表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に行ったので手に職を持って生き延びます【書籍2巻発売・コミカライズ 決定】  作者: 白露 鶺鴒
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

167/227

4-41.買い物

「それで、何を買うんだ?」

「私はそのまま開拓地に行くから、食料を買い込もうかな」

「よし、付き合おう。その後は武器屋に行かないか? マーレだと刀が置いてなくてな」


 買い物はまずは食料。

 そのまま開発地に行くけれど、農業用の種とかはおそらくティガさんの方で用意している。


 食料も用意したかもしれないけど、いまいち、クロウとティガさんは食については任せるの危ない。


 多分、二人とも料理はあまりしなかったと思われる。


「武器の方か。刀……クラナッハさんに一から頼んでもいい気もするけど」

「いや。そもそも大剣や大盾の専門だろう。まあ、通常の剣は出来たみたいだが、刀鍛冶はまた別だろう。マーレではいなかったが、こっちならいるかもしれないだろ?」


 兄さん、刀使いだからね。

 剣と刀で違う扱いのため、刀の入手が必要なのはわかる。


 私も最近は短剣術のアビリティばかりが上がってきて、剣術が伸びなくなってきている。専門性が高い方がバフも高そうだけどね。

 

 ミスリルの短剣の方が使いやすいので、クラナッハさんのとこで購入した剣は出番少なかったりする。



「じゃあ、食料から」


 市場に行って物色し始める。

 マーレでも作っている麦と芋はこっちの方が高いか。

 他の野菜は品によるけどこちらのが少し安い。それよりも種類が多い方が嬉しい。


 マーレよりも種類が多いので、料理の幅が広がると兄さんは喜んでいる。

 兄さんがレシピを作ってくれると私も同じように作れるので助かる。


「おっ、スパイスも揃ってるな! 買っていこう!」

 

 兄さんはマーレでは取り扱っていないスパイスを見つけて、どんどん購入している。お値段は高いけど、気にしてない。


 今日だけでどれだけお金を使うつもりだろう……。意外と豪快にお金を使ってしまうタイプでもあるんだよね、兄さん。

 

 大工さんにも惜しみなくお金渡していた。急ぐので、判断は正しいと思うけど……。


 

「兄さん……その……だいぶ買い込んだね?」

「ラズに頼んで調理場借りて、カレー作るか」

「え? カレー作れるの?」

「クミンシード、ターメリック、カイエンペッパー、コリアンダー。これがあればカレーは作れる。他にもナツメグ、シナモン、ローレルに胡椒とか色々手に入ったからな」

「じゃあ、お米探そう! カレーライス食べたい」


 カレー粉がなくてもスパイスからカレーが作れるなら食べたい。


 だけど、一杯のお値段はどれだけするのか……お高いことだけはわかる。

 スパイスとか、結構なお値段だった。でも、薬の納品でお金の感覚はだいぶ狂ってる気もする。


 この前、依頼をした調合素材の値段を考えるとスパイスくらいの値段も気にならなくなりつつある。


 あとで作り方をメモしておこう。たまになら、豪華な食事もありだよね。


「まあ、初めて作るから失敗するかもしれんがな。こんなに揃ってると思わなかったからな」


 兄さんもほくほくと嬉しそうな顔をしてる。



「米もあったな」


 お米を探したところ、店があり、お米を売っている。ここは他の品はなく、お米のみのお店らしい。玄米……かな?

 白米ほどきれいに精米はされてない。そして、値段はそれなりにする。


 この世界、麦が主食で、米は一部の地域で少し作られているらしい。できれば定期的に欲しいと思い確認をすると、取り置き可能と教えてもらった。

 品が無くなると困るから大量買いは駄目と言われた。


「なあ、店主。精米する前の米はないかい?」

「あ? 脱穀しただけの米ってことか? 運ぶ前に、精米してその状態にしてるからな……倉庫を確認するからちょっと待ってくれ」


 店主に兄さんが声をかける。

 玄米でなく白米を求めるならともかく、なぜ精米前のお米?


「一袋だけだが、あったぞ。買ってくのか?」

「ああ。もらえるか?」

「わかった」


 兄さんは麻袋に入ったお米を4袋。そのうち、一つは脱穀だけ、精米していないお米になる。


「どうするの?」

「精米前なら、種もみとして発芽できるかもしれないだろう?」

「え? 稲作するの?」

「試す価値はあるだろう? どうせ、他の野菜とか麦も試すんだ。稲作もしてみればいい」

「たしかに?」


 まあ、色々と作ってみるのはありだよね。

 他にも貴重な苗とかについても、購入を考えたけど……ここは流石に領都というか、農業に関して苗とかが揃ってるわけではない。


 マーレも冒険者の町だから、畑が多いわけではないけどね。


「お湯につけるんだったと思うが、ルナにも確認してくれ。作業については先に畑やら田んぼの用意が必要になるからな」

「そうだね。大工さんの指示もあるだろうから、預かっておくだけにしとく。そういえばルナさん達どうする?」

「ルナとリュンヌは俺が連れて行こう。ティガは責任者だから、君の方だ。ルストもおそらくそっちだろうな。クロウは本人に任せる」

「本人、肉体労働嫌がりそうだから……兄さん側かな」

「さてな。女嫌いだしな。どうするか、俺も読めない」


 クロウはレウスがいれば、レウスの方に行くと思うんだけどね。

 今回は残ってくれた。いや、多分、ダンジョンは面倒だったんだろうと思うけど。


 

「とりあえず、食料は買い込んだし、武器を見に行く?」

「ああ、行くか。出来れば数本見繕いたい」

「数本?」


 そんなに武器を持っていても使えないと思うのだけど?


