? ガブリエラさまが、何とかってヤツの頭をカチ割るって言ってましたぜ? だから早く来てくれって」


「うん――まあ、それはスイカのことだね。きっと人の頭じゃあ無いと思うよ」


「えっ! なんだ、そうだったんですか! まいったなぁ! 得物、持って来ちまいましたよ!」


 そう言ってブンブンと斧を振り、キラキラと汗を巻き散らすドムト。 

 ……にしても、斧を振る速度が尋常ではない。

 ディアナが『魔素過給器機構マナ・ターボシステム』を付けたと言っていたから、その影響だろうか。右目が、奇妙に赤く揺らめいている。


「赤く光る目は、カッコイイよね」


 ディアナがこんな事を言っていたのを、ふと思い出した。


 それにアイツ、左腕にはロマンを詰めた――なんて言ってぞ……。

 アイツのロマンって、きっと大砲なんだろうな。気付いたらビックリするよ……きっと。

 ドムト……全然助かってないよ……ドムト……むしろ魔改造されちゃったよ……。

 

 ドムトを見ながらモノの哀れを感じていたら、海面がボコリと盛り上がった。

 三叉の槍を引っさげた巨漢が、海中から姿を現す。

 頭にワカメをのっけた、鮫のヴァレンスだった。


「とったどー!」


 三叉の槍には大きな魚が刺さっていて、ピクピクと痙攣をしている。

 魚と同じくヴァレンスの大胸筋も、まるでダンスを踊るかのようにピクピクと弾んでいた。


 誰が男だらけの水泳大会をやれと言ったか……誰得だよ!

 俺が探していたのは、百合なのに……!


 ともあれ、俺達は皆の下へと戻る事にした。

 これからスイカ割りだが、その前にバーベキューもやるのだ。

 ちょうど腹も減ってきたし、ヴァレンスが獲った魚もある。

 百合は見つからなかったが、戻るには良い頃合いであった。


――――


「おい、ヴァレンス! はやくその魚、持ってきやがれッ! 焼くぞッ!」


「ヴェンゼロス、仕切るな」


 隅の方で、モクモクと煙が上がっていた。

 先ほどから海の幸、山の幸を熱した石に乗せて焼いているのだ。

 いわゆるバーベキューだが、熱源はディアナの魔法である。


 食材は禿頭にねじり鉢巻をしたヴェンゼロスが、丁寧に焼いていた。

 ディアナは酒をガブガブ飲みながらも、上機嫌で魔法を使い続けている。

 ガブリエラはもっぱら食べる係として、さっきから口をモグモグと動かしていた。


 まあ――考えてみれば、ここはプライベートビーチにも等しい場所。 

 百合など、あろうはずも無かったのだ……。


 ――――


 スイカ割りが始まった。

 

「右ー! 右ー! あー、ちょい左! 行き過ぎッ!」


 ディアナのかけ声で、目隠しをしたガブリエラが右に左にとヨタヨタ動く。

 振りかぶっているのは陽光にギラリと反射する、愛用の大剣だ。

 俺はその様を眺め、レオンに苦笑を浮かべて見せた。


 スイカ割りは男チームと女チームに分かれ、戦っている。

 スイカは一個しか無いので、これが割れたら次は頭蓋骨という話だ。

 なんでもディアナは、その為に頭蓋骨を持ち歩いていたらしい。

 駄目だとあれ程言ったのに……頭蓋骨が割れても、何も楽しいことは無いというのに……。


 ただまあ……目の前には胡座をかいて座るディアナと、隣で肩を並べるミネルヴァ。

 その後ろにメディア、ルナ、アイーシャと、見目麗しい女性が揃っている。

 となると、まあ、百合的妄想には事欠かない訳で……。


 それにね、全員下着に近い恰好な訳です。 

 水着という概念が無い世界なので、裸でなければそうなるんですね。

 みんな白い厚手の布を胸に巻いて、下は下着と布を巻いただけ……。

 ちょこちょこと彼女達の素肌が触れ合ったりしていてねぇ……デュフ、デュフフ……妄想も捗りますなぁ……。


「ちょっと、大将! ディアナちゃんが股、開いてますぜッ! 見える、見えるッ!」


「む? 覗きは駄目だ、ドムト。見るべき所は、ディアナとミネルヴァの触れ合った肩だッ!」


 俺はドムトの足を引っかけ、横に倒す。「喝ッ!」

 愚か者め。覗き等という愚かな行為は、百合道大原則に悖るモノと知れいッ!


