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トカゲと散歩  作者: *ファタル*
本編3私に出来ること
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第40話 珍しいって良いこと?

「自分で言うのも何ですが、私もクルビスも一族内ではとても珍しいのです。」



 あ。やっぱりそうなんですか。



「私の髪はこの通り濃い緑色でしょう?」



 フェラリーデさんが自分の髪を一房持って見せてくれる。

 確かに。綺麗な緑色。夏の葉の色っていうか…。



(あの森がちょうどあんな感じの緑だったなぁ。)



 5時間もいたから、あの緑は目に焼き付いている。

 あの色が一番近いかも。



「ハルカさんのいらしたポムの小道があるでしょう?あの道を含めた森一帯を「深緑の森」と言います。

 私の髪はあの森の色に似ていると言われています。」



 あ、そうなんだ。今日来たばかりの私がそう感じたんだもんね。

 そりゃ、ここの人たちだってそう思うか。



「時々、私のような髪の色の子供が一族に生まれます。その子は生まれ持った魔素の質と量が共に高いため、森の祝福を受けた子供として大事にされます。」



 森の祝福かあ。いいなあ、そういうの。

 珍しいことを怖がるんじゃなく、力があることを恐れるんじゃなく、祝福だって祝ってあげるんだ。



「いいですね。森の祝福って、すごく素敵な響きです。」



 浮かんだことがするりと口から出た。

 うわっ。何だか恥ずかしいセリフを言ったような。自分で言ってて照れるわ。



「ありがとうございます。クルビスも黒一色を身にまとって生まれて、家族にも一族にもとても喜ばれたのですよ。」



 クルビスさんを見ると、目を細めて答えてくれた。



「ああ。俺のひい祖父さんが黒一色でな。そっくりだって言われて育った。」



 クルビスさん誇らしげだ。きっと立派なお祖父さんなんだろうなぁ。

 いいな。そういうのも。似てるところがあるのって、気恥ずかしいけど嬉しいもんだよね。



「そういうのもいいですね。きっと立派なお祖父様なんでしょうね。」



 私が言うと、クルビスさんはますます目を細めて嬉しそうにする。

 うん。いいな。私、親に似てるって言われてこんなに嬉しそうにしてたかな?



「ええ。このルシェモモの(いしずえ)を築かれた方ですよ。シーリード族の中でもとても尊敬されています。クルビスと同じく黒一色で、とても強くて尊敬と憧れの対象でした。」



 立派なお祖父さんだなぁ。地元の名士って言われるような方なのかな?

 ん?なんか引っかかったような…。気のせい?



「そんなわけで、一般に、一色というのは珍しいことではありますが、良いことだと認識されています。ルシェモモの住民のうち、1%が一色のみの「単色」と呼ばれていますね。」



 1%かぁ。珍しいっちゃ、珍しいかな。異常って程ではないみたい。

 にしても、単色って。まんまだなぁ。わかりやすくていいけど。

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