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ローロイズへ

視点がかわります。

 北の大地からの船旅も一時は深海海溝にまで足を伸ばすはめになり、どうなる事かと思われたが、無事に海上へ戻って来れたので何よりである。


 北の大地で唯一凍らない港『ロフスクハーバー』では西岸部諸国を転々とクルージングする予定だと語っていたが、語っていたクボヤマ本人が聖王都ビクトリアに急ぎの用事が出来たとの事で、予定の半分以上をすっ飛ばして釣王の船にてローロイズの港町へたどり着く。


 船旅は、俺に掛け替えの無い物をまた教えてくれた様な気がする。終ってみれば、英雄としてやるべき事の全容が窺えた旅でもあったのかもしれない。


 と、言うか。

 あの時雪山での出会い、アレも俺の定めだったと思う。


 出会ってなければ死に戻りし、クボヤマは雪山グラソン族の集落には来なかっただろう、ただただ押し寄せるガーゴイルと蛮族とその親玉である悪女ヴィリネスに驕られていただけだったと思う。


 俺はプレイヤーなので死に戻りで蘇るが、一人でこの軍勢相手にするのは骨が折れるどころか、諦めてしまうだろうな。

 トラウマを心に刻み一生VRギアを被る事が無くなるかもしれない出来事だったと思う。


 リアルスキンモードとはそれだけの世界を俺達に提供してくれているんだ。

 ここへ着て、運命と言う物を再実感した。


 方舟の件もそうだ。

 何かに導かれる様に俺達は世界を回っている気がした。


 本当にそれで良いのか?

 英雄が敷かれたレールの上をただ歩く?


 答えは否だ。

 レールの無い危険な道でも逃げない引かない退かない。


 初期の孤高を突っ走ってた俺に比べたら、今の俺は本当に別人に思えて来るよね。ゲームの世界でも心と言う物は確と胸に宿り受け継がれて行く物なのだ。





 決めた。

 俺は魔大陸へ向かおう。


 邪神の統べる大陸にもっとも近いとされる大陸。いや、神時代は魔大陸は人に味方する平和を望む魔族。共に立ち向かった魔族の大陸と呼ばれている。


 だが、紀元前。竜紀時代。

 邪神に統一され、圧政を強いられていた大陸とも言える。


 邪の芽はどこにでもある。

 俺の血がそこへ向かえと告げている。


 今現在、混沌とした多種族大陸となっているが故に、邪神の影響を受け易い大陸の防波堤になろう。

 かつて英雄アランが北からの進行を阻止した様に。














◇◇◇◇◇







 ローロイズの港町。大国の域へは踏み入れないまでも、海に面したお国柄貿易が盛んに行われているので様々な物資が流入し賑わいを見せている。

 洗練された街並というよりは、魔大陸から来た行商人や観光客がわんさか道中を賑わせており、活気づいた良き未来を想像させる。


 それも、最近ローロイズ王室では王位継承第7位のエレシアナ・ケイト・アルバルトが王位を継ぎ。そのカリスマ性と広く世界を見て来たその経験で港町に自由貿易・自由市を気付き上げたのだ。


 国防の都合上と歴史背景から、過剰なまでに貿易を厳しくし、関税を毟り取っていた昔のローロイズは見る影も無い。

 せっかく海面していて、他の大陸と近いと言う他諸国には無いメリットを持ちながら、国防費を大量につぎ込んだ飛竜騎士団は腐らせていた。だが、空の魔物に対しては無類の強さを誇る飛竜騎士達、国を挙げての飛竜船での貿易からスタートし、警護やらなにやらでトントン拍子に事が進んだ。


 安全面で保証されていて、尚かつ新しい顧客がいる大陸に目を付けない商人は居ないだろう。

 人がどんどん集まって来て港町の商店街はあっという間に拡大して行き、観光名所の一部となった。


 もちろん、リアルスキンモードプレイヤーもこの機会を逃すはずが無い。今まで渡航が困難だった大陸からの素材や商品が集まって来るので、生産職が目を付け我先にと工房を開き、それに伴ってプレイヤーもわらわらと。掲示板では商業アップデートと呼ばれている。