 ……ん? 横を見るとヴァレンスが涎を垂らしていた。


「ヴァレンス?」


「はい?」


「誰を見ている?」


「あ……ガブリエラです。まさかあの暴力女が、これほど豊満な……ほら……揺れている」


 瞬間、セルティウスさんの眼がギラリと光った。

 きっと彼が剣を持っていたら、ヴァレンスの股間は斬り落とされていただろう。

 

 だが今日のガブリエラは、正直言って凄く綺麗だ。

 求婚されまくっているという話も、十分に頷ける。

 剣を振り上げているせいで、白い脇が丸見え。動くたびに豊満な胸が、ゆっさゆっさと揺れていた。

 これを見て涎を垂らすなと言う方が、酷かも知れない。

 

 そんなことを考えていると、ズバンとスイカが真っ二つに割れた。

 赤い果汁が飛び散り、甘い香りを振りまいている。


 こうして太陽が傾くまで笑い、楽しんでから俺達は城へ帰ることとなった。


 ◆◆


 ガブリエラを歓迎する宴は、夜半まで続いた。

 城の内庭に篝火を盛大に焚いて、相変わらず夕食もバーベキューだ。

 結局、牛や豚を何頭も潰して、近隣から人々を招き夏祭りの様相となった。

 どうせここまでやるなら、告知等をして本当の祭りにすべきだったな……。


 来年に関する教訓を得た所で、俺は肩に重みを感じた。

 ついに酔いつぶれたディアナが、小さな寝息と共に凭れてきたのだ。

 俺はガブリエラに挨拶をして、ディアナを部屋に連れて行った。

 それから再びガブリエラの所へ戻ると、彼女もユラユラと船を漕いでいる。


「ガブリエラ」


「ん? あ、ああ……」


「部屋を用意してあるから、もう休むと良い。ヴェンゼロス達に付き合っていたら、朝になるからさ」


「う……ん……そうだな。久々に楽しかったから、ちょっと騒ぎ過ぎたよ」


 大きく伸びをして、ガブリエラが立ち上がった。


「風呂に入ってから寝るなら、ルナを付けるよ。俺は部屋で、身体を拭くだけにするけど……」


 ガブリエラを連れて城内に入る途中、ふと俺は口にした。

 考えてみれば、風呂に入りたいかもしれない――と思ったのだ。

 夕食の前に水浴びをして塩や砂は取ったが、それとこれとは別だろう。

 案の定ガブリエラは頷いて、「ああ、入る」と言った。

 ルナはどこからともなく姿を現して、ガブリエラを風呂へと案内する。


 俺はそのまま自室へ戻り、侍従に桶と布を持って来てもらった。

 裸になって身体を拭いていると、開け放った窓から夜風が入ってきて随分と気持ち良い。

 外から聞こえる音で、まだ皆が騒いでいることが分かる。


「まったく――元気なもんだ」


 苦笑しながら布で肩を擦っていたら、扉が“キイ”と音を立てて開いた。黒い人影が現れる。


「誰だ?」


 鋭く誰何してみたが、応えは無かった。

 俺は警戒して、武器を手にする。


 この部屋を警護する衛兵は、基本的にいない。

 レオンが率いる私兵達はアイオスの街の治安を守る事で手一杯だし、俺がそれで良いと思っているからだ。


 だいいち、現段階で俺を暗殺しようとする者は居ないと判断していた。

 何故ならマーモスを落とした事で、俺は帝国にとって有力な手駒であることが立証されたからだ。

 その俺を殺したと疑われるリスクは、今のところメリットを上回るだろう。


 しかし――それでも刺客を放って来たのなら、かなりの手練ということになる。

 なぜなら帝国の有力な手駒を害し得る力を持った、暗殺者であるからだ。

 ましてや音も無く城に忍び入り、俺の部屋へ到達する。ならば魔導師の類のだろうか……。


 そうなると――ルナかリナに守って貰うしかないが……。

 残念ながらルナはガブリエラの供で風呂――リナは帝都で情報収集ときている。

 こんなとき、都合良くミネルヴァでも来てくれれば……。


 そんなことをツラツラと考えていたら、前方から人影が迫って来た。

 これが刺客なら、俺の命も終わりか――。

 いや、俺だって結構強いはずだ。もしかしたら、勝てるかも知れない。


 そう思っていたら人影はヨタヨタと歩き、俺に凭れ掛かって情けない声を発した。


「ア……レク……水ぅ〜〜」


「なんだ……ディアナか」


 黒い薄布を纏ったディアナを、何とか抱きとめる。

 かなり酒臭い。まだ完全に酔っぱらっているようだ。


 俺は寝台にディアナを寝かせ、杯に水を汲んでディアナに飲ませる。

 それから背中を摩って、落ち着かせた。

 完全に飲み過ぎたのだろう。時折「うっぷ」とえづいている。

 そして「ここは、どこ?」と恍けたことを言った。


「ここは俺の部屋だ」


「うーん……トイレに行って、間違えてここに来ちゃったのか……」


 ディアナは素っ裸にローブだけを羽織って、ここに来たようだ。

 軽く頭を振ると、「だぁぁぁ! あつい!」と喚き、それを脱ぎ捨てた。

 

