(平穏な日々)21
ようやく書き上げました。
疲れた、腹減った。
でも腹の脂肪は減らない。
そんなこんなで、あけおめ、ことよろ。
お年玉代わりブックマークを下さい、ねえ、そこの貴方。
尼子晴久は本陣にいる面々を見回した。
特に安芸や周防の国人衆に注視した。
皆が皆、居心地の悪そうな顔色をしていた。
それは決して毛利への忠誠とか同情ではない。
小物は小物なりの先への不安。
自分達を飲み込みそうな勢いの尼子への恐れであると見抜いた。
彼等の心情は理解した。
覚慶様と本城常光との遣り取りは微笑ましいが、
何時までもこのままにして置けない。
本陣は茶飲み話の場ではない。
大勢の武将達が顔を揃えているのだ。
場を本来の姿に戻そう。
尼子晴久は覚慶様に聞こえるように軽く咳をした。
先に本城常光が口を閉じ、姿勢を正した。
覚慶様がのほほんとした表情で晴久を見遣った。
「晴久、それでは始めてくれ」
喰えない。
上座が似合う様になってきた。
晴久は全体を見回した。
まず先手を取ろう。
安芸と周防の国人衆に視線を向けた。
「方々、ご苦労である。
軍議の前に一つ決めよう。
このままでは安芸や周防の方々は纏まりを欠く。
そこで纏める旗頭を置く。
まず安芸衆は三刀屋久扶とする。
三刀屋、旗頭として頼むぞ」
尼子家臣で三刀屋城の城主だ。
打ち合わせ済みなので三刀屋久扶が深く頷いた。
「承知、励みます」
晴久は決めてから安芸衆に尋ねた。
「どなたか異存はござらんか」
なし。
一人が賛同すると、それに残りが慌てて尻馬に乗った。
三刀屋久扶が安芸衆に正対した。
「方々、三刀屋久扶である。
これより良しなに頼む」
晴久は次に周防衆に視線を転じた。
「周防衆は立原幸隆とする。
立原、旗頭を頼むぞ」
尼子家の重臣中の重臣だ。
その立原幸隆も深く頷いた。
「承知、励みます」
晴久はここでもまた周防衆に尋ねた。
「異存のある方は」
あっても言える雰囲気ではない。
言えば族滅の明日しかない。
全員が競う様に承諾した。
立原幸隆がそんな周防衆に正対した。
「不肖ながらこの立原幸隆が皆様を率いる事に相成った。
良しなに頼み入る」
これで事の半分は成った。
今は上洛の為の仮の旗頭だが、後はこれを既成事実化するだけ。
そうすれば安全に、出雲から南下して瀬戸内に出られる。
忖度し、これに面と向かって反対する者は出ないだろう。
誰もが自家の損得しか考えない。
平和に事が成る。
晴久は安芸衆に再び視線を転じた。
「村上吉充殿はどなたかな」
黒光りした顔が身動きした。
晴久に正対した。
「ここに」
「お主が因島の村上殿か」
因島村上水軍。
陶氏との厳島の戦いを奇縁に、
毛利氏に加担する事が多くなった水軍の当主だ。
「如何にも、某が当主を務めております」
「お主は安芸衆ではあるが、今回はそれとは別に上洛の水軍として、
途次の水軍との折衝を頼みたい。
出来るかな」
村上は晴久から視線を外さない。
「委細を任せて頂けるのですかな」
「ああ、そのつもりだ。
当家にも尼子水軍がおる。
それで海の事情は分っているつもりだ」
「承知仕りました」
晴久はようやく軍議を始めた。
「それでは目の前の城、それの攻め方について方々の意見を聞きたい。
遠慮せず、忌憚なく述べて頂きたい」
真っ先に幕府奉公衆の一人が口を開いた。
「お伺いしたい」
晴久はその者に顔を向けた。
「明智光秀殿だったな。
聞かせて頂こう」
「はい、某がお尋ねしたいのは、攻め落とすのに掛かる日数と糧秣です。
某はこれほどの兵を率いた経験がないので、分からないのです。
如何ほどの日数と糧秣が必要なのか、それを教えて頂きたいのです」
晴久は表情を緩めた。
面白い。
「それを聞いて如何される」
「この兵力なら墜とせるでしょう。
ですが、無駄は避けたいと思うのです」
「ほう、無駄」
「まず兵力、そして日数、最後に糧秣、この三つです。
限りがあるので、無駄にせずに上洛を果たしたい、そう思う次第です」
晴久は突っ込んだ。
「上洛を果たしたら如何される」
光秀が澄ました顔で言う。
「将軍宣下をお受けした後、正統な官軍として討伐される道も」
誤字脱字のご報告、ありがとうございます。
謝礼は出せませんが、今年も宜しくお願いします。
あっ、そうそう。
私の目標はノーベル文学賞ではありません。
小学六年生でも読み易い物語です。
ですから平易な漢字を心掛けています。
えっ、それでも小難しい漢字がある。
表現も分かり難い。
はい、そうです。
私が悪いのです。
ごめんなさい。




