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異世界に行ったので手に職を持って生き延びます【書籍2巻発売・コミカライズ 決定】  作者: 白露 鶺鴒
第三章

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3-38.スタンピードの戦果


 成果として、ヒュドールオピスを523体を倒すという快挙だった。

 今回は多めに20体ということだったけど、あり得ないくらいの数になった。


 代償として、ナーガ君がボロボロになってしまった。


 ボロボロのナーガ君を治療の合間に、気絶させられていたレウスも治療をする。

 回復したレウスはナーガ君の姿に驚きつつ、手伝ってくれた。打撲が全身、一部骨折……ただ、切り傷と火傷は肩だけなのは手加減した結果だろう。

 それに、怪我よりも問題はMPとSPが無い状態でも使い続けた方がまずい気がする。ポーションを飲ませたが、どうも回復をしていない。

 SPポーションとMPポーションを2本ずつ飲ませた後に、状態異常回復〈リフレッシュ〉を唱えてからは、わずかではあるけど自力で回復し始めたので経過観察。


「レウス、ごめんね。大丈夫?」


 レウスの方も兄さんに気絶させられていた。一応、気絶中に手の怪我とかは治しておいたけど、違和感などないか、治療後の確認をする。


「俺は平気。クレインは、やり過ぎとは思わないんだ?」

「……そう、だね。兄さんもだいぶ攻撃くらって止めようとしてたんだよ……最後の方は、兄さんが圧倒してたけど。むしろ、私が押し付けたようなものだし…………」


 防御力が他を圧倒するナーガ君に攻撃が入るのは兄さんか、スペルビア様。

 スペルビア様に任せることは出来ず、兄さんに任せるしかなかった。私では、無理だった。弱っていれば足止めすることも出来たけど……でも、それ以上に精神的に拒否した。


 兄さんに任せ……甘えてしまった。結果がこの状態のナーガ君だ。


「……許せないとしたら、兄さんにじゃなく……私自身とナーガ君の中にいる奴かな」

「どういうこと?」

「だって、ナーガ君を操った奴、なんとなくだけど……ナーガ君のユニークスキル関係考えると、竜なのかな。瞳がレウスに近い形に変化してたし、なんかヒュドールオピスと会話できてたっぽいし……」

「……俺も竜人だし? それで影響を受けたの?」

「多分。竜の因子とか、そんな感じなのかな。レウスもごめんね」


 完全に巻き込まれたレウスには同情するけど、流してくれている。


「うん、まあ、ナーガはクレインを傷つけるのは絶対いやだろうし、襲ってしまったことに悲しんでるとは思うけどさ。いきなり竜とか言われてもよくわからないんだけど」

「私もなんで私を狙うかはわかんないよ。でも、狙ってたのは私個人というより、なんかありそうだったけどね。放っておくことは良くなさそうだから、これから調べるよ」


 何かありそうだけど……何かまではわからない。

 でも、放置するべきじゃない気がする。時間ができたら、きちんと調べよう。


「ナーガに何があったかわからないけど、俺はクレインを殺せって命じられたよ。多分、ナーガの中にいる何かが、クレインを殺そうとしてたし、クレインが直接戦うのは良くなかったと思うよ? ナーガ自身もショック受けるじゃん。グラノスさんに任せたのは正解だよ」

「レウス……何があったか、教えて?」


 レウスの話だと、最初の……ヒュドールオピスの咆哮の時、レウスは耳鳴りがしたらしい。

 ただ、レウスも川のユニコキュプリーノスの様子にも変化はなかった。レウスも戦いが始まったんだなと思っただけで、川を警戒しつつ、アルス君と話をしていたらしい。


 その後、急変したのは二度目の咆哮……思わず、立っていられない程の耳鳴りでしゃがみ込み……顔を上げると川で何匹ものヒュドールオピス……進化が起きていたらしい。


 アルス君が戦おうとするが、レウスは頭をガンガンと打ち付けられるような痛みと、私を……「白の眷属」と言い、殺せと命じる声がずっと響いていたらしい。ナーガ君の声で……。