「じゃ、寝る」


 そのまま俺の寝台で、ディアナが横になって目を瞑る。月光に照らされた白い背中が、ほんのりと輝いて見えた。


「部屋に戻れよ」


 寝台を占拠した黒き魔女に、俺は毅然として文句を言う。お尻の割れ目の黒い影が、とてもエッチに見えた。


「やだ」


 仰向けになった。大の字になって足をジタバタさせ、ディアナが拒絶する。

 そのせいで、一糸纏わぬ彼女の裸が目に飛び込んできた。


「……一緒に寝よう。フヒヒ〜〜」


 相変わらず、目を瞑ったままだ。酔っ払いもここまでくると、いっそ清々しいが……。


「駄目だろ、そんなの」


「なんでさ、友達でしょ」


「だけどディアナは……」


「ボクのこと、女の子だと思うから?」


 片目だけを開けて、ディアナが俺を睨んでいる。赤い方の瞳だ。月光を反射して、悪魔じみた輝きを帯びていた。


「そりゃ、そういう見た目だし」


「だったらさ……ガブリエラのことも、女の子として見てあげてよ」


 カサリと音がした。ディアナが起き上がり、寝台の縁にそっと座る。

 俺はディアナの肩に黒い布を羽織らせ、目のやり場を確保した。


「アイツの気持ち、もう気付いてるんでしょ?」

 

 黒い柔らかな髪を肩から払い、ディアナが真っ直ぐに俺を見つめている。

 俺は頷き、言葉を探してゆっくりと答えた。


「アイツを女扱いしたら、もう友達には戻れないだろ……」


「男だとか女だとか、そんなことに拘るのかい?」


「拘るに決まっている。だって男だった頃なら、アイツの気持ちが俺に向く事なんて無いだろ」


「そうだね。じゃあアレクは、男女の間に友情は有り得ないと思うの?」


「そうは思わないし、そんな話をしている訳でもない。ただ――好きって気持ちと友情は両立しないし、何より俺とガブリエラがその――そういう関係になったら――ディアナが……」


「……ボクに気を使っているの?」


「使うだろ! 俺はずっと、三人で一緒に居たいんだ!」


 ディアナがスッ――と目を細めて、俺に微笑んだ。


「なら、大丈夫だよ――ボク、めかけでいいから」


 ディアナの腕が俺に絡み付いて、寝台へと引っ張った。

 身体が動かない――どういう訳か、ディアナのなすがままになってしまう。

 そのディアナは再び黒い布をとって、裸になっていた。


「――ま、魔法を使ったな!?」


「フヒヒヒ……おえ……」


 そして再び嘔吐えずくディアナ……。

 コイツ、まだ完全に酔っぱらっている――と思った。

 そうでなければ、こんな事はしないはずだ。


 ディアナが身体の上下を入れ替え、俺に馬乗りになっている。

 彼女の大きくも無く小さくも無い胸が俺の頭上にあって、二つの影を落としていた。

 ニンマリとディアナが笑っている。その口が、徐々に降りて来た。


「考えてみて、アレク。キミとガブリエラが結ばれないのは、キミが彼女を頑に男友達だと思っているからだろう? そこでボクは――うっぷ――考えたのさ。まず、同じ男友達であるボクとエッチをするんだ。するとボクが女である事に気付く――だから……だから?」


 ディアナの目は、グルグルとしていた。理論が完全に破綻している。素面の彼女なら、有り得ないことであった。

 しかしディアナの行動は、全く止まらない。

 

「まあ、いいや――」言いながら、ディアナの顔が俺に近づいてくる。

 ヌメリとした感触が、俺の唇を覆った。ちゅく――……。

 ディアナが俺の唇を甘く噛み、舐めて、その舌を俺の口の中へと差し入れる。

 そのまま右手を俺の股間に当てて、「フヒヒ」と笑っていた。


「おっきくなぁれぇ〜〜」


 艶かしい声が、耳元で聞こえた。


「ほら……友達なのに……アレクはボクに欲情した。だけどボク達は友達のままだよぉ……関係性は、変わらなぁい……だからさ、いいんだよ。遠慮せずに友達のまま、ボク達を嫁にして〜〜……すぴー……」


 ディアナは俺の口に口を押し付けたまま、眠ってしまう。

 不覚にも俺は、ディアナに反応してしまった。

 そして多分、彼女が眠らなければ、そのまま関係を持っていただろう。


 酷く蒸し暑いのに、身体がブルリと震えた。


 このようなこと、百合神がお許しになる訳が無い。

 そもそも人生初のモテ期が、こんなことで良いのか? 

 俺はホモォだったのか?

 

 俺はディアナの身体に掛け布を乗せると、部屋の隅で踞り、そっと目を閉じた。

 今、ディアナと同じ寝台で眠ったら、俺はきっと百合神に叛いてしまう。そしてホモ神さまに改宗だ。

 それだけは、何としても避けたかったのである。

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