3/3 春のいびき
ナッくんはいつも大抵隠れて寝ますが──
先代ハルくんはいっつも私に見えるところで寝ていました。
ナッくんは寝言はよくいうけど、いびきはまったくかきません。
ハルくんはよくいびきを聴かせてくれました。
私が座椅子に座って何かをしている横で……
こんもりと高く作ってあげてたハルくん用ベッドの上にハルくんが、気持ちよさそうに寝ていました。
見るたびに寝相が変わっていて、しかもいちいち面白いので、チラチラと私は見ていました。
ペンギンみたいにうつ伏せになってたかと思うと、次に見た時には巻いたチュロスみたいになってたり──
液体みたいに溶けてるなと思ってたら、次に見ると人間みたいにピシッと気をつけをして眠ってたり──
ふと見ると、ベッドの上から頭をずり落として、豪快な仰向けの格好で眠っていました。
前脚がけいれんしてる。
ビクン、ビクン……
そして口からはいびき──
フガッ……、フガ! フガフガ!
思わず私がクスクスと笑ってしまうと、『しまった!』みたいに慌てて目を覚ましました。
『見たの? 見てないよね、僕の恥ずかしい姿?』
そんなふうに言いたげに私のほうを見つめると、いそいそと起き出して、キッチンと居間を仕切る引き戸のほうへ歩いて行きました。
一瞬でスパーン! と引き戸を開けると、キッチンへ行ってイタズラを始めました。
照れ隠しのイタズラってあるんだな(*´艸`*)





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