「レウスは、命令を拒めた?」

「拒んでるところにグラノスさんがきて、さくっと俺のこと気絶させたからね。あのままだと操られたかもね、結構辛かったし」

「ごめんね?」

「べつに。最初からなんか起こるって思ってたよ。俺は大丈夫だよ、あいつはナーガじゃない。ナーガは友達だし、仲間なのは変わらない。ただ、ティガがいると面倒だったと思うけど」

「面倒?」


 レウスとしては、ナーガ君に操られそうになったとは考えていないらしい。

 ナーガ君はナーガ君、竜は竜……そう、考えてくれるみたいだ。二人が仲悪くならないなら、よかった。でも、ティガさんか……。


「ティガは、このパーティーの発言の主導権を奪いたいはずだから。この失態に対して、口出してたよ」

「レウスはどう思うの?」

「俺? う~ん。ティガが考えてることって、無理だと思ってるかな。だって、中心はクレインなのは確定してるから。今更、クレインがグラノスさんよりティガを信頼することもないし、クロウにも負けてるじゃん? しかも、その理由もわかってないし」


 うん? 兄さんへの信頼は置いておくにしても、クロウに負けてるってなんだ?


「親密度? 信頼度? クレインって顔にでるじゃん?」

「……そんなに出てる?」

「ティガを一番警戒してるのはわかる」

「うん……」


 警戒……。

 そんなに顔に出てるのか? いや、邪魔に思っているわけではないのだけど、扱いに困っていることは事実。むしろ、無理って言っちゃったしね。


「あとさ、ティガは誤解してるんだよね。クレイン、恋愛する気が一切ないのに気付いてない」

「レウス……意外とよく見てるね?」

「見てるよ。クロウもさ、もう恋愛したくない……というか、女嫌いじゃん? だから、二人は距離近そうに見えるだけで一番遠いでしょ。でも、ティガはさ……男女って、恋愛しかないと思ってる」


 う~ん。

 にんまりと笑うレウスに、「当たってるでしょ?」と言われると言葉に詰まる。


「レウスは何でそう思う?」

「クロウは絶対、前世で女性トラブルでトラウマ持ちだと思うよ? 女の子好きって言いながら、たまに冷たい目でみてる。基本的に女性好きだけど、女性信用してない」

「あ、うん。クロウ、女嫌いだからね」

「ティガも同じ。クロウは女性だけど、ティガは男女関係なく信用してない」

「……なんでわかったの?」

「俺の両親もあんな感じで穏やかに取り繕ってたから。子供の前でじゃなくて、ずっと……でもさ、わかるもんだった。よく見てればね、愛されてないって……だからかな。俺も素直に甘える言葉出せずに取り繕ってたけどね」


 明るく振舞うレウスもまた、重い部分は持っていた。いや、異邦人は持ってない方がおかしいのかもしれないけど。

 でも、人を信じようと出来るのは若いからなのかな。


「……みんな、トラウマ持ちだからね。信頼を築く方が難しい。ちゃんとお互いに情報交換していないから……疑心暗鬼になるよね」

「やりたいことをやる。合わないなら、出ていく。それでいんじゃない? 俺は、アルスとナーガとバカやるの楽しいから。クレインはさ、気にしすぎ。みんな分かってきてるよ、クレインが巻き込まれ体質だって」

「……否定できない。でも、それに巻き込まないようにと考えてるんだけど」

「逆に巻き込めば? わかってても側にいるのは、巻き込まれる覚悟があるんだよ。無理なら離れろって言いなよ」

 

 自分のせいという時もあるけど……。

 結構、関係ないところで巻き込まれている自覚はあったけど……巻き込んで、何かあったらその方が怖いとも思ってしまう。

 だから、中途半端な距離を取ろうとする。きちんと説明もしないで……。


「ティガとクロウには世話になったと思ってるよ……でもさ、俺らの都合にクレイン達が合わせる必要ある? 俺とクロウに遠慮して、ティガを置いているならやめたほうがいいよ」

「レウスはいい子だね、ありがとう……。まあ、悩んでるよ。ティガさんに無理! って、伝えたんだけどさ。でも、結構ティガさんの反応、仕方ないかなって思う自分もいるんだよね」