「多対1の時に手放すと、いきなりステータスが落ちるでは困るからな。少なくとも、短刀は肌身離さず持つようにしようと思ってな」


 兄さんの場合、刀でないとユニークスキルがのらないので、刀が弾かれでもして、手元にないといきなり弱くなるという。


「それ以外に今のよりも長さを抑えて室内や狭いところでも使える物が欲しい。あと、折れたときの替えに、同じような太刀を一本」



 どうやら、レオニスさんと二人で帝国に行ったとき、刀一本で苦労したという。


 兄さんが苦労って、あまり想像が出来ないけど……レオニスさんもいるのに、危険なことになったのだろうか?

 わからないな。


「防具はいいの?」

「重いと動きを阻害するからな……親父譲りの防具が良いものだから、十分だろう」

「まあ、そうだけどね」


 現役装備ではなく多少古いらしいけどね。十分、現役で使えている。兄さんは素早さを殺すような戦いはしないだろうな。

 それなら今の装備で十分というのもわかる。

 

 武器も刀のみということで、店も限られる。

 兄さんが事前に調べていた店に行くと、確かに刀が所狭しと置かれている。


「……らっしゃい」

「ああ、邪魔するぜ? なあ、手に持って馴染むか確認してもいいかい?」

「刃の部分に触るんじゃねーぞ」

「ああ、わかっている」


 兄さんが見ているのは主に太刀。使っている武器と似たような長さのものを手に持ってみているが、どうもしっくりこないらしい。


「冒険者なら、こっちも悪くないぞ? ダンジョン迷路など狭い場所で使いやすい」


 太刀よりも反りが無く、短め。私も持ってみるが、振りやすい。打刀、脇差と商品名が書かれている。

 私はこっちの方が使いやすそうかな。でも、今の武器に不満はないので購入はしないけど。


「そうだな……室内用と考えると必要か。今のは、ペットに乗って振り回すのにちょうどいいんだがな」

「今使ってるのはそいつか、見せてみろ」


 店主に兄さんが普段使っている炎の太刀を渡すと、それをじっくりと眺めている。

 

「悪くねぇが……馬に乗って振り回してるのか?」

「いや、虎だな。もちろん、普通に振るうこともあるが」


 シマオウに乗ったまま、刀を振り回して戦闘したの? いや、レオニスさんと一緒にダンジョン行ったときだよね?

 いや、そういえば、ユニコキュプリーノス狩るときにも乗ってたな。



「ちょっと待ってろ。馬に乗って振り回すんなら、いいのがある」


 店主が奥へ行ってしまったが、馬じゃなくてシマオウだから、だいぶ高さが違うと思う。

 さらに言うなら、この店に置いてある刀は長くない物が多いと思う。


「脇差と短刀、打刀も買っておくか」

「兄さん……」

「君と違って、装備の有無が生死に直結するからな。短刀は常に装備する。他は室内で振れるのは大きいだろう?」

「いや、室内に武器の持ち込みは許されないでしょ」

「まあ、それはそれだな。短刀は隠し持つから平気だ」


 うん。確かに、常に装備していないといけないのはわかるのだけど……でも、単純に刀が好きなだけな気がする。

 さっきから、この刃文がとか、切っ先が、反りがとか……すごくマニアックで、私はよくわからない。


 だけど、その一言一言に店主が頷いているので、多分、店主に気に入られたんだよね。


 わざわざ奥に他の刀を取りに行くくらいだし。


「こいつはどうだ? 俺の師匠が作った太刀なんだが」

「おおっ……これは、惚れ惚れするな」

「そうだろう。俺もこれに惚れて弟子入りしたんだがな……使われないままってのも悲しいだろう? 持ってくか?」

「手に馴染む……ああ。だが、流石に予算に見合わなそうだな。分割払いできるかい?」

「ああ。それと、そっちの太刀のように付与で加工すると刃紋が台無しになるぞ」

「すみません……」


 未熟だったのでとか、言い訳はできない。刀って美術品なんですね。申し訳ありませんでした。

 棟から鎬までの部分に付与して、波紋に触らないように心がけます。


「なんだ、嬢ちゃんがやったのか?」

「すみませんでした」

「じゃあ、やってみろ。こいつは弟子の品だ。たいした価値はない」


 え? この場でやるの?

 いや、店の裏の作業場に通されたけどね。


 兄さんと店主がこだわりの強い人で、付与を何回か試した。

 いや、まあ……そのおかげでだいぶ安くしてもらったけどね、兄さんの購入品。


「また、キュアノエイデスに来たら顔を出してくれ」

「いや、来ないですよ。そんなに頻繁に」

「そうか。じゃあ、こっちから行く」

「え?」

「腕のいい付与師は少ないからな。よろしくな」


 いや、まって。名乗ってないけど、私は付与師じゃないんだけど?

 兄さんは嬉しそうにまた来るっていってるけどね。マーレか開拓地のことも話してる。来てもらっても私がいないとかあり得そうなのに、いいのだろうか。

 

 兄さんの武器が増えたのはいいことだけど……そういえば、ナーガ君達、予備の武器とか無しで出掛けたけど大丈夫かな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ずいぶん前に人前で付与はするなとか言われてなかったっけ?
わ…わたし腐女子(付与師)じゃありませn ですねわかります。
「出来る」んだもの、技術屋はそういうもん
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