第371話 シ、シャベッター!
「ね、猫が喋った!」
「そんにゃに驚くことですかにゃ?もうバレてるみたいですしにゃー」
「おー、猫だけにやっぱり語尾はにゃーなんだな」
「そこぉ、ツッコミどころ違うと思うぞぉ」
子猫がゴン太の手から飛び降りてリビングの机の上に立つ。
立つと言っても四本足ではなく後脚でスクッと仁王立ち。
……ますますモンスター感が出てきたな。
モンスターと言うよりは亜人?
「えっと……とりあえず自己紹介をお願いします?」
「そうですにゃ。ゴホンッ。私の名前はフェリダー・ナカティル・ケンバ。『ラーの目』バステト神の眷属にして猫の街、『ナカティル』の長を務めておりましたにゃ。どうぞよろしくお願いしますにゃ!」
お、おう……思ってたよりごつい名前が出てきたな。
バステトってエジプト神話に出てくる猫の神様だよね?
そんな神の眷属なんて、相当強いモンスターだよね?
てかなんで神の眷属が封印されてるの???
「あー、テトちゃんとこの子か!道理で道理で」
「にゃ!?テトちゃん?!この魔力!ケツァルコアトル様!?何故ここに!」
「そりゃ、ここの家主が知り合いだからよ。とりあえず引越し祝いで来てるのよ。ほらテスカトリポカ、トラロック、チャルチウィトリクエも来てるわよ。チャーリーは今外出中だけど」
「ニャニャニャ!アステカの最高神が4人も!驚きですにゃ!」
「バステトはこの前あったよ。確か死者の国で会議があったとかで。ものすごくタコス食べてたな」
「ニャニャニャ!これはこれはアステカのテスカトリポカ様!ご機嫌麗しゅう……猫の神ですからにゃ!会議なんて寝てサボりたい、と常々おっしゃってましたにゃ!」
「ハハハッ。眷属からも言われるなんて、本当に気分屋なんだね」
……うん、話についていけない。
そもそもここに何だかんだ神が4人いるのが悪い。
とりあえず子猫―フェリダーさん?―について詳細を聞かないと。
なんで陰陽師のおりんに取り付いたのかとか、封印をどうやって破ったのかとか。




