表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トカゲと散歩  作者: *ファタル*
本編4森の中へ
112/168

第95話 驚きの事実 (クルビス視点)

「ポムの小道の途中でポムの実が大量に生っている場所があります。ハルカはそこで頭上を通り過ぎるドラゴンを見たそうです。」



 俺の言葉にハルカが首を縦に振る。

 その様子を見ながら、祖父さんが話の続きを待っている。とりあえず、最後まで聞くつもりらしいな。



「その際、強烈な風が巻き起こったらしく、目を開けていられなかったとか。どうも、ポムの木に接触する程の低さで飛んでいたようです。おそらく結界内を飛んでいたのではないかと思われます。

 先程そのポムの実が生っている場所を確認してきましたが、上の方の枝が折れていて、ポムの実のついた枝が引きちぎられていました。」



「まて、何故実のついた枝を持っていったとわかるんだ。」



「他のすべての枝に実が生っていたからです。」



 祖父さんの疑問に即答すると、二の句が継げないようだった。

 信じられないだろうな。俺も自分の目で見てなければとても信じられない話だ。



「何より、彼女が見ています。彼女がドラゴンを見た時は枝は折れていなかったそうです。」



「ハルカ殿が?」



「っ。はいっ。急に、暗くなって、強い風が吹いて、何かが羽ばたく音がしたので、上を見上げたんです。その時はどの枝も折れていませんでしたし、枝と言う枝に実が生っていました。」



「…ハルカ殿はドラゴンの姿を見たのかな?」



「…いいえ。あっという間でしたし、ポムの木で良く見えませんでした。私が見たのは銀色の鱗と大きな影だけです。」



 ハルカが事実だけを報告する。祖父さんは否定が返ってきたことに意外そうな顔をしていた。

 自分の見たものだけを答えるのは難しいことだ。時間が経つ程、思い込みが入ってしまう。それを踏まえて、祖父さんは彼女の魔素を確認したみたいだが、問題なかったようだな。彼女には驚かされるばかりだ。



「銀の…それは確かかな?」



「はい。間違いありません。私がこの森で会ったのは、この子とクルビスさんとその銀の鱗の生き物だけです。」



「そうか…。そのドラゴンはどこに飛んで行ったのかな?」



「この方向です。私が進んでいた方角と反対に飛んでいきましたから。」



 ハルカの指さした方向を向いて、祖父さんが顎に手を当てる。考え事をする時の癖だな。今の情報と自分の探した範囲を照らし合わせているんだろう。

 数瞬の後、俺の方を向いてこう言った。



「ハルカ殿と共に来てくれないか。…俺が探しても見つからんのだ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=830034175&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