東の森へ
次の日、ルーガが本隊を率い出発したという連絡が届いた。それを聞き、カドリアは早速、タイガ、モリー、ユリアナの4人を集めて会議を開く。
「皆、集まったね。では作戦を言うからよく覚えてね」
カドリアはそういうと地図を広げた。
「敵はこちらの主力が到達する前にクレアを制圧したいだろうから行軍を急ぐだろうね。そこを叩こうと思う。ここ!」
カドリアはそういうとクレアの遥か先の東にある森を指さした。
「ここで待ちぶせをして叩く」
そう自信満々に言うカドリアに、タイガは躊躇いがちに
「お言葉ですが、敵は大軍だと聞きます。少なくても1000名はおりましょう。100名の精鋭隊だけでは多勢に無勢、ここは主力軍隊が到着するのを待ってから動いた方が良くはございませんか?それに待ち伏せする場所が敵国に近過ぎます。」
「いや、それだから良いんだよ。すべてが揃ってる」
カドリアが朗らかに笑いかける。
「えっ、愚鈍なためお言葉の真意がわかりませんが・・・?」
戸惑うタイガにユリアナが、
「あんた、筋肉馬鹿系なの?誰も予想しないからいいんじゃない。予想されてたらどんな策を作ったって無駄になるわ。」
その筋肉馬鹿系という言葉を聞いたモリーは、
「ちょっと、ユリアナ。今の言葉、謝りなさいよ。」
とモリーが頬を膨らませてユリアナに迫る。
「あ~、ごめんなさい。私、思ったことがでちゃうタイプなの。モリーは隊長さんの事が好きだったのよね。決して悪口ではないのよ~。ごめんなさい。」
ユリアナはそう言いながら両手を顔の前で拝むように合わせてモリーに謝った。
「誰だって好きな人を悪く言われたら怒るわよね。私ったら・・・」
と一人でしゃべり続けるユリアナに、顔を真っ赤にしたモリーは、
「わかった。わかったからもう喋らないで~」
と言い慌ててユリアナの口を押えた。武術の稽古を通して、ユリアナとモリーはかなり親しくなったようだ。
その光景を微笑みながら見ていたカドリアは目線をタイガに移し
「と、まあ、そういうことだよ。」
とタイガに話しかけた。
「わかりました。王様を信じます!」
タイガも微笑んで敬礼をした。
「タイガなら分かってくれると思ってたよ!じゃあ、詳しい作戦を話すね。」
カドリアは自信満々で作戦を話し始めた。




