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寝すぎ29 大型武器商店と地下フロア。――セレブ2人? と小市民1。

「はぇ〜! これはまた、マジですっげえ品揃えだなぁ〜! 思ったよりずっと人も多いし……!」


 公園での武器をめぐる一悶着を終え、姉妹とともにその郊外の大型店の中に入ったネルトは、その圧巻の光景に感嘆の息を吐いた。


 広々とした店内の見渡すかぎりに剣や槍、斧、弓、鞭、その他マイナーな武器も含めた多種多様かつ大量の武器類が棚に陳列され、あるいは壁際に掛けられている。


 ネルトの言うとおり、そんな武器類をたくさんの人たちが眺め、あるいは吟味していた。


 冒険者風の格好だけではなく、護身あるいは防犯用の武器を求めてだろう、中には一般人らしき格好もちらほらと。


 〈ウェポンズオーソリティ〉。この〈果ての先〉の時代においては、ネルトが寝る前のかつての雑多な個人経営スタイルの武器防具の商店は一部の老舗を残して軒並み廃業、統合され、この武具屋業界随一と言える大型チェーンがいまや市場を席巻していた。


「さ。オジサマ。どうする? まずは、いろいろ見てまわる? パパとの決闘でも使ってたし、あたしたちと同じ剣から見てみる? それとも、オジサマには何か他に候補ってあったりするのかしら?」


「ああ。実は――」


「――へえ。なるほどね。確かにおもしろいかも。でも、そこまで決めてるんなら……うん。()()()わざわざ見なくてもいいかもしれないわね。スピー。行くわよ。こっち」


「うん。パフねえ」


「え? 1階はわざわざ見なくてもいいって……? お、おい! パフ! スピー! どこに行くんだよ!」


 すたすたと歩く姉パフィールを先頭に3人がたどり着いたのは、マンションにもあった転移装置室。しかし、ここに入ったとしても鎧等を陳列する2階の防具売り場にしか行けないはずだが――


『登録済みSーVIP会員の生体魔力認証を確認。地下のVIPフロアへの転移が解放されました』


「えっ……!?」


 ――部屋に入った直後。装置の光が青からゴージャスな金色へと変わり、ネルトの驚きとともにそんなメッセージが響き渡る。


「じゃあ地下3階、その他の武器のフロアへお願い」


『了解しました。VIP地下3階、その他の武器のフロアへ転移します』


 パフィールのそんな慣れた様子のやりとりのあと、ネルトたち3人を転移の光が包みこむ。


「お、おおおお……!?」


 転移し部屋を出た先は、大衆然としていた、いままでの様子とは一変していた。


 視線の先には、装飾を施された重厚な木の扉。感嘆とも驚きともつかぬ声を上げるネルトをよそに、その前に立つ燕尾服を着た執事風の初老のロマンスグレーの男性が背筋をビッと伸ばし、恭しく頭を下げる。


「本日はようこそ、おいでくださいました。当店SーVIP会員パフィール・ピースフルさま。並びにスピーリア・ピースフルさま。お連れさまもどうぞこちらへ」


「ええ。世話になるわね」


 そうして、またも慣れた様子で恭しく頭を下げた初老の執事が開けた扉の先へと、耳にかかった髪などさらりとかき上げながらパフィールは悠々とセレブ然として入っていく。


「ん。よろしく」


 妹のスピーリアは慣れた様子? ……いつもどおりのマイペースで。


「ど、ども〜……!」


 そして、ただひとり慣れていない小市民のお連れさまネルトは、へこへこと愛想笑いしながらおっかなびっくり重厚な扉の開け放たれた先へと進んだのだった。

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