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私はコレでやせました(300kg→3kg) ~悪役令嬢、育成計画~  作者: ラボアジA
4章 マッチポンプ編

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76話目 笛を吹いたら踊ってくれる

 再び雷ジジイに挨拶に行くと、呆然としていた。


「い、犬人の子供たちを、みんな静かにさせた……じゃと?」


 おいおい、まるで殺したみたいな表現はやめろ。人聞きが悪いだろ。


「バウティスタさん。一族の会議に、私も参加させて下さい」

「ぬ、ぬぅ。しかし……」

「『じぃじ、だいきらーい』」

「はうぅっ!?」


 おっと、クリティカルヒット。


「私とスケさんとのマジックで、犬人派の子供たちは実によく懐いてくれましたよ。――そうそう、これは異国の話ですがね。害虫退治に駆り出された笛吹きは、不思議な笛の音によって害虫を海へと誘導させ、残らず溺れさせたそうです。しかし町の人は、退治できたのをこれ幸いと、笛吹きにキチンと報酬を払わなかったとか」


 ジジイはゴクリとツバを飲み込んだ。


「ど、どうなったんじゃ?」

「笛吹きは、不思議な笛の音によって、町中の子供をおびき寄せましてね。そのまま去っていき、町から子供は消えました」

「お……脅しとるつもりか!?」

「滅相もない。なぜならバウティスタさんは、約束を守る御方。――ああ、次は人が消えるマジックを披露しましょうかね。お孫さんの誰かを使って」

「や、やめい! ――分かった。お主も会議に参加せい」

「ありがとうございます」


 やれやれ。儲けさせてやろうというのに、警戒心の強いジジイだね。




「ガイギャックスです。ガイとお呼び下さい」


 ロの字型に並んだテーブルの一角で、私は犬人派の面々を見回した。

 さっそく向かいのクマ耳女性が挙手をする。


「あなたが、『骨のお兄さん』ですか……?」

「はい」

「ウチの子が、スゴイスゴイって喜んでましたよ」

「ありがとうございます」


 子供たちが良く伝えてくれたのだろう。正直バウバウより好感触だ。


「スゴイといえば、犬人派の剣術もスゴイとお聞きしましたよ」

「! ええ、そうなんです!」


 気を良くしたのか、クマ女性は息を弾ませてお話ししてくれた。

 しかし、剣術を教える道場の話になると、途端に顔色が曇る。


「似たような道場が多くて、お客さんの入りはイマイチなんですよ」

「カーッ! ワシらの方が正統派なんじゃ! じゃが、竜人のヤツらのほうが人気でのお。犬人ですら、そっちに行く裏切り者が出る始末よ! まったく、嘆かわしい!」


 あー、ジジイ。分かったから黙れ。


 実はモーフィーに聞いて、あらましは知っていた。モンスターがいるので、武道の需要は高いが、道場も多い。

 そうなると当然、強い人が教えてくれる場所に人気は集中する。


 うーむ。武道大会での竜人の活躍を見ると、そりゃあ竜人の道場に集まるよな。


 だからこそ、この話を持ちかけるのだが。


「業態を変化させませんか?」

「どういう……事でしょう」


 犬人派の表情に困惑が見えるなか、キツネの男性が質問した。


「それは……剣術道場を廃業する、と?」

「ならん! ならんぞー!」


 おい、誰かジジイつまみ出せ。


 私は構わず話した。


「失礼、誤解させてしまいましたね。剣術道場もあり、肉体改造もあり、というふうに、業態を追加するのです」

「ふむ」

「今のままでは、現状の流れが続いてしまいます。なので、筋肉を鍛える、もしくは脂肪を減らしてヤセさせるといった、さらに前段階の分野……いわば、今まで誰も目を向けていない分野に参入するのはいかがでしょう」


 背景でジジイがわめいてるが無視。あ、ゼーゼー舌出してる。トシだからムリするな。


 犬派の会議では、多彩な意見が出た。ああ、ジジイは孫が呼んでるというのでいそいそと出て行った。良かった良かった、もう来なくていいぞ。

 なので、荒れることもなく、穏やかに議事は進行した。


「ガイさん」


 キツネの男性がふたたび質問してきた。


「柔道というものを教えることは出来ますか? ガイさんが直々に」

「申し訳ございません。私はスラヴェナ王女様のお付きゆえ、道場へ教える側としての参加はご遠慮願いたいです」

「それでは、鍛練場の犬人派が、ガイさんから学んだ柔道を教えることは出来ますか?」


 ――ああ、なるほど。始めに大きな要求をしてから小さな要求か。うまいな。


「ええ。一定の技量を修めた方であれば構いませんよ」

「分かりました。ならば犬人派の一同、業態変化を受け入れます。つきましては、ガイさんにその、ダイエットのノウハウを教えていただきたく……」

「はい。一般の方にもやりやすいよう、アレンジしたものをご用意いたします」


 ああ……、話が通じるっていいなあ。

 マルちゃんのせいで獣人イメージが下がってるとか言ってたジジイよ、私の中では断然お前だ、お前。早く引退しろ。

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