表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に行ったので手に職を持って生き延びます【書籍2巻発売・コミカライズ 決定】  作者: 白露 鶺鴒
第六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

227/234

6-15.四十九日を終えて(2)


 ソロル侯爵の出立を見送った後、もう一組。

 送り出さなくてはいけない人の元へ向かう。


「昨日はご挨拶が出来ず、申し訳ありませんでした、シンザ大司教様」

「いえ。わざわざご挨拶に来ていただくなど。ありがたいことです。クレイン嬢」

「帝国から流れてきた流行り病が世間を騒がしております。病には日々の予防が肝心ですので、心付けとしてお納めください」


 石鹸を大量に箱詰めしたものを3つほど渡す。


「これは?」

「こちらは香りづけした石鹸ですので、大司教様が普段使いにどうぞ。他の二つは通常のものです。信者の方や側使えの方がご利用ください。効果はたいして変わりませんが、匂いがある方が高級感あるだけなので」

「なるほど。有難く、いただいていきましょう」


 土産として、他の方たちにも香りづけ石鹸は一人一つ渡しているのだけどね。

 せっかくなので、シンザ大司教様には大量に渡しておく。少なくとも、今、メディシーアが手を組んでいる派閥ははっきりするだろう。


「よいのですか?」

「望まずとも影響力があることは事実です。はっきりと意思表示をしておいた方が巻き込まれないと思うので……曖昧な態度で両天秤にかけるのは、私には無理です」

「なるほど。では、一つだけ忠告を。あなたのお仲間の方々、外では髪色を隠すだけではなく瞳も隠した方がいいでしょう。どうやら、厄介な目の付けられ方をしていますよ」


 髪色……ルナさんとルストさんに黒髪を隠して、茶色に染めてもらっていたけど。

 それだけではダメらしい。瞳の色も隠すのか。


「そんなに気になるものですか?」

「特殊な能力が使える色ですからね。ある意味、貴方の色とは逆で、その能力を欲するのですよ。ファブロス枢機卿などは、ね」


 呪いの能力か。

 二人とも、すでにその手の能力は手放しているはずだけど。



「呪いの力を知っていると?」

「術者を囲っていなくてはこのような事態にならないのですから」


 なるほど。

 傍から見てわかるわけじゃない。警戒は必要か。


「ご助言、ありがとうございます」

「貴方に神のご加護があらんことを」


 シンザ大司教の言葉にゆっくりと頭を下げる。

 何も言わない方がいいだろう。


 あの神を称える国だよね。私は加護欲しくない。むしろ手放したなんて言えない。


 互いに、頭を下げて、別れた。

 関わりたくない。多分、あちらも積極的に関わることはもうないだろう。



 他の人達にも挨拶して、ようやく最後の一人がいる場所へと向かった。


 師匠のお墓の前で、祈りを捧げているのはツルギさん。

 その横には、ナーガ君もいた。


「すまん。もう全員を送り出したのか?」

「あとは、カイア様とネビアさんが入口で待機してるよ」


 ツルギさんが名残惜しそうに立ち上がり、こちらに振り返った。

 目元が少し赤くなっている。


 もしかしたら、泣いていたのかもしれない。


「お師匠さん、慕われていたな」

「……ああ」

「師匠のために集まった人達だったからね」


 一握りだけ、政治的な思惑だったり、利用するために来た人もいたけど。


 だけど、多くは師匠を悼み、私を見極めに来た人達だった。

 一言、二言だけ話した人もいれば、長々と師匠の思い出話を語ってくれた人もいた。


 師匠のために、住んでいる地域の調合素材を送っていた人達からは、今後も取引を持ち掛けられたり、新しい繋がりもできた。


「短すぎたよ……まだ、何も返せていないのに」

「……そうだな。俺の判断ミスでもあった。もっと、ゆっくりと過ごして欲しかった」


 ツルギさんの声は、苦し気だった。

 でも、多分、どうしようもなかった。


 それは、私が最後、師匠と話せたから思えるのかもしれない。


「……見守っててくれている」

「ナーガ君……うん、そうだね」


 三人で、もう一度手を合わせる。


「月に一度は顔を出したいところだが……」

「流石に無理じゃない? 即位式が来月にはあるんでしょ?」

「……スタンピードで俺らも出かける」


 ナーガ君とレウスとアルス君は、獣王国から依頼があり、そちらのスタンピードに駆り出されるのがほぼ確定した。ルストさんもついていくらしい。


 ティガさんもツルギさんに頼まれる仕事を引き受けることになり、ルナさんとリュンヌさんは留守番すると言ってるので任せる。クロウも留守番組となる。

 ナーガ君がテイムした魔物もいるので、多分、大丈夫だろう。


「ばらばらだな」

「……あんたが出ていったんだ。それに、帰ってくる場所は一緒だろう」

「そうだね。とりあえず、私は明日からキノコの森に行って、素材を大量に入手してくる」


 流行り病の件で、派遣されるまでの間に、出来る限り薬の用意と素材の用意が必要だからね。


「……聞いてない」

「一人でも大丈夫だよ? モモとシマオウ連れて行くし」


 モモの生まれ故郷な訳だし、連れて行く予定だ。

 一人で危ないというなら、ちゃんとペットを連れて行けばいいだろう。


「……俺らも行く。まだ、攻略していないしな」

「いや。私は、今後、攻略しないことにする。40階のボスは挑むかもしれないけど……B級以上の冒険者になる気はないから。実績作らない方がいいと思う」

「戦力として駆り出されないようにするなら、それもありだろうな」


 そもそも、マーレにいるのはB級からD級が多い。キノコの森ダンジョンを攻略していても、問題はないのだろうけど。


 あまり冒険者等級を上げ過ぎると、スタンピードの度に色々と派遣されることになりそうだからね。すでに、変に目を付けられているけれどね。

 キノコの森に入れれば十分ということで、功績は上げない。


「ということで、私は一人で大丈夫。ナーガ君は自分のことに集中してね」

「……」


 ナーガ君は納得していない顔をしているけれど。


「じゃあ、俺は行く。またな」

「……ああ」

「元気で。年明けには会えたら嬉しいです」

「まて! 年明けって、3か月以上先じゃないか! そんなに間を置く気はないからな」


 いや。絶対に忙しいから無理だろう。

 カイア様も今回は事情が重なったから参加しただけだろうしね。


「ふっ……」

「ナーガ! 笑い事じゃないからな」


 不満そうなツルギさんをカイア様に預けて、見送った。


 何だかんだと責任感がある人なので、仕事を放棄はできないだろうしね。

 ナーガ君だって、獣王国に行くとなると数か月帰ってこない可能性もあるのだから、構わないだろう。


「……本当に一人で行くのか?」

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」


 危険は察知できる。

 それに、しばらくは貴族たちの目もあるので、離れておきたいんだよね。


 一応、この地から去ったけど、マーレにいるみたいだしね。

 一週間くらいなら、キノコの森で過ごしていよう。




後書き失礼いたします。


コミカライズ、12月17日(水)より始まりました。

ヤングアニマルWebとマンガPark(白泉社公式アプリ)で読むことができます。

林ふみの先生が、面白くスピーディーに描いてくださっています。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
一週間。一人の護衛も無し。認識が甘過ぎるにゃぁw ペットと危険察知だけでは解決出来ないトラブルが、……一週間後に一票w! 一ヶ月以内だと多分賭けにならないからw!敢えて週以内を除外し、博打率を上げるw…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