「仕方ないって?」

「大人の方が、自分で変われないんだよ。だから、現状を受け入れられない。そもそも、人を信じられない。これって、すぐにどうにかできないでしょ? そして、ずっと指示をする側の立場だった人が、指示を受ける側になり……説明不足で、本当にその行動が正しいのかもわからない。……不安だろうし、少しでも自分の立場を安定させたいって思う」


 気が付いたら、借金背負わされて、奴隷になって……。

 私は一人でどうすればいいかわからない状態で……ナーガ君と兄さんに出会って……。

 厳しい現状を受け入れる余裕ができてきた……一人では耐えきれなかっただろうなと今更だけど思う。



「私はね、兄さんとナーガ君が支えてくれた。でも、ティガさん、一人なんだよ。クロウもレウスも仕方ないって受け入れちゃったから。自分ひとりで、理解してもらえないから……焦って、さらにひどい状態になって、混乱してるんじゃないかな。レウス……ティガさん、前は頼りになったんでしょ?」

「うん……まあ、確かに? 帝国から逃れるときは、指示は的確だったし、間違ったことしたりしてないと思ってたから……慕ってたんだけどね。クレイン達と会ってからおかしくなって、『あ、俺のこと信用してない』って気付いた」

「私から見ると子供組に対しては気にかけて、心配してるように見えるよ」


 ナーガ君、アルス君、レウスに対しては、とてもやさしい瞳で見ている。決して、情が無い人ではない。


 レウスとしては、どうして頑なに私に突っかかるかがわからないという。

 でも……ティガさんの年齢だと、見た目10代の女の子……高校生くらいに、上から指示されるのを受け入れるのが難しいのではないかとも思うんだよね。理論的に話せず、直感頼りで危険を嗅ぎ取ったりとか、理屈じゃない行動するから、さらに嫌なのではないかな。

 だから、私が別になれば上手くいくような気もしていて……。


「私は追い出すわけじゃなくて……適切な距離を取って、互いを尊重できるようにしたい。……その、追い出したら……ティガさんは厳しい」


 元から、奴隷にしないなら命の保証しないって言われてる。

 奴隷にしたけど……仲間から外すにあたって、借金返して……離れたら…………。


「……そっか」


 はっきりと言葉にはしない。レウスがどう受け取ったかわからない。

 でも、言葉にはしたくなかった。


「まあ、クレインも変わらないといけないとこ多いしね?」

「え?」

「一人で抱えて、社畜みたいに働かないで、みんなに協力仰いで指示だすとか、やりたいこと相談して案を募るとか? 大人でも変わらないといけないなら、クレインもなんじゃない?」

「そうだね。頑張らないとね……」


 説明不足でも信頼してくれる兄さんとナーガ君に頼り過ぎていた。仲間が増えたなら、もっと、言葉を尽くして、説明をして……自分一人でやらずに、手伝ってもらえばよかった。 


 各自が何を考えるのか、何をしたいのか。

 今後、どのように動くのか……ばらばらに動くにしても、一定の方向性をもつ必要がある。



「あ、俺は基本アルスと一緒にしといて。クロウとティガと一緒にされると冒険行けなさそうだから」

「……ちゃんとアルス君の許可取ってね?」

「取ってるよ。あとさ、俺も魔法剣が欲しい」

「レウス……その心は?」

「かっこいいじゃん。なんかエフェクト出てるみたいで!」


 基本的には、〈付与〉出来ることは隠しているけど……ティガさんの盾も土魔法を付けたし、レウスの双剣にも魔石での付与くらいなら付けてもいいんだけど。

 ただ、レウスは……INTが低いから、弱点属性以外だと、攻撃力が上昇することは無さそう。


「……そのうちでいいなら」

「いいの?」

「町に帰って、時間に余裕があるときでいいなら。……ただし、お金取るよ?」

「もちろん! あ、アルスのもね?」

「ちゃんと、彼自身がお願いしてきたらね」


 う~ん。とりあえず、レウスは風魔法でも付けようかな……レウスの〈跳躍〉のアビリティと相性良さそう。アルス君は……レウス以上に魔法適性が低いと思われるから……どうしよう?


