730/785
8/14 白すぎるんだよ
キッチンで料理をしていました。
なんだか視線を感じて、振り向くと──
何もいません。
……いや、よく見たら──
白いバスマットに黒い点が三角形を作っていました。目を凝らしてさらによく見つめると──
白いイタチの姿が浮かび上がってきました。
黒い点は両目と鼻だったのです。
居間でダラダラしていました。
トイレに行こうと立ち上がりました。
引き戸を開けようとして、何かを蹴っ飛ばしてしまいました。
見ると、白いマットの上に、白いイタチが隠れていたのでした。思いきり横腹を蹴ってしまいました。
「あっ、ナッくん……。ごめんごめん! ちっとも見えなかった!」
謝る私に傷ついた目を向けて、サッと逃げてしまいました。
トイレを終わって、ドアを開けると、そこに立ってました。
抱っこして、蹴ったあたりをチェックして、お詫びにミルクを作ってあげると、何事もなかったように、いつものナッくんに戻りました。





by