◇◇◇◇◇ ※視点がかわります。



「すごい活気ね。ビクトリアでもこんなに人居るかしら?」


「あの街は辛気くさいですからね…」


 ローロイズの港町の商店街を人ごみを避けつつ俺達二人は歩く。


 釣王は生簀を見に行かなきゃと言って俺達を降ろしたら即行大海原へ。やまんは魔大陸へ向かう絶好の機会だと言わんばかりか、そのまま釣王の船に便乗して行った。


 すっかり北の大地で雪崩から助けた時と別人の様な顔つきに変わったやまんを見て、目的が出来たんだろう安心した。


 英雄の目つきってカッコいいね。


 人は変わって行く。邪神を倒すという目つきから脅かされた人々を守ると言った目つきになっていたなぁ。


 女神様のご加護があります様に。


「それにしても、そのデカい十字架、何とかならないの? ドスンドスンうるさいんだけど?」


 横目で俺を見ながら少しずつ離れて行くマリア。

 仕方ないだろ。


 再契約というより、物理攻撃力・防御力を求めた結果。

 誓いの十字架オースカーディナルは更に重たくなった。

 海底の岩盤を踏み抜く程にな。


 ぶっちゃけ馬鹿でかい十字架を背負っている事に増して、足音がドスドス響くのだから、周囲の視線が偉い事になっているのは重々承知である。


 仕方ないのです。

 これが枢機卿の試練なのです。


 早い所、ビクトリアへ向いこの十字架を納めないとな。

 マイハニー、寂しそうにしているんだろうか。


 ビクトリアにはGoodNewsのギルド本部が作られている事はすでにセバスからの通知で判っている。

 その本部の中には俺専用の大聖堂が作られているらしく、その不可侵領域に運命の聖書は安置されているらしい。


 セバスに任せて良かった。うむ。


「あら!? クボヤマ神父じゃない! ずいぶん久しぶりね」


 商店街の中でも大通りに面していてそこそこデカい建物の前で呼び止められる。振り返ると茶髪フィッシュボーンのメガネ美人がそこにいた。


「まさか、キヌヤさんですか?」


「そのまさかよ〜! あの時はありがとうねクボヤマ! お陰で売れに売れて今ではブレンド商会の服飾部門部長よ!」


 店先で急に手を握られてぶんぶん振られる。

 俺の身体は最強に重たいはずなのに、何故だかその重みは俺しか感じない。


 凄くしっかりした作りの看板を見てみると『呉服屋キヌヤ』と書かれていた。

 俺には下着専門店だった頃の記憶しかないが、大分成長したもんだな。


 リアルスキンプレイヤー勢が増えまくったお陰で、こういうゲーム内生活面での品質が大きく成長している。


 俺もボクサーパンツ愛用してるよ。もちろんキヌヤ製な。

 北の大地はあまりそう言う製品が出回ってなかったお陰か、かなり初期型の飾り気の無いボクサーパンツだが、聖職者として変に着飾ると言うのもね。


「え、クボ! キヌヤ呉服店っていったら流行の最先端をいくお店よ! なんで知り合いなのよ!」


 状況を知らないマリアが驚いた様にしている。


「あら、新しいシスターさん? いつも連れてた彼女はどうしたんですか?」


「別に連れた訳じゃないですが、彼女は私の同僚です。様があって北に行っていたものですからね」


 エリーは少し前に精霊魔法の修行に出てくると知らせが着てから音信不通である。まぁ彼女も彼女で頑張っている事だろうし、マリアも衣服を見たがってそうなので冷やかしがてら寄って行こうか。


「最近のトレンドは、高耐性付きの衣類ね。お洒落も出来て、そのまま狩りデートにも行ける優れものよ」


 そんな事を力説されても、狩りデートとか行きませんから。

 購入者はノーマルプレイヤーが多いらしい。


 狩りに出会いを求めるのは間違っている!