 獣人系は魔法適性が低いというのはマリィさんからも少し聞いた。……ティガさんほど特徴がある訳ではないけど、アルス君も獣人の混血だ。魔法が使えない可能性とか……槍に魔力を込めるのは出来ていたけど、魔法は全然覚えてないらしい。


「レウスは風。アルス君は……水、かな」

「いいんじゃない?」


 頼んできたら……う~ん。彼から言い出せるか、どうか……避けられてるわけじゃないけど、会話が少ないんだよね。レウスみたいに向こうから来てくれるわけじゃない。


 ナーガ君の呼吸が穏やかになったのを確認して、テントから出ると入口にシュトルツ様が待機していた。


「もう、治ったのか? 流石だな」

「シュトルツ様……ご迷惑をお掛けいたしました」

「いや。問題はない。君たちも良くやってくれた……彼にはつらい思いをさせたが……ん? それは?」

「ナーガ君はテイマーなので。気にしないでください」

「そ、そうか……その蛇」

「気にしないでください」


 テントの中を覗いたシュトルツ様の目に入った、一匹の蛇。黒銀に輝くその蛇はナーガ君から離れようとしない。閉じ込めていた土壁からナーガ君を救出した際に発見し、そのままずっと寄り添っている。

 シマオウは威嚇したりもしていたけど、この蛇は全く気にしてないし……面倒ごとそうなので放っておくことにした。


 テントの幕を閉めて、シュトルツ様をぐいぐいと押し出して、シマオウを呼ぶ。


「ナーガ君寝てるからついていてくれる? 何かあったら、呼んでね」

「ぐるる~」

「俺も見とくから」


 レウスとシマオウにナーガ君を任せて、シュトルツ様と向き合う。


「それで、私に何か御用でしょうか?」

「ああ。討伐した魔物素材の分配について、話をしておこうと思ってな」


 素材か。

 必要とされる部分も多い。しかも、長持ちするから欲しいところではあるけど……倒した数はだいたい6:4くらいで、シュトルツ様達のが多い。ただ、十分すぎる数というか……多すぎる。


「倒した人の物で良いのでは? そちらがヒュドールオピスの亡骸を全て回収する必要があります?」

「いや。そう、だな……だが、素材をどのようにする予定か、聞いてもいいだろうか?」

「私達が倒した分はラズ様にそのまま渡します。ユニコキュプリーノスは食材にしたので、こちらでもらってますが……国王派への牽制もかねて、王弟殿下が持っていた方がいいとも思うので……。あとは、もらえるなら調合素材として保管します。それから、ヒュドールオピス・ケラス……あの希少種の肝の一部と、歯を数本、通常の鱗を3枚は解毒治療のために提供をお願いします」

「承知した」


 問題は……解体処理をするか、速やかに持ち帰るか……。

 クヴェレ侯爵家にそのまま持っていくわけにはいかないから、出来る限り処理して、あとは持って帰ってもらうしかないかな。


 出来れば、毒の部分も含めて素材とかに加工できるといいんだけどな。ネビアさんが言っていたように、毒薬として流行るのは止めて欲しい。今回沢山手に入った分、加工するとか……悪質な毒薬作られることがあると嫌だからね。

 


「それと、解毒薬作成のための素材は、屋敷に行かないともらえませんか?」

「いや、ちょっと待ってくれ。兄君に確認してこよう」


 可能であれば、屋敷に行く前に作りたい……気がする。

 まあ、今、持っていないなら諦めるけど。


「やあ。素材が欲しいって?」

「出来れば、お願いしたいなと……もう戦闘はないようですし、気を失ってる者もいるので明日まではここに待機するのであれば、先に準備をしておこうと思いまして」

「うん。いいよ~。じゃあ、これが『安らぎの花蜜』10個だよ。代わりに、治療はよろしくね」

「はい。必ず……」


 素材はゲット。

 あとは調合をするだけだ……まずは、ヒュドールオピスの処理が先かな。



「クレイン、ちょっといいか?」

「あ、兄さん、どうしたの?」

「ああ。明日、クヴェレ侯爵家の別邸に行く。俺と君だけでな」

「……その心は?」

「この依頼は冒険者への依頼じゃない。冒険者であるレウスとアルスは巻き込むわけにはいかない。ついでに、ナーガも無理させたから休ませる」

「ナーガ君、怒るんじゃない?」


 除け者にしていいのか?

