ウルドからの手紙
それから1か月後、カドリアはユリアナと要地を占う旅に出ようとしたが、その前にモリーが現れ、
「王様、ウルドの部下だという男が参りまして、至急お知らせしたいことがあると申しておりますが、如何いたしましょうか?」
「何だろ?ユリアナ、ちょっと待ってて」
そういうとユリアナと別れ、謁見の間で会うことにした。男はモリーに連れられてカドリアの前に跪く。
「要件は?」
カドリアが問うと、男はおどおどと話し出した。
「私は、ドルー商会の者ですがこの封筒を王様にお渡しするように主から命じられ参上しました。」
そういうとモリーに封筒を差し出す。モリーはそれを受け取ると、封を開け、中身を確認してからカドリアに手渡した。
手紙には、
(ランド国が大軍を揃え、軍を整えている。クレアの仇を取ると、戦意は相当高い。手抜かりあるな。)ということが書いてあり、末尾には立派な印鑑が押してある。その下に「王様就任おめでとう。坊ちゃん」と小さく書いてあった。
カドリアは苦笑し、手紙を懐にしまうと、
「ご苦労、何か言付かっている事は無いか?」
男は平伏し、
「はい、革と布それから鋼を手配して頂きたいと主が申しておりました。」
それを聞きカドリアは、
(戦争が増えるからな、値が上がるか?)
「よし、手配しよう。他には?」
「それが・・・大変言いづらいのですが・・・」
「構わぬ。言ってみよ」
「貸した金の一部を返して欲しいと」
「いくらだ?」
「はい、300万でございます。」
「分かった。モリー、至急用意してくれ」
モリーが配下の者に指示を出す。
「他には?」
「それだけでございます。」
「では、私から聞きたいことがある。お前の店、ドルー商会といったか。何店舗ある?」
「はい、王様の御威光で国内に8店舗ございます。」
「なかなか盛況だな。」
「おかげさまを持ちまして」
男は両手を付き深々と頭を下げる。
「ウルドはどうしてる?」
「はい、元気にほうぼう駆けまわっていると聞いております。主は大変忙しいので私も年に数えるほどしか会っていません。」
「そうか・・・。」
どうやらウルドは、商売人として情報活動を行っているらしい。話しは終わりだと言い、カドリアはそこを後にし、ユリアナの元に向かった。男はそれを平伏して見送った。




