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異世界に行ったので手に職を持って生き延びます【書籍2巻発売・コミカライズ 決定】  作者: 白露 鶺鴒
第六章

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6-16.キノコの森、再び


 翌日、キノコの森の31階までさくさくとやってきた。

 前に来たときに、30階のボスを倒しているためショートカットであっさりと到着。


 前と違って、一人でも問題なく魔物に対処できるし、シマオウもいるので安心。

 モモは戦力にならない。いや、ちょっとだけ戦力になるかな。


 大きくなってきてはいるけど、まだまだ甘えただし、自分より強い敵と戦う根性は無さそう。


 ダンジョン内は亜空間であり、前回と同じ場所へ行けるわけではない。

 ただ、もし、モモのお母さんに会えるのなら……少し、考えてしまう。


「にゃ~」

「うん、行こうか」


 モモが楽しそうに前を歩いていく。

 31階だけど、前にモモと出会った森に雰囲気が似ている。


 そのことを覚えているのか、モモは楽しそうだ。


「ぐる~」

「ありがとう、シマオウ」


 シマオウが威嚇するように咆哮をすると、ざざっと音を立てて魔物が散っていった。

 

 危険が無くなったことを確認して、ゆっくりと素材を採取していく。


「う~ん。シトロンの木を探してくれる?」


 前回もそうだったけど、ここは人が少ない。

 ダンジョン素材はいくらでも採れるけど、活用できる人が少ないのが勿体ない。


 一人で採取できる量は限られている。ただ、手分けをするほど必要なわけでもない。

 パーティーを組んで、ここで採取しても儲からないのも事実。

 薬にだって使用期限があるから、大量に作る必要がないからね。


「にゃ~」

「うん、ありがとう、モモ」


 モモの案内で、時間もかからずに目的のシトロンの木の元へやってきた。

 豊作という訳ではないけれど、それなりの量の実がなっている。


 シトロンの実は柑橘系の実。皮がぶ厚めで、酸っぱく、渋かったりする。

 生ではちょっと食べるのは遠慮したいけどね。

 そのまま食べるのに向かないため、流通はしていない。


 だけど、これが栄養は豊富で、調合の追加素材としても優秀。さらに、スポドリなどに入れるのも美味しい。

 キノコの森では一部の階では年中無休で、いつでも採れる。

 