 そう思うけど、確かにぞろぞろと行って、不敬を咎められたらと思うとね……二人でというのも有りかもしれない。


「治療したことを知っている奴は少ない方がいい。ついでに、異邦人もいるみたいだからな。ナーガには会わせたくない」

「わかった。私も、薬の材料だけ先に貰った。先に作っておいた方がいい気がして」

「そうか、そっちは任せる。じゃあ、レウスとアルスには話しておく」



 二人に、貴族の家に滞在することの危険性も含めて説明する。


「貴族への無礼があるとまずいからな。君たちはマーレに帰って、大人しくな」

「え~、一緒に連れて行ってよ」

「今回は解毒治療をするだけだ。しかも、貴族のどろどろした内情が付いてくる。正直、面倒事なんでな。関係者は少ない方がいい。ついでに、ナーガも心配だしな。休ませてやってくれ」

「自分でぼこぼこにしたんじゃん」


 兄さんは苦笑しているが、レウスの頭をぽんぽんと叩いて誤魔化してる。

 まあ、レウスも納得はしないよね。でも、連れて行っても暇なだけで、いいことも無い。


「レウス。先帰って、ダンジョン探索に行ったらどう? レベルも上がったから、逆に楽勝で、楽しくないかもしれないけど」

「いいの?」

「今回のクエスト成功で、昇級する可能性もあるけど、ダンジョンクリアしておくのもいいと思う。正直、私はミニエラ鉱山ダンジョンは、もういいかなって思ってる」

「ん~、じゃあ、そうしよっかな」


 私と行動すると、もう鉱山ダンジョンへ行かない可能性があると伝えたら、少し考えが変わったらしい。レベルが60を超えているので、問題なくクリアできるはず。


「アルス君はどうしたい?」

「僕は……その、今回ので考えて……武器、槍にしようかなと。どう、かな?」

「うん。いいと思うよ。槍の扱いはうまいと思うし、中衛からの重い一撃はバランスがいいんじゃないかな」

「えっと……その、頑張るから……これからも」

「そうそう。あ、装備代ってパーティーの費用から出していいの?」

「レウス、常識の範囲内でね。あとで、認められない場合には請求するから。ナーガ君が良いって言ったらね? 買い過ぎないようにね」


 アルス君、この前、剣を購入したばかりだけど、しっくり来なかったのか……。まあ、ヒュドールオピスとの戦いで槍を振り回していたが、いい攻撃が入っていた。槍の方が相性は良いのだろう。

 何か言いたそうにしていたけど、レウスが遮ってしまったあとは、何も口に出さなかった。


「じゃあ、悪いがナーガのこと頼むぞ」

「まっかせて! あ、ティガ達が嫌がったら、俺ら3人で行っていいんだよね?」

「いいよ。レベルが高いから、問題ない。ただし、足元とかは注意ね。断崖絶壁落ちるとか、罠にかかる方が危険だから。ちゃんと傷薬やポーション以外にも状態異常に効く薬は持っていくようにね」

「は~い」


 とりあえず、納得してくれたようだ。

 あとは、ナーガ君が起きたら伝えればいいかな。多分、大丈夫だろう。


 いや、ちょっと心配だから、私が聞いているミニエラ鉱山ダンジョンのボスとか、ダンジョン内の情報とかを紙にまとめて、ナーガ君に渡しておこう。


 何だかんだとあったけど、これでスタンピードも終わった。

 次の用事もさっさと済ませて、マーレスタットに帰ろう。レベルが上がった分、やれることも増えたから調合とか錬金をやるのも楽しみだ。


 やるぞと気合を入れて、調合の準備をする。

 一つ一つ、やれることからやっていかないとだよね。


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― 新着の感想 ―
本作のファンで、書籍化あれば購入したいと思っています。 ただ、三点リーダー、ダッシュが会話文はともかく、地の文に多すぎるのが懸念点です。入賞とか目指すのであれば、たしかそれらは減点対象だったはずですよ…
3章完結お疲れ様でした。外伝と4章も楽しみにしています! ナーガ君視点気になっていたので嬉しいです。
今回のお話もとても面白かったです! 怒涛の展開が続いていましたが、とりあえず討伐に関しては丸く収まりそうでほっとしました。 作者様もゆっくり無理せず休めるよう願っております!
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