 すっかりノーマルプレイヤーもリアルスキンプレイヤーの恩恵にあずかる今日この頃なんだな。


 と、思いつつも。

 ノーマルプレイヤーはスキルレベル制なので、生産職へ常に一定の品質の素材供給を賄っているんだから上手く噛み合ったもんである。


 ま、品質が散けないって大事だよね。


「クボ! これはどうかしら!?」


 興奮しながら試着室から出てきたマリアの服装は、黒の網タイツと光沢のある銀装飾をあしらったミニスカートボンテージにヘソ出しルックのなんて言うか知らんがボンテージ系の谷間を遺憾なく見せつけたエロい服。


 へー。谷間の所が十字架みたいになってるのね。


 っておい。

 何でボンテージあんの?


 シスター用のフードもいつの間にかボンテージみたいな光沢を放っている。フードから漏れるパーマがかかった長い金髪が更に妖艶さをかもし出していた。


 尼さんが妖艶さを出すっていう何とも言えない状況である。


「きゃー! 流石キヌヤだわ! 私の好みにピッタリね!」


「あのキヌヤさん。なんでボンテージなの?」


「あ、知らないの? エンチャントスキン・ボンテージよ」


 似合う奴に似合う物を作る事が出来て爽快といった表情で笑うキヌヤ。

 生産職の鑑だとも言えますが、シスターなんだってば。


 いや、似合ってるんだよ。

 似合ってるんだけど、ある意味さっきまでのマリアと一緒で、隣を歩くのが憚られるタイプなんだよな。


 これでまた町中でドスンドスンやめてって言われた日には、とてつもない感情が押し寄せて来そうだ。




「魔導士さん、私もボンテージにしようかしら」


「うんにゃ〜、君にはその紅色のドレスが似合ってるゼ☆」


「あらありがとう。ならこれにしようかしら?」


「下着コーナーにも行っとく? 行っとくぅ〜☆」



 紅色のこれまた妖艶なドレスを着たジト目系美人が、そのジト目で此方を見ながら彼氏と思われる男と話していた。


 それにしてもあの紅色のドレス。

 ほぼただの布じゃないか。


「あのドレスが気になります〜? アレは私が腕によりをかけて制作した灼紅のドレスよ! 火竜の羽膜を使ってエンチャントしながら織り込んでるから炎耐性が最高水準よ! かつ美しい! 着こなせる人材が来店してくれて良かったわ!」


 満面の笑みでお会計する場所へと向かって行くキヌヤ。

 どうしようか。冷やかしって最初に言ったけど。


 ガチで冷やかしなんだが。

 そもそも俺、あんまりお金持ち歩かなくて済んできたから。

 飯代くらいしかないんだけど。








「…あ、請求先は現法王のエリックでお願いします」




 世界情勢。という形で運営から公式NEWSとしてHPにて発信されています。


【ローロイズの王政が安定し、自由貿易・自由市が開かれる様になりました】

【これに伴い、アラド公国のブレンド商会が傭兵の国と提携した護衛付き観光竜車事業を展開。誰でも簡単にローロイズへの旅が可能になりました。料金の方はまだ未定ですが、自由市にはさっそくキヌヤ呉服店とグランツ道具店、全国農業改革ギルド・通称NARG(National Agricultural reform Guild)が連ねています。海洋研究ギルド『遠洋』は先んじてローロイズ周辺の海域での活動に準じていた為、女王陛下から西海域保安の称号を賜りました】


 と、こんな感じに。

 西海域保安は海竜王女リヴァイアサンの称号獲得の為の足がかりです。


 大王イカのテイムもこの称号の影響です。



 やまん視点編終了です。

 書きたかった事は活動報告に書いてますが、上手く書ききれなかったので消化不良です。

 これからは神父視点になります。

 ですが、他視点ももちろん出てくるので、その際は視点がかわりますと明記します。

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[気になる点] クボヤマの視点だけで良いんだが… 第2章みたいになってからつまらん
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