「スポドリは大量につくる必要があるし、蜂蜜でマーマレイド作ってもいい。薬にも追加しておくことで、効果を上げることができる。とにかく、大量に用意しておこう」


 現状、流行り病の情報はあまり入ってきていない。

 いや、一応、ソロル侯爵が広がりつつある病の症状を調べてくれることにはなっているのだけどね。


 一部で、下痢の症状も見られるということだから、スポドリなどの液体による栄養摂取する可能性があるんだよね。


「他にも、食用のキノコを採取する方法もあるけど……」


 キノコは、鑑定で確認して問題ないとわかっていても、戸惑う人もいるだろう。

 食用できるからといって、キノコは食料としては使えないかな。



 のんびりと採取をしながら、一人を満喫する。

 なんだかんだと、慌ただしい日々を過ごしていたから、たまにはこういう日があってもいいと思う。


「ぐるぅ~」

「なぁ~」


 実を採取していると二匹が一方向を見ながら唸り始めた。


「……モモ、おいで。シマオウ……乗せてくれる?」


 モモを抱き上げて、シマオウに跨る。


「距離とって……いや、次の階に行こう」

「がぅ」


 こちらに向かって来る気配は二つ。

 魔物ではなく人。冒険者でダンジョンをクリアするためなら、パーティー人数は多いはず。

 採取目的の可能性はなくはないけど……。


 わざわざ一直線にこちらに向かってて来ているのが怪し過ぎる。


「完全な気配遮断は出来ないんだよね」

「ぐる~」


 幸い、シマオウなら私を乗せても素早く移動ができる。

 目的もわからないので、距離を取って、様子を見よう。



 そのまま、鬼ごっこがはじまって、丸1日。

 相手は同じ階にきては、私に近寄ってくるため、目的が私を探していることはおそらく間違いない。


「理由はわからない。ただ、何となく私のこと狙ってるよね」


 シマオウで姿が見えないところまで移動しても追いかけてきている。

 何故か、私がいる階がわかってるみたいなんだよね。


 33階まで移動したけど、私が階を変えると向こうもついてきている。

 かといって、同じ階に留まっていると相手もこちらを探している。


 それでも、直感は発動しないし、危険を感じるようなこともないのだけど。



「ナーガ君に大丈夫っと言った手前、あんまり無茶するのもな」

「にゃ~」

「がぅ」

「うん、そうだね。モモとシマオウもいるしね」


 二匹が自分達もいるという主張をしたので、撫でておく。


 こちらから、わざわざ接触する価値はない。

 一定距離に近づいてきたら、逃げよう。


 と、思っていた。



「……何だろ?」


 シマオウとモモが警戒をしていないけど、強い気配を感じる。

 今まで、こちらを追ってきている気配とは違う。


 しかも、シマオウに乗って、距離を取ろうとしても、しっかり追ってきている。

 スピードが同じくらいで、気配を察知しにくい。


「シマオウ……あの高い木に登って、様子を見よう」

「ぐるぅ?」


 なんで? みたいに、首を傾げられた。

 いや、今迫ってるの、敵ではないってこと?


 シマオウが木の上に行くことを拒否している間にもどんどん距離が縮まり、迫ってくるのだけど……とりあえず、魔力を溜めておこう。


 

「まった! 逃げずに、話を聞いてくれ」

「ん? あれ、ライさん?」

「ああ……って、逃げるんじゃなくて、攻撃するつもりだったか!?」


 私の手に魔力が込められているのに気付いたらしい。

 さっと両手を後ろに隠して、魔力を拡散して、誤魔化す。


「あははっ、いや、モモとシマオウは気付いてたみたいなんですけど……流石に、実力が上の人と正面からやり合うのは厳しいので」

「お前を追ってる奴がいるのは気付いていたか」

「あ、はい……」


 話を聞くと、二人組で追ってきている冒険者とは別に、入口で待ち伏せしている人が二人いるらしい。

 しかも、さらに増える可能性があり得るという。


「ライさんの知ってる人です?」

「……多分、ハンバード領出身だな。元クランで見かけたことがある奴らだ。ちょっと心配になって、追いかけたんだが」

「ライさん、元クランの人達と連絡とり合ってるんです?」

「いや。全く……パーティーも含め、関係は断ったからな。あっちも俺には気付いてないくらいだから、薄い関係ではあるな」


 前に私をぼこったクラン。

 処分を受けた上に、私よりの冒険者も増えた。居づらくなり、そちらの関係者はマーレを去ったはずだった。


 しかし、ライさんとしては心配だったらしい。採取ついでに様子を見ようとして、私がダンジョン内にいることがわかったので、追いかけてきたらしい。


「はぁ……マーレを離れたんだから、関わらないでくれないですかね」

「ただ、まあ、割と有名になりつつあるからな。お前に敵対する奴は目立つんだよ」

「何がです?」

「裏組織や冒険者間で、クレイン・メディシーアに敵対することは割に合わないという認識が広まってる」

「はい?」


 何?

 その、割に合わないって。


「裏組織はお前に関する依頼は高額どころじゃないらしいぞ。誘拐なら、天文学的な金額吹っ掛けられる。殺しはアウト。依頼した奴が行方不明って噂だ。冒険者ギルドも慢性的な薬不足から、どの支部でも手出ししたくない。他の支部からは関わるなとお達しがでてるとさ」

「……有名な話です?」

「最近な。パメラさんの納骨でも、知らない奴でも好意的な連中が多かっただろ?」

「まあ、そうですね」


 つまり、その状況で敵対するなら、恨みとかある人達に限られるということなのかな。

 今、追ってきているのもその関係というなら、面倒だ。


「で、大丈夫なのか?」

「面倒ではあるんですけど……シマオウに乗って逃げる分には捕まりはしないんですけどね」

「俺の方でギルドには報告上げとく……まだ、こもるんだよな?」

「ありがとうございます。マンドラゴラを20個ほど採取したら帰ります」

「それ、1か月近く籠ることになるだろ」

「まさか。2,3日でいけますよ」

「運いいな……わかった。無理はするなよ」

「大丈夫です」


 魔物と戦っている間に距離を詰められるとかがあるならともかく、シマオウの咆哮で寄ってこないからね。

 追いかけっこをしていても、大丈夫という自信はある。


 まあ、ライさんの報告で、レオニスさんとナーガ君が怖いけどね。

 一人で大丈夫と言い切ったのにな。いや、危険はないけども。


 しかし、クリスティーナ・ハンバード関係な気がしない。

 なんか、厄介な貴族が裏にいそうなんだよね。



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― 新着の感想 ―
さくっと始末しとけばあと腐れなくていいのに
 例の妊活さんかな?
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