表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
軍の兵器だった最強の魔法機械少女、現在はSクラス探索者ですが迷宮内でひっそりカフェやってます  作者: しんとうさとる
エピソード7「カフェ・ノーラと恋の詩」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

122/177

5-2.「シリーズ」




 もう一度十四.五ミリ弾を放つ。轟音が響き、特大の弾丸がトリーとセイの二人の間を貫いていった。


「おおっと! あっぶねぇ!」


 私としてはトリーの頭をぶち抜いたつもりだった。シオが手も足も出なかった相手なので、狙い通り頭を吹き飛ばせるとは期待していなかったけれど違和感がある。単に回避されただけでなく、弾丸の軌道が捻じ曲げられたような気がした。


「おいっ、六番! 00番を別にぶちのめしてもいいんだよなっ!?」

「……交渉が決裂した以上仕方ありませんわね」

「うしっ! なら――こっちも全力で行かせてもらうぜ、『お姉さま』よっ!」


 後退を止め、トリーが前進に切り替えてきた。一歩踏み込んだそれだけで彼女の体が急加速し、私との距離を瞬時に縮めてきた。


「おらよっ!」


 明らかに不自然な加速。繰り出された拳も完全に見きったつもりだったけれど、奇妙に腕が加速したような感覚に襲われ、首だけじゃなく半身をねじって避けるも、かすかに頬をかすめた。

 おかしい。私自身の感覚と敵の動きが一致しない。しかたないので敵の評価に大幅な上方修正を行う。


「どうしたどうしたぁ! こんなものかよ、『お姉さま』よっ!」


 矢継ぎ早に攻撃をトリーが繰り出してくる。動きがどんどん加速していって、私をかすめる攻撃が増えてくる。

 さらに。


「っ……」


 急激な魔素の高まりを感知。それも全方位から。

 急ぎ跳躍してバーニアで加速。すると私がいた場所を無数の何かが次々に斬り刻んでいた。まるで紙を刃物で切った後のように硬いコンクリートがズタズタである。一発が私の脚もかすめたけれど、金属の脚にくっきりと切創痕が残されていた。

 今のは風魔導なのは間違いない。が、威力が桁違いだ。並の、どころか一流の風魔導使いであっても単なる初級魔導にあそこまでの威力はもたせられない。

 それどころか。


「逃さねぇぜっ!」


 一瞬で新たな魔素の高まりと魔法陣の構築を認識。足元から私のいる上空まで竜巻が伸びて吸い込んでくる。バーニアを噴射してその影響から逃れようとするけれど、あろうことか竜巻そのものがねじ曲がって(・・・・・・)、まるで生き物のように私を飲み込もうとしてきた。

 急制動を掛け、旋回して回避行動へ移行。けれど竜巻も自然の摂理を無視して執拗に迫ってくる。

 そこに、トリーがいた。


「……!」

「おらぁっ!」


 魔導具装備も何もない、単なる日常着にもかかわらず空中を飛行し、下から私の腹部を突き上げた。


「ぐぁっ……」


 衝撃が体を突き抜けた。体の向きが無理やり変えられ、さらに彼女の脚が私の顔面に突き刺さり、地上目掛けて吹き飛ばされていく。

 再度背中から衝撃。轟音が響き、何かにぶつかって壊していったようで、視界が乱雑に何かで埋まっていった。

 苦痛を全身に感じる。ここまで痛みを覚えるのは、果たしていつぶりだろうか。

 口の中が鉄臭い。内臓か口内を傷めたらしく、体を起こして吐き出すと真っ赤な血液が瓦礫に張り付いた。


「ノエルっ! 生きてるっ!?」

「生きている。心配要らない」


 ダメージは無視できるレベルを優に超えている。だけれども、致命的と言うほどでもない。手も脚も問題なく動くし、痛みこそ残るが戦闘に支障を来すことはないはず。

 それに、戦ってみて分かった。

 単純な肉体性能もそうだが、魔導の取り扱いのレベルが探索者や魔導士のそれを凌駕している。呼吸をするように全行動に風魔導を用いて加減速を行い、魔素の制御も自然。ほぼ無詠唱で風魔導を行使し、その威力も一流どころを相手にしても比べ物にならない。

 くわえて。


「私を、『お姉さま』と呼んだ」


 私に妹はいない。兵器となる前の記憶は曖昧だけれど、何人も歳の近い血縁上の妹が存在するとは到底思えない。

 となると、血縁「以外」での呼称になるわけで。彼女の用いる風魔導と合わせて熟考したならば、一つの結論へたどり着く。


「私と同じ改造を施された『シリーズ』」


 すなわち、精霊との融合。手足は生身のようなので私のような武装を埋め込まれてはいないと推測されるが、魂が精霊と融合させられた存在と考えるのが妥当。

 戦争が終わった後でもまだ私と同じような存在が作成されていた。そのことに戦慄が走る。

 誰が、いったい何のために。疑問は巡る。けれど、今現在そこに思考を割いている余裕はない。

 体を押さえている瓦礫を吹き飛ばし跳躍。さらにバーニアで加速。すると私が今しがたまで寝そべっていた場所の瓦礫が瞬く間に上空へと舞い上がって竜巻に飲み込まれていった。


「これで終わりだなんて言ってくれんなよっ!」

「その心配は不要」


 喜色を浮かべて迫ってくるトリーの攻撃をかわしながら戦闘方針を熟慮。もし私の推測が正しく彼女が精霊と融合した存在であるならば、後の疲労や魔素の枯渇などの心配をしている余裕はない。

 全力で、対応しなければならない。そう結論付け、私は意識を切り替えた。

 ストックされていた魔素を潤沢に使い、冥精霊の力を引き出す。背中から黒い翼が伸び、全身が活力で満ちていくのを感じると同時に空腹にも似た飢餓感を覚える。戦闘が終わった後が心配だけれど、しかたない。帰ったらクレアから血を分けてもらおう。






お読み頂き、誠にありがとうございました!


本作を「面白い」「続きが気になる」などと感じて頂けましたらぜひブックマークと、下部の「☆☆☆☆☆」よりご評価頂ければ励みになります!

何卒宜しくお願い致します<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